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最終更新日:2025年4月21日
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フランス語学フランス文学演習V
18世紀の演劇と性差の問題:マリヴォー『植民地』を読む
マリヴォーは、性・身分・年齢など、旧体制下に生きる人々を規定するさまざまな属性をもった登場人物を舞台に乗せ、彼/彼女ら相互の関係を複雑に交錯させながら、各登場人物が自身の社会的役柄を演ずる際の言葉の二重性を巧みに用いた恋愛喜劇で知られる、18世紀前半のフランスの作家です。本講義では、このマリヴォーの喜劇作品のうち、1729年に初演されたままお蔵入りし、その後、1750年に雑誌『メルキュール・ド・フランス』に改稿のうえ発表された一幕喜劇『植民地La Colonie』をフランス語原文で読解します。この喜劇は、戦争に敗北してとある島(「植民地」)に避難したある国の男女が、新たな政府を打ち立てようとした際に、女性たちが身分差を越えて一致団結し、従来の男性支配の打倒を誓うところから始まる男女間の騒動を描く作品で、この作品によって今日、マリヴォーは時代にはるかに先駆けて「フェミニズム」的観点をもった作家として評価されています。
本講義では、マリヴォーがこのいわゆる「フェミニズム」的観点を18世紀前半のどのような歴史的背景のなかで持ちえたのか、またそれがマリヴォー自身の劇作のどのような選択から生まれたものかに留意しながら、この喜劇を読解します。その過程では、古典主義時代の演劇についても適宜解説を加えます。なにより、このきわめて現代的な喜劇を原文で読み、マリヴォダージュとも言われるマリヴォー特有の巧妙な台詞回しを楽しみ、そこから垣間見える酷薄とも言える道徳論・政治論の理解を進めることを目指します。
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