微生物機能開発学

10月3日（金）　永田裕二（東北大学生命科学研究科）「細菌の環境適応・進化機構から潜在的機能開発へ」 細菌は様々な環境変動に対して迅速に適応・進化する。本講義では、人為起源の環境汚染物質の分解資化能を有する細菌を対象とした研究から明らかになった細菌の環境適応・進化機構を紹介すると共に、それらの微生物の潜在的機能開発への応用の可能性について論ずる。 10月10日（金）　鈴木仁人（国立感染症研究所薬剤耐性研究センター）「薬剤耐性 (AMR) の現状と対策」 薬剤耐性菌は国際的な公衆衛生上の問題となっている。薬剤耐性菌の発生や拡散の仕組み、さらにその対策について紹介する。 10月17日（金）　宮澤佳甫（金沢大学理工研究域）「生物の構造解析のためのライフサイエンス顕微鏡学」 近年、生命現象を直接観察できる顕微鏡技術は飛躍的な発展を遂げています。本講義では、光学顕微鏡・電子顕微鏡・原子間力顕微鏡の基礎から最先端の計測技術まで広く解説し、農学分野の研究者の皆さんが研究開発現場でどのように顕微鏡を活用できるのか実例を基に説明します。 10月24日（金）　岡橋伸幸（大阪大学情報科学研究科）「代謝をとらえる包括的計測技術」 代謝はすべての生命にとって必須の基盤システムであるが、セントラルドグマの最下流に位置するため、ゲノム解析やトランスクリプトーム解析から推し量るのが難しい。そこで本講義では、糖代謝や脂質代謝を題材に、代謝を実際に計測する技術やその原理、研究事例などを紹介する。 10月31日（金）　水口千穂（東京大学農学生命科学研究科）「環境微生物のプラスミド学」 プラスミドは宿主細菌に薬剤耐性や難分解性物質分解能などの新規形質を付与するが、宿主によってプラスミド由来の形質の発現に違いが生じたり、宿主の生育や代謝に予想外の影響が出ることがある。本講義では、このようなプラスミドと宿主の相性とも言える現象の背景に存在する、プラスミドと宿主染色体間の相互作用について紹介し、プラスミドを保持した細菌の細胞内で何が起こっているのかを考察する。 11月7日（金）　細川正人（早稲田大学理工学術院）「微生物のシングルセル解析の最前線」 シングルセル解析は細胞の不均質性を明らかにし、希少な細胞集団の存在等を明らかにする技術としてヒトを初めとした真核生物研究に広く用いられるようになりました。その技術が、いま微生物にも対象拡大され注目されています。本講義では最前線の研究を紹介します。 11月14日（金）　跡見晴幸（京都大学工学研究科）「ゲノム情報を利用したアーキア代謝の解明」 第３の生物ドメインを構成するアーキアは、バクテリアや真核生物とは異なる代謝を示す場合が少なくない。本講義ではアーキアにおける特異な代謝様式を紹介するとともに、それらの同定に至るまでの解析プロセスを概説する。

対面で、スクール形式で実施する。

毎回の出席と講義内容に関連する最近の論文に関するレポートの内容によって成績を評価する。レポートでは、当該論文の内容を概説するだけではなく、その後の研究展開についてオリジナリティーある方針を示してもらいたい（論文の中で著者らに示されている方針だけでは評価しないので注意すること）。なお、各講義の最後に講義の感想・質問を受け付ける。

特になし

特になし

講義を受講する学生は非常勤講師の業績を事前に調べ、講義のタイトルに合致するような論文の内容をいくつか知った上で講義に臨んでください。 講義後には、それに基づいた質疑応答をしてもらうことで、より理解が深まるものと思われます。また、そのように事前学習に用いた論文を、最終レポートの題材としてもらうことを推奨します。

特になし