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最終更新日:2025年4月21日

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東洋法制史

先秦以来清末に至る,所謂「伝統中国」における「法」的諸現象についての基礎的な見通しを与えることを目的とする。一方でこの「伝統中国」なる巨大な時空間においては,その中に様々な局面での時代的変遷が存したにせよ,巨視的に見て体制の基本的な「型」が持続したとされる。他方,「伝統中国」内部の各時代においても,その時代から見た「伝統」が再解釈・再利用されて社会編成上の貴重な資源となり,(特定の時代において特定の利害関心を抱く)多種多様な主体によるこうした再解釈・再利用の過程を通じて,上に触れた一定の「型」の持続が担われた,こともまた知られていると言える。そして「伝統」をめぐるこのような動態は,現代においても中国社会を形づくる有力な動因の一つである。

以上の如き歴史的動態を前提として,本講義は伝統中国における「家族」「団体」をめぐる諸問題,民間の地域社会編成と国家官僚機構による裁判・徴税活動との関係,財産保有・取引の在り方,刑事裁判制度の存立基盤、といった諸側面を扱う。手順としては,これらの分野に関する現行の学問的知見について基礎的な概説を行った後に,個別具体的な事例研究等を通じて,「法」的諸現象の背後に存する社会構造及び巨視的な社会変動,更にはそこに見られる「伝統」及びその再解釈・再利用過程がもち得る現代的意義,等に論及することが目指される。そしてこうした議論の過程において,法制史学において対象とされる「法」が如何なるものであり得るか,またそうした「法」とそれを「支える」社会構造との間に如何なる関係が成立するか,更には「比較法学・比較法文化」的な関心と歴史学的な認識との間の関係について如何なる見通しが可能か,といった諸問題にも,特に関心が払われることとなる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0122691
FLA-BL4608L1
東洋法制史
松原 健太郎
S1 S2
月曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
法学部
授業計画
初回に導入的な概論を行った後、1.個人・家・宗族 2.国家統合と地域社会編成 3.財産保有・取引諸制度の社会的基層 4.刑事裁判制度の再定位 5.法と社会構造の歴史学的対象化、の順に講義する。
授業の方法
主として講義による。一部討論形式を含む予定。
成績評価方法
学期末試験による。
教科書
教科書は存在しない。参考文献については講義の過程で適宜指示するが,本講義の出発点に存する見通しを示す著作として,滋賀秀三『中国家族法の原理』(創文社,1967)及び同『清代中国の法と裁判』(創文社,1984)『続・清代中国の法と裁判』(創文社,2009)を挙げる。
参考書
David Faure EMPEROR AND ANCESTOR: STATE AND LINEAGE IN SOUTH CHINA (Stanford University Press, 2007). Kentaro Matsubara "East, East, and West: Comparative Law and the Historical Processes of Legal Interaction in China and Japan" The American Journal of Comparative Law, 66, 4 (2018), 769–789
履修上の注意
評価は期末レポートとそのレポートについての口述試験による。