9月2日(月)10:00~13:00 3号館113室
担当:陳 姿因(東京大学 総合文化研究科)
講義名:眼球運動計測 ― visual world paradigm実験演習
講義内容:我々人間の目の動きは随意的ではなく、高次の認知的プロセスと密接に関わっている。目がいつ、どこに向けているかは即時処理や予測処理の指標になる。Visual world paradigm実験法とは、音声を聞きながら、複数の視覚提示の中からターゲットを探し出す課題で、特に心理言語学で抽象的な認知プロセスを推定するのによく利用される方法の一つである。授業の前半にはvisual world paradigm実験の原理とデザインする際の注意点を概説する。後半には実験を体験してもらい、データ分析を演示する。統計フリーソフトRをインストール済みの個人PCを持ち込むことをおすすめする。
9月2日(月)14:00~17:00 3号館113室
担当:柳原 真 (東京大学 総合文化研究科)
講義名:鳴禽類における発声学習の神経機構
講義内容:子供がことばを学ぶように、鳴禽類の幼鳥は生後の限られた時期に「さえずり」と呼ばれる発声を学習する。鳴禽類の脳内にはこのさえずりに特化した神経回路が明瞭に存在することから、これまで鳴禽類を対象とした発声学習に関する研究が盛んにおこなわれてきた。本講義では、行動学や神経科学の様々な研究手法によって明らかになってきた発声学習の神経機構について概説するとともに、実際に動物脳内の神経細胞から神経活動を計測する生理学実験も体験する。
9月3日(火)10:00~13:00 3号館113室
担当:小林 由紀 (東京大学 進化認知科学研究センター)
講義名:言語の脳内処理 ― 脳波計測実習
講義内容:脳波測定はヒトの脳から生じる電気活動を記録し観察する方法である。特に,特定の刺激に関連して生じる事象関連電位(event-related potentials)は,その刺激の処理過程を反映すると考えられるため,人間の言語処理過程を解明するのに非常に有用である。前半は脳波の基礎知識と測定手法と解析手法,さらに,言語処理過程を脳波測定によってどのように解明するかについて実際の研究例を元にして講義する。後半は脳波測定室にて脳波計測と解析の実習を行う。
9月3日(火)14:00~17:00 3号館113室
担当:上條 槙子(東京大学 総合文化研究科)
講義名:行動からみる比較認知科学
講義内容:ヒト以外の動物を対象に研究し比較することで、ヒトの認知機能の仕組みや、いかにして進化してきたのかを明らかにしていくことが可能となる。また、動物を研究することにより、複雑に見えるヒトの行動の基礎となるものが理解されるようになってきた。本講義では、動物を対象に研究をすることで発見された行動の原理から、それらを応用してどのように動物の認知機能を研究してきたのか、研究例を紹介しながら解説する。後半では実際にラットを用いた行動実験を体験する。
9月4日(水)10:00~13:00 3号館113室
担当:中村 優子 (東京大学 人間行動科学研究拠点)、橘 亮輔
講義名:MRI装置を用いた脳活動計測の基礎と実践
講義内容:機能的MRI (fMRI)は、磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging, MRI)を用いて、非侵襲的に脳活動を計測することができる、比較的新しい実験手法である。fMRI研究は、2000年代から一般的に普及し、2010年代には、さまざまなデータの取得方法や解析方法が登場し、認知機能研究において主要な研究手法となった。現在では、視覚認知のような生理的機能から、善悪やモラルといったヒトに特有の高度な認知機能にいたるまで、幅広い研究テーマの追究に用いられている。本講義では、この手法の原理や実験計画法、解析方法などの基礎を解説する。さらに、MRI実験室にて基礎的なfMRI実験の実習をおこなう。
9月4日(水)14:00~17:00 3号館113室
担当:橘 亮輔 (東京大学 進化認知科学研究センター)、中村 優子
講義名:聴覚と運動を統合する脳メカニズム
講義内容:MRI装置を用いた脳活動計測研究の例として、聴覚情報を運動制御に統合する神経基盤に関する研究を紹介する。発話や音楽演奏には自分で作り出した音を聞きながら運動をうまく制御しなければならない。これを可能にする神経メカニズムの研究について概説する。また、午前中に行なった実験実習での計測結果を解説し議論する。