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文化資源学特殊講義ⅩⅢ

モノを見る、モノから考える―日本中世の史料を素材として―
 歴史学の基礎となる史料をどのように解析するのか、ひとつの史料には、どれほどの情報が含まれているのか。従来歴史学では、古文書を中心にして内容を検討し、その内容を伝えるために機能的に定式化された古文書の様式論を鍛えてきた。しかしながら、古文書を含めた史料をモノ(物質的存在)として見た場合、モノを構成する要素はもっと多様である。紙・墨色・字体・筆跡・花押・印章・図像など、そしてこれらの史料が作成された場(物質的環境)にまで想像をふくらませると、さらに知りたい情報は増えてくる。そして、研究素材としての史料の範囲も広がっている。この豊かな可能性を含んだ史料から、いかに多くの情報を引き出せるか、いかに史料が生み出された時代の場を復元できるか、モノとしての史料解析の総合的な視点を得る試みをしてみたい。
 ところで、史料編纂所において、モノとしての史料に日々向き合っているのが、技術部史料保存技術室である。技術室はスタッフが修補・影写・模写・写真の担当に分かれ、史料の調査・研究・制作などの現場で、研究部と協業・分担して研究業務を遂行しており、こうした協働体制は、全国でも稀有である。モノとしての史料の可能性・総合的な解析視点を得ようとするこの授業では、技術室の実際の業務の現場に臨み、その成果を知り、実際に体験する機会を持つ。それぞれの技術の方法論を学ぶことにより、史料が持つ可能性を認識し、それらを引き出して、より深く史料を読む方法を身につけることを目標とする。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04195150
FLE-XX4304L1
文化資源学特殊講義ⅩⅢ
高橋 敏子
A1 A2
金曜3限
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教室
法文1号館 210教室
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
何故問題にする必要があるかなどの研究史上の問題点を認識した上で、モノとしての中世史料に関する講義、質疑応答・意見交換を行う。また史料編纂所における調査・研究・制作の現場に臨む機会を設定する。 1.はじめに-史料をモノとして研究・解析する意味 2.古文書の分類を考える―様式・紙 3.古文書を見る-史料編纂所書庫見学 4.デジタル画像から中世古文書料紙を考える‐修補技術の新段階 5.修補技術の実践的研究 6.伝統文化としての模写という営為と新技術 7.模写作成の楽しさ・難しさ 8.荘園絵図を考える-絵画史料の一端 9.古文書を筆跡から考える 10.史料写真の歴史学―ガラス乾板からデジタルまで― 11. デジタル撮影画像の可能性 12. 古文書の歴史時代における管理を考える
授業の方法
講義形式を主とするが、史料技術保存室による授業では(4・5・6・7・10・11回)、伝統的な技法・最新のデジタル技術を取り入れた技法についての講義とともに、より実践的な研究を行う。1回の講義時間のうち、講義等をおよそ1時間強、質疑・ディスカッション等をおよそ30分余とする。
成績評価方法
この授業の課題を受講した上で提出したレポートにより、評価を行う。実践的な講義内容も含むことから、毎回の出席、授業における積極的な取組みも勘案する。
教科書
講義に関連する資料を、その都度配布する。
参考書
(史料論・筆跡論・ガラス乾板に関するものなど一部) 高橋敏子「古文書学研究と東寺百合文書」(京都府立総合資料館編『東寺百合文書にみる日本の中世」京都新聞社、1998年) 上島有「南北朝時代の申状について」(『古文書研究』10、1976年)、同「端裏銘について」(『摂南大学学術研究紀要B 人文・社会篇』2、1984年) 湯山賢一編『文化財と古文書学―筆跡論』(勉誠出版、2009年) 林譲「諏訪大進房円忠とその筆跡―室町幕府奉行人の一奇跡―」(皆川完一編『古代中世史料学研究 下巻』吉川弘文館、1998年) 宮﨑肇「年行事と案文―中世前期東寺における文書管理―」(東寺文書研究会編『東寺文書と中世の諸相』思文閣出版、2011年) 久留島典子・高橋則英・山家浩樹編『文化財としてのガラス乾板 写真が紡ぎなおす歴史像』(勉誠出版、2017年)
履修上の注意
史料保存技術室担当者の講義は、時に実習も含む回となる。是非実見・体験してほしい。