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最終更新日:2024年4月22日

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ヨーロッパ政治史

ヨーロッパ政治史
主として18世紀末から20世紀半ば過ぎにかけてのヨーロッパ諸国における政治構造の形成・変動のダイナミズムを比較の視座から描き出す。

政治史は、歴史事象を素材として用いつつも、政治学の重要な一部門を構成する。この講義では、近現代のヨーロッパ諸国の政治発展を題材として、比較政治学的な思考の基礎を身につけてもらえるよう努めたい。

近代国家の成立以来、同じヨーロッパの中でも、民主化のパターンや、官僚制の性格、政党制の構造など、各国の政治のあり方には大きな多様性が見られた。こうした国・地域ごとの差異は、どのような経緯で、いかなる要因によって生まれてきたのか。こうした問いに対して比較政治学の手法と知見とを用いて答えようとする。政治発展の経路を分けることになった重要な分岐点を時期毎に特定し、なぜそのような分岐が起こったのかについて、様々な仮説を検討し、あるいは史実の分析を通じて仮説を構築していく。

あらゆる歴史にもまして、政治史においては偶発的事件や個々人の選択の役割が極めて大きい。しかし、この講義では、そうした「物語」ではなく、その裏側で人々の選択を大きく規定している「構造」に着目する。中長期的に一定の安定性をもった構造がどのように形成され、いかに、なぜ変動するのか、という視点から、ヨーロッパ各国の政治発展の軌跡を比較の土俵に載せていく。

ヨーロッパ政治史は、比較政治学にとって非常に豊かな分析対象である。基本的な社会・経済・文化的な条件をおおむね共有する一方で、20世紀末までのヨーロッパ各国は、極めて多彩な、特徴的な政治構造を発展させてきた。そのため、20前後の中小サイズの国々の政治発展を比較対照することで、いかなる要因が政治のあり方を規定しているのか、を説得的に示すことが期待できる。得られる知見は、日本の近現代政治を理解する上でも、また現在の政治や政策形成の考察にあたっても、有用性を持つだろう。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0124231
FLA-PS2702L1
ヨーロッパ政治史
中山 洋平
A1 A2
火曜4限、金曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
4
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
法学部
授業計画
***以下は2024年2月時点の構想である。8月末ころまでに内容を更新する予定*** 大衆動員と組織化、総力戦、ヨーロッパ統合など、各々の時代に固有で、一回性の強い現象が各国の政治構造にいかなる刻印を残したかを辿りつつも、中央地方関係や福祉国家などの通時的な視点で構造変動を概観し、1世紀半にわたる変化の過程に見取り図を与えることを目指す。 本年度は、①20世紀に重点を移し、②移民や反ユダヤ主義、植民地支配などのトピックにも一定の時間を割きたい。③全体として、進行速度の適正化にも努める。 そのため、19世紀半ばまで(下記の第1部)については、詳細は教科書に委ね、講義では全体像を示しつつ、要点を押さえた上で、補足的な説明を行う。 暫定的シラバス      *括弧内は放送大学の教科書の中山執筆部分の対応章 第1部  第1章 絶対主義の統治構造と国家機構形成(2章)  第2章 自由化/民主化の始動(3~4章)   第3章 ナショナリズムの時代(5章) 第2部  第4章 世紀末の大衆動員・組織化と福祉国家の建設(6~7章)  第5章 第一次大戦と戦間期民主制の明暗(8~9章) 第3部  第6章 戦後高度成長期の政治:ネオ・コーポラティズム、福祉国家と政党政治  第7章 「組織の時代」の終焉:68年、石油危機とグローバル化
授業の方法
1 例年通り、対面形式を基本としつつ、オンライン形式も交えて実施する。 録画で復習ができる、本郷生も受講しやすい、などの利便性を活かすため、対面形式の回についてもZoom配信を行い、録画を閲覧可能にする予定である。担当教員のIT能力は限られているが、オンラインならではの可能性を講義に活かしていきたい。 2 第1~2部(戦間期まで)については、教科書(下記参照)の対応する章(上記「授業計画」参照)を事前に読み、疑問・不明点、感想、批判などを学習管理システム(ITC-LMSの後継)を通じて、リアクション・ペーパーとして提出することを推奨する(義務ではない)。特に第1部については、事前に提出されたペーパーの内容は、適宜、講義に反映させるよう努める。 リアクション・ペーパーの提出方法については、新しい学習管理システム(UTokyoLMS)に即して、後日、ここで指示する。 3 質問は歓迎する。講義終了後に加えて、メールや学習管理システムでも受け付ける。主としてオンライン形式の回を念頭に、オフィスアワーをZoom上で随時設定する。
成績評価方法
昨年度同様、対面での通常の筆記試験を行う予定。
教科書
中山洋平・水島治郎『ヨーロッパ政治史 改訂版』(放送大学教育振興会、2024年)を使用する。 教科書を読んでいなくても講義を理解できるよう心掛けるが、第1~2部については講義内容の主要な部分は教科書の対応する章で述べられており、特に第1部については事前に読んでくることを強く勧める。
参考書
参考文献については、教科書各章に掲げた一覧の他、レジメや講義の中で適宜紹介する。 とりわけ、篠原一『ヨーロッパの政治』(東京大学出版会、1986年)は、参考書として講義中に随時参照する。中山の講義より幅広い政治現象を扱い、多彩な理論を紹介している。 時代毎の主要な思想や学問潮流が、政治構造の変動とどうかかわっていたか、についても若干触れるつもりだが、この点については下記が極めて有益。 ヤン=ヴェルナー ミュラー『試される民主主義 20世紀ヨーロッパの政治思想(上・下)』岩波書店、2019年。
履修上の注意
ITC-LMSを通じてレジメ(Word形式とPDF)を前日の晩までに配布する。 レジメは最小限の枚数に収まるように作成するので、必要に応じて各自、Word上で余白を拡げるなどしてほしい。 高校世界史の基礎知識がやや心許なくても、レジメや教科書を見て、高校の教科書や用語集の関連箇所を見直して来れば足りるはずである。 レジメで紹介する参考文献などを手掛かりに、自分の関心に従って先に進もうとする学生には決して支援を惜しまない。