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法哲学演習(外国語科目)

現代法哲学の基本問題(17)――移民難民問題における正義
21世紀に入って、一旦は昂揚を見せた「世界正義(Global Justice)」の探究が、近年、先進諸国における自国中心主義の台頭により巻き返しを受けている。その一つの背景には移民難民問題の深刻化がある。途上国における内戦頻発や経済破綻により移民難民が急増する反面、経済的グローバルの進展が欧米先進諸国の労働者階級にも雇用不安を与え、さらにはテロが急増したことにより、それまで移民難民を比較的寛大に受容してきた欧米先進諸国においても排外的ナショナリズムが強まってきた。他方、移民難民受け入れに極めて消極的だった日本では、少子高齢化による労働力不足の深刻化から政府は移民受け入れ拡大方針への転換を試みているが、これは保守勢力の反発を招いているだけでなく、論議不十分なまま省令丸投げ法案を性急に押し通す政府の姿勢が野党や人権派からの批判も招いている。
本演習では、以上の現実的問題状況を踏まえつつ、教科書欄に挙げた二冊の英語文献教材で提示されている様々な立場の検討を通じて、移民難民政策の規範的指針を正義の観点から原理的に問い直し、今後の日本の移民難民政策の在り方を考察するとともに、自国中心主義の高まりに的確に対処しうるような世界正義の理念の再編の方途を探る。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0119005S
FLA-SE4614S2
法哲学演習(外国語科目)
井上 達夫
S1 S2
月曜5限
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教室
本郷その他(学内等) 各演習室
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
法学部
授業計画
授業初回に、本演習の主題の背景となる問題状況・理論状況ついて概説する。二回目以降、教材の各章につき担当者が要約とコメントを行い、それを受けて全員で討議する。
授業の方法
演習形式。
成績評価方法
報告義務履行は単位取得条件。レポート提出は単位取得条件ではないが、優以上の評価はレポート提出者にのみ与える。
教科書
Warren Schwartz (ed.), Justice in Immigration, Cambridge U. P., 1995. Christopher Wellman and Phillip Cole, Debating the Ethics of Immigration: Is There a Right to Exclude? Oxford U. P., 2011. 以上の二冊の英語教材については開講時に複写物を配布する。
参考書
井上達夫『世界正義論』筑摩書房、2012年。
履修上の注意
初回の授業で、演習主題の趣旨説明を行うので必ず出席すること。 教材の英語文献は、自己の報告担当部分だけでなく、毎回の授業の対象箇所も事前に読み討議参加できるよう準備すること。 参考文献に指定した拙著『世界正義論』は、世界正義論の課題と方法を包括的に検討し、世界経済正義との関係で移民問題の位置づけも与えているので、演習参加者は予め入手して、事前または演習進行にあわせて読んでおくことが求められる。