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最終更新日:2024年4月22日

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宗教史学演習V

イェフダ・ハレヴィ『クザリ』を読む(1)
 中世ユダヤ教思想の傑作として知られるイェフダ・ハレヴィ(1075頃-1141)の『クザリ』(Kuzari)を講読する。本書は、10世紀にハザール王国(カスピ海付近)の王が後ウマイヤ朝(イベリア半島)のユダヤ人宰相ハスダイ・イブン・シャプルートと書簡を交わしたという伝承を取り入れた、対話形式のユダヤ教論として知られる。書簡によれば、ハザール王国のかつての王が、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの指導者たちの討論を聞き、最終的にユダヤ教を選択して改宗したという。ハレヴィはこの伝承を枠組みとして、王とユダヤ賢者との対話により、ユダヤ教の信仰や実践、世界観を語ってゆく。演習では『クザリ』のテクストを読み進めることで、中世のユダヤ人思想家によるユダヤ教論についての理解を深めるとともに、このユダヤ教思想の古典が持つ現代的な意義についても検討していきたい。
 なお、『クザリ』の原著はユダヤ・アラビア語で書かれたものだが、演習では主に英訳をもちいる。そのため、ヘブライ語の知識を履修要件として求めることはない。また、履修者の語学力に合わせて、中世ヘブライ語訳、現代ヘブライ語訳も用意する。
 『クザリ』の講読は昨年度の演習からの継続となるが、本年度からの履修も大いに歓迎する。演習の初回で『クザリ』の概要とこれまでの講読の総括をし、本年度からの履修者がスムーズに講読に入っていけるようにする。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04230575
FLE-HU4E05S1
宗教史学演習V
志田 雅宏
S1 S2
水曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
第1回:『クザリ』の概説、昨年度の演習における講読部分の総括、分担決め 第2回~第13回:講読
授業の方法
テクスト講読およびディスカッション
成績評価方法
「授業への参加」「発表」の2項目により総合的に評価する
教科書
講読テクストはこちらで用意する。書誌情報は以下のとおり。 英訳:Judah Halevi, trans. H. Hirschfeld, The Kuzari (Kitab al Khazari): An Argument for the Faith of Israel, New York: Schocken Books, 1964 中世ヘブライ語訳:Yehudah HaLevi, trans. Yehudah ibn Tibbon, The Kuzari: In Defense of the Despised Faith, Jerusalem: Feldheim, 2013 (with English translation by N.D. Korobkin) 現代ヘブライ語訳(1):Yehuda Halevi, trans. Yehuda Even Shmuel, The Kosari, Tel-Aviv: Dvir, 1972 現代ヘブライ語訳(2):Judah Halevi, trans. M. Schwarz, The Book of Kuzari: The Book of Rejoinder and Proof of the Despised Religion, Negev: Ben Gurion University Press, 2017
参考書
イェフダ・ハレヴィおよび『クザリ』について紹介している日本語文献を3点挙げておく。 1)井筒俊彦「中世ユダヤ哲学史」(『岩波講座 東洋思想第二巻 ユダヤ思想2』岩波書店、1988所収) 2)ユリウス・グットマン(合田正人訳)『ユダヤ哲学』(みすず書房、2000年) 3)志田雅宏「中世ユダヤ哲学」(伊藤邦武ほか編『世界哲学史4』ちくま新書、2020年所収)
履修上の注意
事前準備として参考書(いずれか1点でも可)を読んでおくことが望ましい。 テクストのなかで扱われるユダヤ教の人物や用語については、ユダヤ教の百科事典で調べておくことが望ましい。宗教学研究室所蔵のユダヤ教百科事典として、The Oxford Dictionary of The Jewish ReligionとEncyclopaedia Judaicaを随時参照すること。 テクストのなかで言及されるユダヤ教文献については、Sefaria (https://www.sefaria.org/*****)というウェブサイトを活用し、参照すること。