学部後期課程
HOME 学部後期課程 比較政治III(先進国の政治)
過去(2021年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月22日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

比較政治III(先進国の政治)

 この講義は,政党デモクラシーの構造と変容をヨーロッパの事例を中心として検討するものである.具体的には第二次世界大戦後(ca. 1950-80s)の西ヨーロッパにおいて安定をみた,議会を中心とする政党デモクラシーを,「デモクラシーという理念の一つの歴史的実装」と位置づけ,その社会的前提条件,現実の運営,規範的位置を検討する.その上で,その後(ca. 1990s-)の変容を検討しながら,この「歴史的実装」が現在直面している困難を分析する.
 もちろん戦後ヨーロッパはローカルな特殊事例に過ぎない.大統領制における政党の意義は議会制におけるそれと大きく異なり,社会的諸条件に応じて政党の果たす機能も相違する.しかしこの特殊事例の検討には,理論的・普遍的に説明可能なものと歴史的・社会的条件に依存している部分を腑分けするという,一般的に必要とされる作業が含まれる.また,この特殊ヨーロッパ的な「歴史的実装」はさまざまな分析的・規範的モデルを通じて政治学的な思考に強く影響していおり,その帰趨は政党とデモクラシーをめぐる議論全体に影響しうる.これらの点で,他の地域・時期に主たる関心を持つ受講者に対しても一定の有益な知見をもたらすものと期待している.
 なお,本講義のパースペクティブは歴史的なものである.新たな因果関係の説明を提示するより,事態の理解と概念化に重点はおかれる.しかし講義のなかでは先端的な比較政治研究の成果も随時紹介する.またこれを通じて「比較政治の経験的研究はより広く理論的・規範的な議論にも貢献しうる」ことも示されるであろう.
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0121553
FLA-PS4710L1
比較政治III(先進国の政治)
網谷 龍介
A1 A2
木曜3限
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
法学部
授業計画
おおむね以下のような項目立てで進める予定である. 1.イントロダクション 2.ヨーロッパ民主化の諸段階と時期区分 3.組織政党デモクラシーの社会的基礎 4.組織政党デモクラシーの理論構造 5.組織政党デモクラシーの組織基盤 6.イデオロギー的変容と政党デモクラシー 7.社会変容と政党デモクラシー 8.ポスト組織政党のデモクラシー? 9.ポピュリズムと正解の政治 10.「立憲主義」対デモクラシー 11.司法部の政治的機能条件とネットワーク化 12.開かれた国家と正統性 13.まとめ
授業の方法
講義
成績評価方法
試験80%+平常点(各回の小課題)20%.詳細は別途説明する.
教科書
なし
参考書
 講義全体に対応する特定の参考書は存在しないが部分的には,伊藤武,網谷龍介編『ヨーロッパ・デモクラシーの論点』(ナカニシヤ出版,2021年)が密接に関連した内容を含む.講義の背景となるヨーロッパ政治像を概観するための参考書としては網谷龍介,伊藤武,成廣孝編『ヨーロッパのデモクラシー 第2版』(ナカニシヤ出版,2014年)を参照.  この講義では「戦後デモクラシー」を現在とは区別される一つの時期として捉えることが必要である,という(必ずしも一般的ではない)観点に立っているが,その含意について予め検討しておきたい方は担当者の以下の論文を参照されたい(いずれも担当者の個人ウェブサイトで閲覧可能である). 「戦後ヨーロッパにはリベラル・デモクラシーが成立し,発展したのか?――現実に存在したデモクラシーの正統性原理とその変容をめぐる序論的考察――」『国際関係学研究』,第45号,2018年,1-16頁.「『ポスト・デモクラシー』論と『戦後デモクラシー』の間」『生活経済政策』,204号,2014年1月,31-36頁.
履修上の注意
なし