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最終更新日:2023年10月20日

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グローバルセキュリティと宗教

ロシア・ウクライナ戦争に見る軍事戦略と安全保障論の最前線

ロシア・ウクライナ戦争は、21世紀の戦争と平和について、従来の理論や前提に再考を促すものでした。近年の軍事学と安全保障論では、「新しい戦争」論が提起されていました。従来型の戦争とは異なる、戦時と平時が曖昧になる「新しい戦争」の時代を迎えている、と論じられ、ロシアは中国と並びその最大の発信源と目されてきました。

この授業では、実際に行われているロシア・ウクライナ戦争を分析しながら、軍事戦略と安全保障論の理論的な発展を振り返りながら、最新の動向の分析を踏まえた新展開を模索します。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
3788-084
GEN-AI6m07L1
グローバルセキュリティと宗教
池内 恵
S1
水曜3限、水曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
開講所属
工学系研究科
授業計画
1 4/5「古い戦争」の時代と思想 「新しい戦争」について理解する上の前提知識として、古典的な戦争論、特にクラウゼヴィッツの思想を素材に、ロシア・ウクライナ戦争を検討します。 2 4/19 非クラウゼヴィッツ戦争論 冷戦期から現在に至る「非クラウゼヴィッツ戦争論」の系譜を紹介しつつ、技術革新と戦争の関係に関する近年の理論的展開を、最新の情勢と照らし合わせて、再検討します。サイバーやドローン、AIなどが現在の戦争に及ぼしている影響の程度を検討します。 3 4/26 冷戦後ロシアの軍事思想家たち 現代ロシアの軍事思想、具体的には1990年代以降にロシアの軍人や安全保障専門家らが提起した将来戦争の形態とロシアの軍事態勢のあり方についての議論を紹介します。破壊戦略と消耗戦略の議論やこれに基づく伝統派と革命派の対立、ここから一線を画す近代派など、現代ロシアの軍事戦略を理解する上で欠かせない多くの重要概念を紹介しつつ、その現実への適用(あるいは不適用)を検討します。 4 5/10 ロシアにおける非軍事的闘争論 ロシアの軍事思想における、軍事力によらずして戦争と同等の目標を達成できると構想する系譜に焦点を当てます。メッスネル、ドゥーギン、パナーリンといった思想家等を中心に、軍事力によらない非軍事的闘争という考え方がどのようにしてロシアで発達していったのかを振り返ります。ロシアによるサイバー戦やフェイクニュースの拡散、あるいはロシアに対する経済制裁とその回避といった近年のトピックが、これらの思想とどのように結びつき、ロシア・ウクライナ戦争においてどう実践されたか、その想定された目標と実際の帰結を対照して検討します。 5 5/17 「新世代戦争」と「新型戦争」 ロシアの冷戦後の軍事思想と、非軍事的闘争論は、2000年代に入ってから次第に接近・合流していきます。この新しい潮流をここでは「新世代戦争」と「新型戦争」という二つのモデルを中心として考察します。同時に、近年のロシア軍が実施してきた軍事演習、およびロシア・ウクライナ戦争で行われた実戦の観察を踏まえ、現代ロシアの軍事思想の思想と現実の一致と齟齬を検討します。 6 5/24 ロシアの戦争終結戦略 現代ロシアの軍事戦略で構想されてきた「戦争の終結(war termination)」戦略を検討します。特に核戦略との関連を論じつつ、ウクライナ戦争の進展を見極めながら、実際の戦争の終結の道筋を考察します。 7 5/30 補論(状況に応じて追加。Q&Aなど)
成績評価方法
授業中にレポート課題を提示し、提出されたレポートを最大の要素として成績を評価する。
教科書
小泉悠『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書、2021年);小泉悠『ウクライナ戦争』(ちくま新書、2022年)
履修上の注意
指示しない
実務経験と授業科目の関連性
外務省・国会図書館等での調査業務、安全保障・未来工学等に関するコンサルティング業務で培った情報収集・分析手法を踏まえ、実践的経験を交えながら講義を行う。