大学院
HOME 大学院 地域アイデンティティ複合II
過去(2020年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月1日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

地域アイデンティティ複合II

フランスにおけるポスト植民地体制の展開
1960年代から70年代にかけて、フランス海外県では女性の身体に国家が介入し、本人の同意を得ない堕胎術や不妊術が行われて、一大スキャンダルを引き起こした。これは、かつてフランスによる植民地支配を受け、今や海外県としてフランス国家の一部をなす地域にあって、ポスト植民地体制がいかに植民地体制を引き継ぐものであるのかを示している。それと同時に、フランス革命に淵源をもつフランス共和主義が、逆説的ながらも、それに内在するものとしていかに植民地主義と不可分であり、ポスト植民地体制にあっても不可分であり続けているのかを示してもいる。
本授業では、フランス海外県のレユニオン(インド洋南西域)を主要な舞台として取り上げつつ、ポスト植民地体制における植民地主義の持続、共和主義と植民地主義との共犯性、国家と「身体」、とりわけ「非白人」であり、かつ「女性」である「身体」との関係を検討する。また、そこにおけるフェミニズムの位置取りについても批判的な検討を加える。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31M220-0122S
GAS-AS6A12L1
地域アイデンティティ複合II
森山 工
S1 S2
水曜5限
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
総合文化研究科
授業計画
Françoise Vergès, Le ventre des femmes: Capitalisme, racialisation, féminisme, Paris: Albin Michel, 2017 を主要講読文献としつつ、まず、主に1960年代から70年代のフランス海外県レユニオンにおける堕胎術および不妊術の実態を把握し、それがフランス本土における施策といかに背反するものであったのかを押さえる。その上で、植民地時代を通じたレユニオンへの奴隷の大規模な移入と、奴隷制廃止後の主としてインド系契約労働者の移入の歴史を踏まえつつ、資本主義の世界大的な浸透という社会=経済的な構造のなかで、「非白人」であり、かつ「女性」であるという複層的な差別状況のなかに位置づけられた存在者の「身体」のあり方について考察する。また、フランス本土で展開されてきた「フェミニズム」が、こうした状況をどのように対象化したか、あるいは対象化することに失敗したかを検討することを通じて、「フェミニズム」に対する批判的な考察を施す。
授業の方法
フランス語原典の輪読と精読、ならびに受講者による研究発表と共同討議によって授業を行う。
成績評価方法
発表等による授業への貢献度、ならびに期末レポートによって成績を評価する。 なお、履修者の確定にいたるまでの第1回および第2回の授業は、成績評価の対象外とする(下記「履修上の注意」を参照のこと)。
教科書
Françoise Vergès, Le ventre des femmes: Capitalisme, racialisation, féminisme, Paris: Albin Michel, 2017.
参考書
N.バンセル、P.ブランシャール、F.ヴェルジェス『植民地共和国フランス』(平野千果子、菊池恵介訳)岩波書店、2011年. Françoise Vergès, Un féminisme décolonial, Paris: La Fabrique éditions, 2019. Laura Briggs, Reproducing Empire: Race, Sex, Science, and U.S. Imperialism in Puerto Rico, Berkeley and Los Angeles: University of California Press, 2002. その他、授業のなかで適宜指示する。
履修上の注意
フランス語中級以上の読解能力を必須とする。 履修を希望する者(履修を検討中の者を含む)は、4月8日(水)18:00までに、以下の森山メールアドレス宛にメール連絡をすること。その際、件名は、「水曜5限 学生番号 所属 氏名」とすること。メール本文は空メールでかまわない。 第1回授業(4月8日)では、履修希望者(検討中の者を含む)と、メールベースで情報のやりとり(教材に関する指示を含む)を行う。第2回授業(4月15日)では、それを踏まえて、履修の意思を確認しつつ、履修者の確定を行うとともに、教材講読箇所のアサインメントを行う。第3回授業(4月22日)から、オンライン方式による講読等の授業を行う予定である。 なお、履修者の確定にいたるまでの第1回および第2回の授業は、成績評価の対象外とする。 【追記:4月8日17:00】 始業直後、UTASならびにITC-LMSへのアクセスが困難であったことに鑑み、上記のメール連絡期間を、4月15日(水)16:50まで延長する。履修希望者(履修検討中の者も含む)は、以下の森山メールアドレスまで上記の要領で連絡すること。