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最終更新日:2025年4月21日

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中国思想文化史概説II

清朝道教研究:全真教龍門派における正統性の創造を軸に
この講義では、中国の民族宗教として知られる道教を、従来研究が手薄だった清朝期の道教、とりわけ全真教龍門派と呼ばれる道教教派の歴史に重点を置きながら考察します。龍門派は、清朝から現在に至るまで、道教最大の教派として中国の宗教世界に大きな力を振るってきました。ここでは、この龍門派の歴史的考察を軸に据え、さらにできる限り清朝以前の道教の総体的な特色や変化のありようにも目配りすることで、道教とは何か、中国の宗教とはいかなるものか、中国における倫理的な伝統をどのように見るかといった諸問題への視座を提供することを目標とします。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04230212
FLE-HU4B02L1
中国思想文化史概説II
森 由利亜
A1 A2
火曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
 最初の数回の授業では、イントロダクションとして道教の通史的な側面を概説したいと思います。また、この授業で「道教」という概念をどのように規定するかについても述べたいと考えます。  その後の授業では、基本的に全真教のいわゆる「龍門派」について考察します。論説の順序としてはおおよそ以下のようになると予想されます。(1)明代中期から登場する所謂「長春眞人仙派」、(2)伍守陽(1574-1643)の龍門派、(3)王常月(1594-1680?)の龍門派、(4)朱元育(1669頃活動)の龍門派、(5)詹太林(1625-1712)の龍門派、(6)閔一得(1735-1836)の龍門派、さらに(7)蒋予蒲(1755-1819)について順次考察を施す予定です。  これらを扱う中で、道教における伝統的な宗教的技術についても見ることになるでしょう。伍守陽と朱元育を扱う際には、内丹法といわれる宋代以降の道教で流行した瞑想技法を解説します。王常月・詹太林に関連しては、道教の戒律について解説します。閔一得と蒋予蒲においては、扶乩について解説します。(扶乩は、扶鸞・扶箕などとも呼ばれ、お筆先すなわち降筆によって神々の言葉を信徒に伝えるという形をとる託宣の一形体。)  以上のように、清朝の全真教を話の核に置きながら、それとの関連でなるべく広く道教を理解するための観点や研究上の問題点を示して、道教や道教研究についての概論としての役割も兼ねることができればと希望しています。
授業の方法
 講義形式で進めます。資料としては、教場でパワーポイントを投影する他、その内容をPDFに加工したファイルを配布し、それにそって話をして行きます。適宜質疑を交え、参加者からの問題提起をも促していきたいと考えます。
成績評価方法
 学期末に提出するレポートの内容によって評価します。更に、教場で書いてもらう授業内容へのコメントや、質疑への参加のありようをも勘案します。
教科書
 特に定めません。
参考書
 教場で示します。
履修上の注意
 資料はなるべく現代日本語訳を付した形で提示します。ただし、場合によって、漢文の原典をそのまま提示したり、訓読漢文による読み下しを交えることがあり得ます。受講者においては、漢文講読の能力を必須とはしませんが、漢文読解ができるほうがより深く内容を理解できることは言うまでもありません。