大学院
HOME 大学院 開発と貧困II
過去(2022年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月1日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

開発と貧困II

開発研究
開発/発展という現象を歴史的、批判的な観点から検証し、あわせて研究手法の紹介も行う。とりわけ、開発援助における権力作用、国家とは何か、貧困への視点、技術の役割、援助の役割などを扱う。学生諸君が先入観としてもっている「開発」のイメージを揺さぶり、一段深い考察のレベルに誘導することが目標である。
形式は、講義と演習を折衷した形をとり、課題文献の予習を前提として、学生が主体的に議論に参加する形をとる。よって「学ぶだけ」の学生は歓迎しない。考えたことを発信する意欲のある学生を歓迎する。課題文献の要約と批判を含めたミニ・レポートを3回課すが、この採点は、学生同士で行う。また、教室では、議論の喚起を目的とした簡潔な報告をする訓練を行い、対話する上でのコミュニケーション能力養成も視野にいれる。英語を中心に一定量の文献を毎週読んでもらうが標準的に4時間程度の予習時間が確保できそうもない人には受講をすすめない。
具体的なスケジュールや課題文献リストについては初回の授業でシラバスを配布したうえで解説するので、受講希望者は必ず初回の授業に出席してほしい。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31D290-0141A
GAS-HS6B02L1
開発と貧困II
佐藤 仁
A1
水曜2限、金曜2限
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
総合文化研究科
授業計画
初回は9月30日(金)です。 参考までに昨年のメニューをあげておきます。この計画は多少修正されることになると思います。 0.  開発研究のヴィジョン (9.29) I 開発/発展(development) の見方 1. 「開発」を構成する諸要素 (10.1) 課題文献 ・エイリッヒ・ショウルマン『パパラギ』(ソフトバンク文庫)  【購入】 2. 開発と分業:あるいは社会の富/危険が分配される仕組みについて (10.6) 課題文献 ・アダム・スミス『諸国民の富』(岩波文庫)第一章「分業について」, pp.23-50. ・ウルリヒ・ベック『危険社会』第一章「富の分配と危険の分配の論理について」,pp.23-76. 3.欲望と開発 (10.8) 課題文献 ・Schumacher. E. F. 1974. Small is Beautiful: A Study of Economics as if People Mattered. London : Abacus Books (邦訳『スモール・イズ・ビューティフル』第一部すべてと第三部の第二章)【購入】 ・マハトマ・ガンジー『真の独立への道―ヒンドゥースワラージ』(岩波文庫)pp.37-85. ・井上靖「聖者」『異域の人・幽鬼:井上靖歴史小説集』(文芸文庫) 4.競争と依存 (10.13)    課題文献  ・佐藤仁 (2017)「競争史観から依存史観へ」『東洋文化』97号, pp.197-218. ・De Soto, H. (2000) The Mystery of Capital. 第三章 II  開発の日常 5.日本の開発経験 (10.15) 課題文献 ・ 大牟羅良『ものいわぬ農民』(岩波新書、1958年) 【購入】 ・ 『山びこ学校』(岩波文庫)より一部の作文 参考文献 ・北河賢三「大牟羅良と『岩手の保健』-雑誌の編集と読者との関係を中心にして」年報『日本現代史』第8号「戦後日本の民衆意識と知識人」(2002年)、pp.37-67. ・小熊英二「「『植民政策学』と開発援助」稲賀繁美(編)『異文化理解の倫理にむけて』(名古屋大学出版会、2000年)。 ・佐藤寛「戦後日本の生活改善運動」『開発学を学ぶ人のために』(世界思想社、2001年)。 ・夏目漱石「現代日本の開化」『漱石文明論集』(岩波文庫) ・宮本常一『庶民の発見』講談社学術文庫。 6.国家と自由 (10.20) 課題文献 ・井上ひさし『吉里吉里人』新潮文庫(上・中・下)。(「上巻」は必須)【購入】 参考文献 ・Bates, Robert. 2001. Violence and Prosperity. Harvard University Press.  ・ミシェル・フーコー『安全、領土、人口』筑摩書房。 ・ジョージ=オーウェル『1984』早川書房。 7.住民の組織化 (10.22) 課題文献 ・ 重冨真一「農村住民による協同組織の形成と展開」(『タイ農村の開発と住民組織』第7 章、アジア経済研究所、1996年)。   ・Attwood, David. 1988. “Social and Political Pre-condition for Successful Co-operatives: The Co-operatives: The Co-operative Sugar Factories of Western India,” Who Shares? Cooperatives and Rural Development, D.W. Attwood & B.S. Baviskar, eds. Delhi: Oxford University Press. 参考文献 ・Ostrom, E. 1990. Governing the Commons. Cambridge University Press. ・佐藤寛編 『援助と住民組織化』(アジア経済研究所、2004年)。 8.開発を生きる (10.27) 課題文献 ・ジェームズ・スコット『ゾミア―脱国家の世界史』(佐藤仁監訳、みすず書房)第1章、6章、あとがき 【購入or 貸借】  参考文献 ・Scott, J. 1985. Weapons of the Weak. Yale University Press. ・北條浩『村と入会の百年史』(御茶ノ水書房)。 ・ジェームズ・スコット×佐藤仁「(インタビュー)地域研究のアイデア―『ゾミア』出版に至るまで」『みすず』2013年10月号 9. モノと規律 (10.29) 課題文献 ・ラングドン・ウィナー「人工物に政治はあるか」『鯨と原子炉』(紀伊国屋書店、2000年)。 ・マーシャル・マルクハーン「メディアの法則(第3章)」『メディアの法則』(中澤豊 訳、高山宏 監修、NTT出版、2002年)   III 意図と結果 10.日本のODA  (11.5) 課題文献 ・佐藤仁『開発協力のつくられ方 -自立と依存の生態史-』(東京大学出版会、2021)はじめに、序章、6章、9章 【購入】 11. 「市場」と「計画」 (11.10) 課題文献 ・ポラニー, K.『(新訳)大転換』(東洋経済新報社、2009年)。一部抜粋 ・ハイエク, F.「社会における知識の効用」『市場・知識・自由』(ミネルヴァ書房、1986年)。 ・Easterly. W. 2008. “Hayek vs Development Experts” 12.意図と結果 (11.12) 課題文献 ・Hirschman, A. 1967. “Principle of Hiding Hand,” in Development Projects Observed. Brookings (邦訳「目隠しの手」『開発計画の診断』所収、佐藤による最新訳の草稿を配布予定) ・M.フーコー「違法行為と非行性」『監獄の誕生』第2章。 参考文献 ・ 佐藤仁(2016)「想定外はなぜ繰り返えされるのか」『野蛮から生存の開発論』pp.127-151. ・ 矢野修一(2004)『可能性の政治経済学:ハーシュマン研究序説』(法政大学出版局)。 13.総合討論 (11.17) ・最も印象に残った文献は何か ・異なるトピックの間にどのような連関を見出したか ・授業全体を通じてどのようなメッセージを受け取ったか。 ・開発のイメージは、履修前と履修後で、どのように変化したか。
授業の方法
講義と演習を折衷した方式。英語を中心に一定量の文献を毎週読んでもらうが標準的に4時間程度の予習時間が確保できそうもない人には受講をすすめない。
成績評価方法
最終レポート、報告、平常点を3:3:4の割合でつける。
教科書
佐藤仁『開発協力のつくられ方』(東京大学出版会)もしくは佐藤仁『野蛮から生存の開発論ー越境する援助のデザイン』(ミネルヴァ書房)を購入し、よく読んでおくこと。履修者希望者が多い場合には、この本の感想文を用いて履修者の数を限定する可能性もある。また、2回目の授業では シェイルマン著『パパラギ』(ソフトバンク文庫) を読みますので、履修希望者は各自入手しておいてください。
参考書
初回に指示する。
履修上の注意
受講希望者は初回の授業 に必ず出席するようにしてください。原則、対面式で授業を行います。オンラインで参加するオプションについては状況に応じて検討いたします。教室は未定です。