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最終更新日:2024年4月1日

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科学技術社会論

科学技術社会論⼊⾨
【授業の目標】
科学技術社会論の学術的な基礎を理解する。
それを科学技術と社会のあいだで生じる現実の諸課題に適用できるようになる。
科学技術に関する諸課題や科学技術と社会の関係について、批判的思考(物事を当たり前とばかり見なさず、健全な懐疑の姿勢をとり続けること)を身につける。

【授業の概要】
科学技術は現代社会を支える基盤であり、その発展の原動力であり、しかし多くの社会的問題・争点の焦点ともなっている。科学技術を社会から切り離され、それとは全く独立に存在するものとはみなさずに、社会と相互作用し、あるいは社会のなかで展開される人間の活動として捉え、そこで生じるさまざまな課題に取り組む手がかりを見つけようとするのが科学技術社会論(STS: Social Studies of Science)と呼ばれる分野である。
STSは、様々な人文・社会科学の知見や方法を縦横に活用しながら、自然科学を単なる観察や分析の対象とばかりはみなさずに、積極的に関与したり協働したりすることもいとわない。あるいは、従来は学術的な活動の枠外と見なされがちだった、科学者・技術者・研究者以外の人びと(典型的には、さまざまな生業を持ち、公共的活動にも関与する市民)の役割を重視し、その力を引き出すことにも積極的だ。STSのこれまでの取り組みとその成果は、すでに現実の科学技術と社会の関係の変容を促してきたし、STS研究者は今日この瞬間もそこで生じるさまざまな問題に最前線で取り組んでいる。
本科目では、そうしたSTSのものの見方やそこから得られる含意、現実の諸課題への対処の手がかりを初学者向けに概説し、履修者が科学技術に関する諸課題や科学技術と社会の関係についての批判的思考を身につけることを促す。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
50283
CAS-GC1D71L1
科学技術社会論
寿楽 浩太
A1 A2
火曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
1.ガイダンス 2.科学とは何か、技術とは何か:STSのいくつかの見方 3.20世紀後半の科学技術と社会:恩恵の分配からリスクの分配へ 4.リスク社会の到来と科学技術の危機(1):TMI事故と「定常事故」論 5.リスク社会の到来と科学技術の危機(2):「カンブリアの羊」事例の分析 6.リスク社会の到来と科学技術の危機(3):BSE事例の含意 7.科学技術とリスクの社会的意思決定と市民参加(1):PUSからPESTへ 8.科学技術とリスクの社会的意思決定と市民参加(2):「無限責任の有限化」の試み 9.科学技術政策とイノベーション:ELSIからRRIへ 10.萌芽的な科学技術と科学技術社会論:生命・医療・情報分野の状況 11.今そこにある危機と科学的助言(1):福島原発事故事例 12.今そこにある危機と科学的助言(2):福島原発事故事例(続) 13.今そこにある危機と科学的助言(3):COVID-19事例
授業の方法
講義形式(オンライン・リアルタイム)で⾏う。⼈数によってはグループ討論の時間を設ける。
成績評価方法
学期中、何度か小レポートを課し、平常点を評価する(最終評価の35%分)。学期末に期末レポートを課す(最終評価の65%分)。
履修上の注意
本科目は科学技術と社会の関係について論じるため、科学技術の内実についての一定の理解を求めることになる。しかし、そのことは、個別の科学技術の専門的内容についての詳細な知識や情報をあらかじめ持っていることを求めるものでは全くない。逆に、本科目は哲学・思想・歴史・法律・経済・社会・文化などについての学術的な知見も扱うが、それも履修の前提として人文・社会科学に関する該博な専門知識を要求するものでは全くない。したがって、本科目はいわゆる「理系」「文系」双方の学生に対して、将来の専門やキャリアの選択にかかわらず、広く開かれている。積極的な履修を歓迎したい。