学部後期課程
HOME 学部後期課程 文化交流特殊講義V
過去(2023年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2025年4月21日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

文化交流特殊講義V

中国近世の道教と東アジアへの影響
 本講義では、中国近世の道教とその日本における影響について取り上げる。
 道教は中国の三教の一つに数えられ、中でも金・王重陽(1113~1170)により開創された全真教は現在でもその主要な宗派の一つとされる。この全真教に対して、従来、道教史研究において「新道教」と呼ばれ、評価されてきた。ただし、こうした見方の背後には近代的なバイアスがあったと思われ、もう一度全真教の位置付けについては検討し直す必要がある。そこで本講義では、先行する宋代の内丹道の議論を精査した上で、全真教の教説の独自性と、先行する内丹道との関係について考える。また、併せて元代以降、その融合の様子についても概観することにしたい。全真教及び内丹道の誕生や展開は、決して当時の他の思想から独立したものではなく、同時代に転回した禅宗や道学・朱子学などとの関連も視野に入ってこよう。
 その後、日本の神道においてこうした道教や内丹道がどのように影響を及ぼしたのか、吉田神道を中心に考察する。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04235345
FLE-XX4307L1
文化交流特殊講義V
松下 道信
S2
集中
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
以下の順序で予定している。ただし実際の授業回数や進度にあわせて適宜変更する。 第1回:授業についてのガイダンスと道教の概説 第2回:全真教の位置付けについて―「新道教」再考― 第3回:宋代における内丹道(1)―『悟真篇』と禅宗― 第4回:宋代における内丹道(2)―白玉蟾の登場とその後学― 第5回:全真教と宋代内丹道の教説の違いについて―機根に注目して― 第6回:全真教における自力の限界と他力の現れ―志と聖賢の提挈― 第7回:全真教と禅宗・道学の関係について―牧牛図をめぐって― 第8回:全真教と禅宗の衝突―『至元辯偽録』を中心に― 第9回:全真教と内丹道諸派の融合―『還丹秘訣養赤子神法』の伝授― 第10回:全真教と内丹道諸派の融合―三乗論と頓漸論― 第11回:元代の全真教の一側面―陳致虚の性命説― 第12回:神道における道家・道教の影響について 第13回:吉田神道における内丹説の受容 第14回:吉田神道における北斗経の受容 第15回:全体のまとめ
授業の方法
講義による。
成績評価方法
授業参加(50%)と期末レポート(50%)
教科書
毎回、講義資料を配付する。
参考書
松下道信『宋金元道教内丹思想研究』(汲古書院) 窪徳忠『中国の宗教改革―全真教の成立―』(法蔵館) 陳垣『南宋初華北新道教考』 その他は授業中に随時指示する。
履修上の注意
予習:道教関係の概説書で全真教について調べておく。また、第12回までに神道関係の概説書で吉田神道について調べておく。 復習:全真教と禅宗・朱子学、及び吉田神道との関係について整理しておく。