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最終更新日:2024年4月22日
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比較政治III(先進国の政治)
この講義は,政党デモクラシーの構造と変容をヨーロッパの事例を中心として検討するものである.具体的には第二次世界大戦後(ca. 1950-80s)の西ヨーロッパにおいて安定をみた,議会を中心とする政党デモクラシーを,「デモクラシーという理念の一つの歴史的実装」と位置づけ,その社会的前提条件,現実の運営,規範的位置を検討する.その上で,その後(ca. 1990s-)の変容を検討しながら,この「歴史的実装」が現在直面している困難を分析する.
もちろん戦後ヨーロッパはローカルな特殊事例に過ぎない.大統領制における政党の意義は議会制におけるそれと大きく異なり,社会的諸条件に応じて政党の果たす機能も相違する.しかしこの特殊事例の検討には,理論的・普遍的に説明可能なものと歴史的・社会的条件に依存している部分を腑分けするという,一般的に必要とされる作業が含まれる.また,この特殊ヨーロッパ的な「歴史的実装」はさまざまな分析的・規範的モデルを通じて政治学的な思考に強く影響していおり,その帰趨は政党とデモクラシーをめぐる議論全体に影響しうる.これらの点で,他の地域・時期に主たる関心を持つ受講者に対しても一定の有益な知見をもたらすものと期待している.
なお,本講義のパースペクティブは歴史的なものである.新たな因果関係の説明を提示するより,事態の理解と概念化に重点はおかれる.しかし講義のなかでは先端的な比較政治研究の成果も随時紹介する.またこれを通じて「比較政治の経験的研究はより広く理論的・規範的な議論にも貢献しうる」ことも示されるであろう.
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