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最終更新日:2024年4月1日

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芸術学概論

芸術学概論
 芸術学における最も基礎的な問題「芸術の定義」を論じる。「美学」と「芸術学」を結びつける伝統的な諸説を列挙するところから始め、「美的」という概念を「芸術の定義」から排除する諸説へと進む。既成の諸理論に、若干の新しい考えを織り交ぜながら、可能なかぎり多くの芸術定義を紹介し、倫理学、認識論、ジェンダー論、心の哲学(現象的意識の哲学)など、多くの分野と芸術論との関係を確認する。そのうえで、全学問分野の中に芸術哲学を位置づけ、その位置づけに最も適合した芸術定義はどれであるかを演繹的に論証する。都市や戦争といった〈芸術ではないが美的に見られることの多い広義の人工物〉の芸術視の効用と帰結へと考察を進める。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04230611
FLE-HU4F02L1
芸術学概論
三浦 俊彦
S1 S2
月曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
 芸術学の最も難しい現代的課題は、「芸術」と「美的なるもの」との関係を見直すことである。この二つの概念は、互いに交わりながら、「美的でない芸術」「芸術以外の美」の存在を許容する。「美的でない」の意味は多様だが、「知覚的でない」「実用的である」という要因を重視し、この二つに該当する芸術としてそれぞれ「コンセプチュアルアート」「ソーシャリーエンゲージドアート」を意識しつつ、主として分析哲学における洞察と方法に依拠して、芸術と非芸術の区別の規準を考える。  伝統的な「芸術の美的定義」を約30種類、「美的」と「芸術」を切り離した芸術定義論を約40種類、計70種類以上の説を紹介し、歴史的順序よりも論理関係の順に配列して、「学問の体系化」の典型例を提示する。一見して偏執的な分類図式が展開されることになるが、それによって、学問研究が芸術制作と似た物語行為に根差している事実(あるいは可能性)を確認しよう。  以上の諸課題を念頭に、芸術概念の定義がいかなる意味で重要であり、文化的価値全般の中に芸術を位置づけなおす。 第1回 「芸術の定義」という問題圏 概念を定義するとはどういうことか 第2回 「美」による芸術の定義その①・・・「美的」という【概念の意味の】拡張可能性          美的創造理論、虚構的美的性質理論など 第3回 「美」による芸術の定義その②・・・【何が】「美的」なのかについての再解釈          観念論的定義、プロセスアート説など 第4回 「美」による芸術の定義その③・・・「美的」を帰属させる【方法の】再解釈          高階戦略、ディスコミュニケーション説、進化美学、ジェンダー美学など 第5回 「美」による芸術の定義その④・・・「美的」の【顕在化を問い直す】諸説探索          意図主義的機能主義、パラフィリア説、日常性美学など 第6回 「美」を放棄した芸術定義その①・・・アートワールド論~【制度】による定義          地位付与による定義、構造的定義など 第7回 「美」を放棄した芸術定義その②・・・アートワールド論~【歴史】による定義          再帰的定義、物語的歴史主義など 第8回 「定義」を疑問視する芸術理論その①・・・本質主義から【反本質主義】へ          選言的定義、クラスター説、プロトタイプ説など 第9回 「定義」を疑問視する芸術理論その②・・・実在論から【反実在論】へ          責任転嫁理論、個別主義、錯誤理論など 第10回 「定義」を疑問視する芸術理論その③・・・認知主義から【非認知主義】へ          社会彫刻論、ランナウェイ説など 第11回 「定義」を疑問視する芸術理論その④・・・定義からメタ定義へ          脱定義論、実験美学など 第12回 美的定義への回帰?          穏健な本質主義、一般化された意図主義的機能主義など なお、毎回、講義の中間に休憩を兼ねて、芸術作品の視聴覚資料を提示する。 ひとつのジャンルに統一して提示する予定。(「ピアノのみで演奏されたミニマリズムの現代音楽作品」を当面考えている)
授業の方法
毎回のリアクションペーパーや、時事的な話題に基づいて、内容を微修正することがある。
成績評価方法
主に期末レポートと提出物で評価し、出席状況を加味する。
教科書
なし
参考書
講義の中で、適宜指示する。
履修上の注意
特になし