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最終更新日:2024年4月22日

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民法演習

民法と労働法
今次の債権法改正における種々の検討の中で、民法学と労働法学との対話の不全が浮かび上がった。その一因は、高度に専門分化した労働法に関して、民法学からの無造作な介入に対する労働法学・労働界が示す警戒感にあったようにも思われるが、他方でそこには主として契約法理論に関して、民法学が、就労契約関係の今日的状況を視野に入れた理論的努力という点で十分でないという現状があることは否定できない。
他方で、外野から見ると、ここ数十年の労働法学における、個別的労働関係法と集団的労働関係法との比重の変化、特に労働契約論の位置付けの変化には目を見張るものがある。
かくして、労働判例および労働法学における労働契約の理論的装備を、民法学における最先端の契約法理論と突き合わせて、就労契約関係をめぐる現代法状況に対する民法学のsensitivityを高めることは、重要な今日的課題となっているように思われる。
そこで本ゼミではその準備作業として、近時の重要判例や論文を渉猟して、まずは論点の洗い出しと対話の可能性を探ることを目的とする。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0123009S
FLA-SE4201S2
民法演習
森田 修
S1 S2
火曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
法学部
授業計画
次のような内容を予定しているが、検討対象裁判例は変更することがある はじめに  ゼミの狙いと進め方、対象判例の分担 第1部 契約規範論と労働契約 第1講 契約の成立と労働契約  検討対象裁判例:横浜南労基所長事件・最判平成8年11月28日労判714号14頁 第2講 契約解釈・補充と労働契約 検討対象裁判例:商大八戸の里事件・大阪高判平成5年6月25日労判679号32頁 第3講 契約意思の真正性と労働契約 検討対象裁判例:日新製鋼事件・最判平成2年11月26日民集44巻8号1085頁 第4講「契約の修正」と労働契約 検討対象裁判例:秋北バス事件・最判昭和43年12月25日民集22巻13号3459頁 第5講「契約規範の実質原理」と労働契約 検討対象裁判例:ハマキョウレックス事件・最判平成30年6月1日民集72巻2号88頁 第6講 契約複合と労働契約 検討対象裁判例:パスコ事件・最判平成21年12月18日民集63巻10号2754頁 第2部 債務構造論と労働契約 第7講 主債務の構造と労働契約  検討対象裁判例 大星ビル管理事件・最判平成14年2月28日民集56巻2号361頁 第8講 付随義務論と労働契約  検討対象裁判例:大石塗装事件・最判昭和55年12月18日民集34巻7号888頁 第9講 契約法理論と配転命令 検討対象裁判例 東亜ペイント事件・最判昭和61年7月14日労判477号6頁 第10講 契約法理論と懲戒・昇進 検討対象裁判例:ネスレ日本事件・最判平成18年10月6日労判925号11頁 第11講 契約法理論と集団的労働関係 検討対象裁判例:ノースウエスト航空事件・最判昭和62年7月17日民集41巻5号1283頁 第3部 契約の解消と労働契約 第12講 契約の解除と労働契約  検討対象裁判例:東洋酵素事件・東京高判昭和54年10月29日労判330号71頁 第13講 契約の終了と労働契約  検討対象裁判例:日立メディコ事件・最判昭和61年12月4日労判486号6頁
授業の方法
各回報告者を指定し、裁判例の報告を行い、それに基づいて自由に討論する
成績評価方法
平常点に基づき合格不合格の判定を行う
教科書
特に指定しない
参考書
荒木尚志『労働法』(第5版)。各回で取り扱う文献・判例等の資料は初回に提示する
履修上の注意
指定された裁判例・文献について予習を十分に行い、積極的に発言をすることが求められる。 講義に関する事務連絡・資料提供は、ITC-LMSおよび下記HPを通じて行う。