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最終更新日:2024年4月22日

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ヨーロッパ政治史演習(外国語科目)

西ヨーロッパ政治における福祉国家のインパクト:ビスマルクから反移民極右政党まで
従来の比較政治学や比較政治史における福祉国家研究では、福祉国家を類型化した上で、なぜそのような分岐が生まれたかを、階級関係などの要因で説明するというパターンが支配的だった。
しかし近年では、国毎に福祉国家が一旦確立されると、これを構成する社会保障の諸制度は一定の安定性を獲得し、やがて、政党制など、政治のあり方を規定し始める、という逆方向の因果関係があることも知られ始めた。
今年度のゼミでは、まず、ドイツを事例に、ビスマルク統治下に構築された社会保険制度が労使関係などを造形することで、戦後高度成長期や石油危機後の経済運営のあり方を規定したことを見ていく(Manow 2020)。
次いで、現代の政党政治に視線を移し、社会保障給付から移民(系住民)を排除しようとする「福祉排外主義」(welfare chauvinism)に着目する。近年の西ヨーロッパ諸国ではこうした感情が民衆を捉え、極右政党躍進の原動力のひとつとなっている。その背景を探る中で、手厚い福祉給付の制度こそ、福祉排外主義の温床になっているのではないかといった指摘も出てきた。この点を巡る現在進行形の論争に分け入っていきたい(Koning 2019)。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0120044S
ヨーロッパ政治史演習(外国語科目)
中山 洋平
A1 A2
金曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
法学部
授業計画
下記の2冊の英文書籍を中心に、関連の邦語文献などを組み合わせて輪読する。 基本的には学部生に照準を合わせ、1回につき1章のペースで講読していくが、参加者数などによっては、追加の英語論文を割り当てる可能性もある。
授業の方法
報告者は、比較的詳細なレジメを参加者全員に配布した上で、口頭で簡潔な内容紹介を行うと共に、関連文献の調査などを踏まえて、論点提示などのコメントを添えること。 他の参加者は、ただテキストを読み流すのではなく、テキストの内容に関する質問やコメントを出せるよう準備してくることが求められる。 報告者は他の参加者からの質問に答えることが求められる。ただ単にテキストを要約するだけではなく、テキストの内容について必要な追加調査を尽くした上で報告に臨むこと。 今年度のゼミは、原則としてオンライン形態で実施する。但し、初回のほか、何回か対面を織り交ぜて行う可能性もある。 特に初回については、オンラインか対面かは、履修者の確定後に決定し、担当教員からのメールや各種掲示で連絡する。決して間違えないよう、最新の情報をメールや各種掲示で必ず確認すること。 担当教員のIT能力は極めて限定的で、しかもオンライン講義の担当は今学期が初めてとなる。試行錯誤が予想されるが、オンラインならではの可能性も活かしつつ、ゼミを進めていきたい。
成績評価方法
定められた回数の報告を行うほか、毎回のゼミへの出席と議論への参加が単位履修の要件である。 成績評価は、上記の観点に照らし、報告と議論参加の質によって行う。
教科書
Philip Manow, Social Protection, Capitalist Production: The Bismarckian Welfare State in the German Political Economy, 1880-2015, Oxford University Press, 2020. Edward Anthony Koning, Immigration and the politics of welfare exclusion: Selective Solidarity in Western Democracies, University of Toronto Press, 2019. 上記2冊に加えて、下記の本の一部も教材とする予定である。 Jonathan Hopkin, Anti-System Politics: The Crisis of Market Liberalism in Rich Democracies, Oxford University Press, 2020.
参考書
開講までに、下記の第7、11、14章を精読しておくこと。   中山洋平・水島治郎『ヨーロッパ政治史』(放送大学教育振興会、2020年) 但し、本書には、遺憾ながら多数の誤植・誤記があるため、中山の学部ホームページ(下記)ないしITC-LMS上に掲載する正誤表を必ず参照すること。 下記の第6、10、12-14章も有益である。   平島健司・飯田芳弘『ヨーロッパ政治史(改訂新版)』(放送大学教育振興会、2010年) ヨーロッパ各国の政治全般の背景知識は下記で効率的に得られる。   馬場康雄・平島健司編『ヨーロッパ政治ハンドブック(第二版)』(東京大学出版会、2010年) その他、テキストの理解の助けとなる邦語文献を適宜、配布する予定である。
履修上の注意
法学部の講義「ヨーロッパ政治史」を聴講(履修)済みであることを前提にする。そうでない者、理解度に自信のない者は、上記の中山・水島『ヨーロッパ政治史』を通読しておくこと。 ゼミは毎回、時間延長が見込まれるので、毎週、午後7時までは予定を確実に空けておくこと。 初回は必ず出席すること。どうしてもやむを得ず欠席する場合は、メール(下記)で必ず連絡すること。 初回をオンラインと対面のどちらで行うかは、履修者の確定後に決定し、担当教員からのメールや各種掲示で連絡する。決して間違えないよう、最新の情報をメールや各種掲示で必ず確認すること。 ゼミに関する教員との連絡は、メールを基本とする。履修申し込み時に届け出たメール・アドレスを定期的にチェックし、ゴミ箱に振り分けられたりしないよう、設定に注意すること。 毎回のゼミへの出席は単位履修の要件である。やむを得ない理由で欠席する場合は、事前に教員あてに理由を明記して申し出ること。無断ないし正当な理由のない欠席が繰り返された場合、履修を放棄したとみなす。 大学院の法学政治学研究科総合法政専攻、公共政策教育部と合併。