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最終更新日:2024年3月15日

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韓国朝鮮文化特殊講義VII

この講義では、朝鮮史で近代の始まりとされる19世紀末・朝鮮王朝後期の「開港期」から、日本による韓国併合までの政治外交史を、東アジア国際関係との関わりに留意しながら考察する。 朝鮮王朝末期の高宗の時代、朝鮮は中国を中心とした中華秩序のなかにあり清の「属邦」であったが、同時に明朝中華の継承としての「朝鮮中華」に矜持を持っていた。また、1882年にはアメリカやイギリスと条約を結び、近代国際関係にも参入していくようになる。こうした状況が朝鮮の政治外交に与えた影響はどのようなものだったのか。 また、東アジアでいち早く近代化した日本は、「交隣」とよばれる朝鮮との関係を長く築いていたが、19世紀末の国際関係の変化と、朝鮮と中国の関係をどのように認識していたのか。他方、のちに東アジアで力を振るうロシアやアメリカは、こうした三国関係をどのように捉えていたのだろうか。 本講義では、こうした問題に対して、朝鮮半島に視点をおきながら様々な資料を読みながら考えたい。 加えて、今日の日韓関係では、歴史認識問題がしばしば外交問題にまで発展している。日本世論は「韓国人はいつまでも歴史問題に謝罪を求める」と韓国に不満を抱き、韓国世論は「日本人はいつまでも過去の歴史を反省しない」と日本を批判する。こうした認識のズレの背景には、朝鮮近代史に対する日本と韓国の知識や理解に大きな隔たりがあることが指摘できる。 本講義では、なぜ過去の歴史に対する今日の認識が異なるのか、日本の朝鮮史研究と韓国の国史研究の成果を可能な限り紹介しながら、一つの史実に対して様々な解釈があることを受講性とともに議論したい。
この講義が集中して取り上げるのは朝鮮近代の政治外交史であるが、それは単に過去の史実について知識を深めることだけを意味しない。過去の歴史問題が、現在どのように認識されているのか、それが日韓関係はじめ東アジア国際関係にどのような影響を与えているのか、広い視野から歴史学にアプローチする姿勢の獲得を目指す。
受講生は、自分は何を知っていて(学んできて)、何を知らないのか(学んできていないのか)について考えながら受講して欲しい。そして、多様な歴史解釈があることを踏まえた上で、それらについて自分はどのように考えるのか、自分の言葉で説明できるようになることを目指す。

Today, the Republic of Korea has achieved democratic reforms and economic development, and it is a member of the OECD, like Japan. On various occasions, Koreans have claimed damages from Japanese colonial rule, such as for forced labor or being forced to become ”comfort women.” These claims are based on the assumption that Japan’s rule over Korea was illegal, because Japan forced the Korean Empire (1897–1910) to conclude treaties that led to its annexation.
Since the 2000s, Japanese and Korean scholars have discussed whether these treaties were, in fact, illegal. Despite conferences and the unveiling of new documents that raise new points, they reject each other’s positions. Today, Japanese–Korean relations are delicate and lack mutual trust.
It is difficult to discuss the treaties’ legitimacy, because the historical documents are not uniform. While Japan only sued to become a modern country that Westerners recognize, Korea not only sued to become a modern independent country, but also to be the successor to the Sino-centrism. Therefore, Japanese documents match Western documents, which are readable, but the Korean documents require a knowledge of Chinese history to understand them properly.
This lecture aims to rethink the road to Japan’s annexation of Korea, focusing on the differences in the political cultures of Japan and the Korean Empire.
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04235247
FLE-XX4305L1
韓国朝鮮文化特殊講義VII
森 万佑子
A1 A2
月曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
教科書(森万佑子『韓国併合-大韓帝国の成立から崩壊まで』中公新書、2022年)に即して、序章から終章までを各講義で取り上げる。教科書の内容だけでなく、そこで用いられた資料も講読し議論する。 1.講義の進め方についての説明 2.教科書序章「中華秩序のなかの朝鮮王朝」 3.教科書第1章「真の独立国家へ-1894~95年」前半 4.まとめとディスカッション1 5.教科書第2章「朝鮮王朝から大韓帝国へ-1895~97年」 5.教科書第3章「新国家像の模索-皇帝と知識人の協和と不和」 6.教科書第4章「大韓帝国の時代-皇帝統治の現実と限界」 7.まとめとディスカッション2 8.教科書第5章「保護国への道程-日露戦争前夜から開戦のなかで」 9.教科書第6章「第二次日韓協約の締結-統監府設置、保護国化」 10.教科書第7章「大韓帝国の抵抗と終焉-1910年8月の併合へ」 11.教科書終章「韓国併合をめぐる論争-歴史学と国際法」 12.韓国の韓国史教育と日本の日本史教育の相違 13.まとめとディスカッション3
授業の方法
講義、史料講読、ディスカッション
成績評価方法
平常点(提出物や授業中の発言など)50%と期末レポート50%。
教科書
森万佑子『韓国併合-大韓帝国の成立から崩壊まで』中公新書、2022年。
参考書
講義中に適宜案内する。一例は以下の通り。 海野福寿『韓国併合』岩波新書、1995年。 海野福寿『韓国併合史の研究』岩波書店、2000年。 海野福寿『外交史料韓国併合』上・下、不二出版、2003年。 岡本隆司『世界の中の日清韓関係史―交隣と属国、自主と独立』講談社メチエ、2008年。 糟谷憲一・並木真人・林雄介『朝鮮現代史』山川出版社、2016年。 糟谷憲一『朝鮮半島を日本が領土とした時代 』新日本出版社、2020年。 趙景達『近代朝鮮と日本』岩波新書、2012年。 月脚達彦『福沢諭吉の朝鮮-日朝清関係のなかの「脱亜」』講談社メチエ、2015年。 森万佑子『ソウル大学校で韓国近代史を学ぶ』風響社ブックレット<アジアを学ぼう>、2017年。 森山茂徳『日韓併合』吉川弘文館、1992年。 和田春樹『韓国併合 110年後の真実―条約による併合という欺瞞』岩波ブックレット、2019年。 李成市・宮嶋博史・糟谷憲一編『朝鮮史2-近現代』山川出版社、2017年。
履修上の注意
事前に指定するテキスト範囲と配布する資料を読んでくること。 初回の授業時に資料の入手方法などを案内する。
実務経験と授業科目の関連性
外務省での勤務経験を有する教員が、実務経験を活かして朝鮮半島の歴史について講義する。