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最終更新日:2024年4月22日
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グローバルセキュリティと宗教
旧ソ連と中東の関わりを中心として、国際政治のダイナミクスを理解することが本講義の大目的です。そこで本講義には、いくつかの視角を設定します。
その第一は、旧ソ連と中東というそれぞれの地域におけるリージョナルな文脈です。前者についてはソ連崩壊がもたらした余波やその後の旧ソ連諸国間の関係性、ロシアの独特な地位、後者においてはイスラーム思想が政治や社会に及ぼす影響、イスラエルとパレスチナ問題、アラブ世界とイランとの関係などが主な議論の対象となるでしょう。
第二に、以上で見た二つの世界が相互にどのように関連しているかという、インターリージョナルな視角を導入します。従来、両地域の関係性はあまり注目を集めてきませんでしたが、ロシアは近年、中東への関与を拡大しており、2015年にはシリアへの直接軍事介入を開始しました。一方、これと並行してトルコは旧オスマン帝国圏内での影響力拡大を目指した積極外交を展開し、やはりシリア等での軍事介入を行っています。
興味深いのは、ロシアが考える勢力圏(ロシア帝国〜ソ連が支配してきた地域)と旧オスマン帝国の勢力圏は一部で重なり合っているということです。大陸のプレート同士がぶつかる場所で激しい地殻変動が起きるように、ロシアとトルコの勢力圏はその断層面でいくつもの紛争や対立を引き起こしています。本講義ではこの点を中心として、旧ソ連と中東との相互連間について考えていく予定です。
最後に、グローバルな視点から旧ソ連と中東との関わり合いを見ていきます。米国や中国といったグローバル大国との関わり、アジアやアフリカといった隣接地域との関わり、気候変動や感染症等のグローバル課題との関わりといった関係性を通して、地球大の視野で考えた場合の旧ソ連=中東地域の位置付けについて検討していくのがここでの目的です。
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