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最終更新日:2024年4月22日

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フランス語学フランス文学演習V

18世紀の演劇と性差の問題:マリヴォー『植民地』を読む
 マリヴォーは、性・身分・年齢など、旧体制下に生きる人々を規定するさまざまな属性をもった登場人物を舞台に乗せ、彼/彼女ら相互の関係を複雑に交錯させながら、各登場人物が自身の社会的役柄を演ずる際の言葉の二重性を巧みに用いた恋愛喜劇で知られる、18世紀前半のフランスの作家です。本講義では、このマリヴォーの喜劇作品のうち、1729年に初演されたままお蔵入りし、その後、1750年に雑誌『メルキュール・ド・フランス』に改稿のうえ発表された一幕喜劇『植民地La Colonie』をフランス語原文で読解します。この喜劇は、戦争に敗北してとある島(「植民地」)に避難したある国の男女が、新たな政府を打ち立てようとした際に、女性たちが身分差を越えて一致団結し、従来の男性支配の打倒を誓うところから始まる男女間の騒動を描く作品で、この作品によって今日、マリヴォーは時代にはるかに先駆けて「フェミニズム」的観点をもった作家として評価されています。
 本講義では、マリヴォーがこのいわゆる「フェミニズム」的観点を18世紀前半のどのような歴史的背景のなかで持ちえたのか、またそれがマリヴォー自身の劇作のどのような選択から生まれたものかに留意しながら、この喜劇を読解します。その過程では、古典主義時代の演劇についても適宜解説を加えます。なにより、このきわめて現代的な喜劇を原文で読み、マリヴォダージュとも言われるマリヴォー特有の巧妙な台詞回しを楽しみ、そこから垣間見える酷薄とも言える道徳論・政治論の理解を進めることを目指します。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04203265
FLE-HU4S05S1
フランス語学フランス文学演習V
王寺 賢太
S1 S2
金曜3限
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講義使用言語
日本語、フランス語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
コロナウイルス対策により、急遽オンライン授業での開講となりました。4月17日に授業参加希望者のミーティングを行い、Zoomの使用法などをともに探究します。そのURLは新しいものをこのページ下にしめしてあります。授業初回は4月24日とします。授業で使用するプリントについては、以下に示すURLから各自前もってダウンロードし、プリントアウトしておいて下さい。すでにITC-LMSにもアップしてあります。(4/10記) 本講義では以下の各テーマを扱う予定です ① マリヴォーと18世紀前半の文化:ロココの時代 ② 18世紀の演劇:王国の文化装置、悲劇・喜劇の二大ジャンルの衰退 ③ 転倒の島:「植民地」という舞台設定 ④ 男性支配打倒の誓い:身分差を越えた女性たちの結託 ⑤ 古代ギリシアという参照項:先行者アリストファネス、男性支配の下での民主政 ⑥ 恋愛、結婚、恋愛=結婚?:男女間の力関係と身分差、年齢差 ⑦ 闘う女たちの共和主義:男性支配の転倒と反復? ⑧ 文明化の旗手としての女性? ⑨ 女たちの争い (1):「美しさ」は誰のものか ⑩ うろたえる男たち:役割と愛の相克 ⑪ 女たちの争い (2) : 性差と身分 ⑫ 男たちの詭計:戦争というリミット ⑬ 予備
授業の方法
基本的に、講義の参加者にはフランス語原典の訳読を担当してもらい、その訳文を検討しながら、マリヴォーの劇作品について解説を加える。
成績評価方法
購読での訳読の担当と、期末レポートの双方を加味して評価する。
教科書
テクストは以下のウェブサイトに掲載されているPDFを各自印刷して下さい。 http://www.theatre-classique.fr/*****
参考書
授業中に適宜指示する。
履修上の注意
フランス語の読解力をつけることを最大の目標とします。