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最終更新日:2024年3月15日

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表象文化論特殊研究演習I

「文」または「礼」、儀礼と贈与によるヘゲモニーと帝国: 前近代の東アジア論
第一に、本授業は「朝貢システム」をキーワードの一つにしながら、その解釈史を史学史的に解明しようとする。それだけでなく、思想史的にも解明を試みたい。ここで言っている史学史とは狭い意味での歴史学の「朝貢システム」をめぐる研究・解釈を扱う系譜のことではあるが、東アジアの国際関係史の解釈も視野に入れる。史学史としての本書は、同時に思想史的なものでもあることは、例えば、戦後日本における「朝貢システム」に関連する東アジア論を戦後日本の思想史、政治史的立場においても検討することにする。本授業はこのような手続きをベースに筆者なりの東アジア論の展開を試みたい。
第二、本授業は国民国家体系以前の東アジアの国際体系とその研究史・解釈史を扱うことを趣旨としている以上、国民国家体系のアンチ・テーゼーとしての「帝国」論のような性格を有することになる。時代的には大雑把的には中国の明・清の1840年前までの時期とその前後の東アジアの歴史、とりわけ東アジアの国際情勢をめぐる研究史を扱いながら、この国際情勢が基づいているヘゲモニー構造を先行の解釈史を頼りにしながら解明を試みたい。
第三に、「贈与」と「礼」も本授業にとっての重要なキーワードの二つである。「礼」とは、中国の古代由来の政治的文化的概念ではあるが、本書においては主に「リチュアル(ritual)」という英訳として理解していただきたい 。礼という概念はリチュアルでは完全にカヴァーできないがリチュアルはその根幹部を成していることは問題はなかろう。従って理念・概念としてリチュアルでは完全にカヴァーできない場合は「礼」と表記し、儀礼に偏る場合は礼(リチュアル)と表記する。このような表記の使い分けで言いたいのは、礼という中国思想の概念を人類学の分野にあるritual studiesの示唆で見てみたいということである。「贈与」と「礼」という二つのキーワードで断っておきたいのは、本書は方法論的には東アジアの国際関係秩序において大きく機能してきた「朝貢システム」を人類学的視点を導入しながら考察を試みたいということである。贈与という概念は、ほかならずフランスの人類学者のマルセル・モース(1872-1950)の著書『贈与論』由来の概念である。本授業は史学史、知識人思想史、政治思想史的的性格を有している東アジア論である。以下のキーワードをご紹介しながら本書の特徴を簡明に説明しておきたい。
 授業中「中国」という用語が頻出するがこの「中国」は現在の国民国家体制にある中国ではなく、それとの対照にある前近代中国のことである。

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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C1125
FAS-CA4C25S1
表象文化論特殊研究演習I
林 少陽
S1 S2
火曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
授業は基本的に教員の準備した講義資料を配布して進行する予定である。 最初は講義のみであるが進行するにつれて学生による討論も行いたい。
授業の方法
講義と討論
成績評価方法
出席、参加の積極度(発表、討論など)、レポート
教科書
開講する際に指定する。
参考書
開講する際に指定する。
履修上の注意
開講する際に指定する。