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最終更新日:2024年4月1日

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国際政治演習

地域紛争と平和構築 / Regional Conflicts and Peace Building
この演習は、地域紛争と平和構築について、長い歴史の射程と広汎な地域を前提とした一般的考察を加え、その上で具体的な検討を行うものである。国際政治学は、大国と大国の関係を対象とするのが通常であるが、紛争の主体は大国ばかりでなく、小国、さらに国家が領土と国民を統治する力を持たない破綻国家と非国家主体であることも無視できない。さらに、地域紛争と大規模な戦争の境界線を引くことがいかに難しいかは、第一次・第二次バルカン戦争と第一次大戦を対照して見るなら明らかだろう。
第一部では、内戦の犠牲を難民問題から捉えるとともに、なぜそのような紛争が起こるのかについて、地球環境の変化、エスニティとアイデンティティ、社会資源の配分と経済的要因、権威主義体制の民主化、平和構築について、代表的な文献・論文を読み、討論を行う。続いて、内戦への介入についてグロープニ分かれた報告と発表を行う。ゼミ参加者は、論文に批評を加えるだけでなく、論文と異なる仮説を立てることはできないか、またその仮説を立証するためにはどのような作業が必要なのかを考えていただきたい。
第二部では、各自の選んだ事例に則し、地域紛争と平和構築について各自が研究を行い、その中間成果をゼミで報告する。最後に、コロナウイルス危機が収束した場合には2020年9月に合宿を行い、各自が執筆した論文を報告するものとする。なお、この演習はリサーチ・セミナーであり、入門的知識の習得は目的ではない。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0120003S
FLA-SE4709S2
国際政治演習
藤原 帰一
S1 S2
水曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
法学部
授業計画
1.オリエンテーション (4.08) この演習の内容を紹介する。Zoomによるオンライン講義となるため、接続の確認、Zoom機能の紹介とチャット機能のテスト、メンバーの(バーチュアルな)顔合わせが中心となる。 2.内戦と難民 (4.15) 文献を読んだ上で、現代世界における内戦は国内社会と国際関係をどのように揺るがしていると考えられるか、内戦・難民と国際関係について総合討論を行う。事前のレジュメの作成は必要ないが、Zoom講義において自分が関心を持った問題点、国・地域について、チャット機能を使って書き込むこと。そのチャットをもとに、藤原が指名して発言を行うものとする。 UNHCR Global Trends in Forced Displacements 2018 (June 2019) https://www.unhcr.org/***** 3.地球環境の変化と内戦 (4.22) Jan Selby, Climate change and the Syrian civil war, Part II: The Jazira’s agrarian crisis, Geoforum 101 (May 2019): 260-274 Jan Selby, Omar S. Dahib, Christiane Fröhlichcd, Mike Hulmee, “Climate change and the Syrian civil war revisited,” Political Geography 60 (September 2017): 232-244 4.エスニシティとアイデンティティ (4.29) Donald Horowitz. 1985. Ethnic Groups in Conflict. [Chapters 1, 4-5]. Berkeley, CA: University of California Press. Bruce Gilley. 2004. “Against the Concept of Ethnic Conflict.” Third World Quarterly 25(6): 1155-1166. 5.社会経済的要因 (5.06) Timothy Besley and Torsten Persson. 2011. Pillars of Prosperity: The Political Economics of Development Clusters. [Read Chapter 1. Skim Chapter 8]. Princeton: Princeton University Press. Paul Collier and Anthony J. Venables. 2010. Natural Resources and State Fragility. EUI Working Paper RSCAS 2010/36 Jonathan Di John. 2011. “Is There Really a Resource Curse? A Critical Survey of Theory and Evidence.” Global Governance 17, pp. 167-184 6.権威主義体制・民主化・内戦 (5.13) Jack Snyder. 2000. From Voting to Violence [Chapters 1-2, 6]. New York: Norton. Raymond Hinnebusch. 2015. “Introduction: understanding the consequences of the Arab uprisings: Starting Points and Divergent Trajectories.” Democratization, Vol. 22 Alfred Stepan and Juan J. Linz. 2013. “Democratization Theory and the ‘Arab Spring.’” Journal of Democracy, Vol. 24, No.2, pp.15-30. 7.平和構築 (5.20) Michael W. Doyle and Nicholas Sambanis, “Making War and Building Peace: United Nations Peace Operations”. Princeton, N.J.: Princeton University Press, 2006, pp: 1-26, 197-302.. 8.グループ討論 内戦と軍事介入 (5.27) これまで五回にわたって取り上げた文献を踏まえ、内戦の勃発と内戦の収束に当たって第三国、もしくは複数の諸国による軍事介入が果たした役割について議論を行う。事例としては、旧ユーゴスラビア、ルワンダ・コンゴ、イラク、シリアの四つの国家・地域のなかから各班が選ぶものを対象とし、各班による報告の後に討論を行う。 9.論文の書き方 (6.03) ● 参考資料 論文の書き方 ● 提出資料 論文のテーマと構成 A4二枚 ゼミ論文で扱うテーマについて、論文で答えたい問いを中心として、班全体で、A4二枚にまとめ、班ごとに報告する。班全体で共通のテーマがあることが望ましいが、そのなかで各自が独自の研究計画を立てることは差し支えない。 10.中間報告 1 (6.10) 11.中間報告 2 (6.17) 12.中間報告 3       (6.24) 13.中間報告 4       (7.01) ● 論文第一稿提出締め切り 9月10日(木曜)正午 ● 合宿もしくはオンラインミーティング 日程原案は9月11日(金曜)午後1時-12日(土曜)午後1時まで
授業の方法
(1) 班  参加者はA、B、C、D四つの班に分かれる。班の構成は第1回に相談し、第2回に決定する。班ごとの報告は第3回(4月22日)から行うものとする。 (2) 論文の講読・発表  シラバスや参考資料はITC-LMS https://itc-lms.ecc.u-tokyo.ac.jp/*****からダウンロードしていただきたい。なお、ダウンロードを行うためには科目登録が必要である。各班は、A4一枚(班全体で)のレジュメを作成し、ゼミにおいて10分以内で報告しなければならない。班毎の持ち回りではなく、毎回それぞれの班が報告しなければならない。提出期限はゼミ前日(各週火曜日)の午後4時とする。レジュメはワードあるいはPDF形式のものを電子メールに添付して、ゼミ参加者全員に送るものとする。  報告に当たっては、Zoomを使って、班の担当者が報告を行う。複数名による報告でも、ひとりが代表して行うものでもよい。対象となる論文を要約することは目的ではないが、その論文の主旨を自分の言葉でまとめることが望ましい。さらに、その論文の仮説は妥当か、間違っていないか、他に仮説はあり得ないのか、論文の根拠として提示される資料やデータは適切かなど、論文の抱える問題点、論点を指摘することが重要である。各班の報告が行われた後に、討論を行う。発言を求めるものは、チャットでそのポイントを書き込み、藤原が指名する。 (3) 中間報告 班ごとに共通のテーマを立て、そのテーマのなかで、各自が論文を執筆する。中間報告では、その内容を班ごとに研究計画にまとめ、6月3日の演習において各班A4で2ページのものを提出する。研究計画は、課題設定、仮説、先行研究、研究方法、この4点が明確でなければならない。 (1)課題設定  どのような疑問に答えようとするのか (2)仮説 その疑問に対して、どのような仮説を立てるのか (3)先行研究 これまでに行われた研究と自分の仮説の関係 (4)研究方法 どのような方法とデータによってその仮説を立証できるのか。  中間報告では、上記4点を明確にした30分以内の報告を行い、その後に討論を行う。 (4) 研究論文の準備と作成  中間報告を終えた後、個別の論文指導を行い、それを踏まえて論文を執筆する。論文の提出〆切は9月11日(金曜)とする。それぞれの論文は2万字(400字詰め原稿用紙50枚)程度とする。 (5) 合宿 夏休み後、コロナウイルス感染が収束したと考えられる場合には執筆した論文の報告と討論のため、一泊二日の合宿を行う。合宿を行うことが難しい場合は、オンライン形式によるワークショップを行う。日程については追って検討するものとする。
成績評価方法
成績評価については、論文講読 40%、研究計画 20%、論文 40%の配分とする。また、長期・短期留学などにより合宿に参加できない者についても論文提出を求めている点に注意されたい。
教科書
追ってアップロードする。
参考書
追ってアップロードする。
履修上の注意
ゼミに欠席する場合は必ず事前にメールにて通知すること(LINEによるものも認める)。最終論文は英文でも和文でもよい。プレゼンテーションはパワーポイントの使用を原則とし、スライド数は合計15枚以内とする。