(4/21改訂)
1「イントロダクション:様々な天体と宇宙」「超巨大ブラックホール」 (河野)
幅広い波長域にわたる最先端の天体観測により、膨張宇宙において様々なスケールの天体が生まれ、進化している様子が明らかにされつつある。ここでは現代天文学の基本的な考え方を説明するとともに、星、ガス雲、銀河、銀河団など様々な種類・スケールの天体が、膨張宇宙の進化の過程でどのような位置づけにあるのかを俯瞰し、ゼミナール全体のイントロダクションとする。また後半では、近年、シャドウの直接観測でも話題の「超巨大ブラックホール」について紹介する。超巨大ブラックホールが巻き起こす華々しい物理現象、そして、超巨大ブラックホール形成の謎について、特に最新の電波観測の成果を交えつつ解説する。
2「近傍銀河の形態と力学」(江草)
銀河とひとことで言っても、その大きさや質量、形や星形成活動の活発さなどにはそれぞれ大きな違いがある。本講義では、近傍銀河の形態によって分類された種族(楕円銀河、円盤銀河、不規則銀河など)を紹介し、それぞれの銀河種族がどのような特徴を持っているのかについて説明する。また、各銀河の内部構造を理解するためには、星や星間ガスの運動を知ることも欠かせない。そこで、観測量から得られる力学的な指標と銀河の形態や内部構造との関連性についても紹介する。さらに、銀河内の渦巻腕構造や棒状構造が、星間ガスや星形成活動に与える影響についての最新の研究成果にも触れる。
3「宇宙に漂う塵(ちり)」(宮田)
宇宙空間は全くの真空ではない。そこには気体のガスの他に、小さな固体物質=塵が大量に漂っていることが知られている。この塵を良く調べる
3「可視広視野撮像カメラを用いた大規模探査とその成果」(諸隈)
天文学で用いる可視望遠鏡やそのカメラの視野の広さは、一般的に、最大でも数度角程度であり、全天約4万平方度と比較すると、非常に狭い。これまで光学的・機械的な制限から、比較的口径の小さな専用望遠鏡でのみ広視野大規模探査に目的を特化し天文学で用いる可視光望遠鏡やそのカメラの視野の広さは、一般的に、全天約4万平方度と比較すると、非常に狭い。これまでは実現が比較的容易な口径の小さな専用望遠鏡でのみ広視野大規模探査計画がいくつか遂行されてきたが、近年の技術進歩によって、8-10m級の大型望遠鏡でも広視野大規模探査を行うことが可能になってきた。クエーサーの探査や近年その進展が目覚ましいマルチメッセンジャー天文学は,このような広視野大規模探査が欠かせない最たる例である。この講義では、これらの探査の歴史、および最新の計画を、その成果とともに紹介する。
4「近傍銀河の形態と力学」(江草)
銀河とひとことで言っても、その大きさや質量、形や星形成活動の活発さなどにはそれぞれ大きな違いがある。本講義では、近傍銀河の形態によって分類された種族(楕円銀河、円盤銀河、不規則銀河など)を紹介し、それぞれの銀河種族がどのような特徴を持っているのかについて説明する。また、各銀河の内部構造を理解するためには、星や星間ガスの運動を知ることも欠かせない。そこで、観測量から得られる力学的な指標と銀河の形態や内部構造との関連性についても紹介する。さらに、銀河内の渦巻腕構造や棒状構造が、星間ガスや星形成活動に与える影響についての最新の研究成果にも触れる。
5「宇宙に漂う塵(ちり)」(宮田)
宇宙空間は全くの真空ではない。そこには気体のガスの他に、小さな固体物質=塵が大量に漂っていることが知られている。この塵を良く調べると地球の石に似たものやスス、複雑な有機物なども含まれていることが分かって来た。この様な塵はどこからきたのだろうか?本講義では最新の赤外線観測などから明らかになって来た宇宙の塵の正体に迫る。
4「可視広視野撮像カメラを用いた大規模探査とその成果」(諸隈)
天文学で用いる可視望遠鏡やそのカメラの視野の広さは、一般的に、最大でも数度角程度であり、全天約4万平方度と比較すると、非常に狭い。これまで光学的・機械的な制限から、比較的口径の小さな専用望遠鏡でのみ広視野大規模探査に目的を特化し天文学で用いる可視光望遠鏡やそのカメラの視野の広さは、一般的に、全天約4万平方度と比較すると、非常に狭い。これまでは実現が比較的容易な口径の小さな専用望遠鏡でのみ広視野大規模探査計画がいくつか遂行されてきたが、近年の技術進歩によって、8-10m級の大型望遠鏡でも広視野大規模探査を行うことが可能になってきた。クエーサーの探査や近年その進展が目覚ましいマルチメッセンジャー天文学は,このような広視野大規模探査が欠かせない最たる例である。この講義では、これらの探査の歴史、および最新の計画を、その成果とともに紹介する。
5「星と惑星系の誕生」(小林)
星は暗黒星雲の中で冷たい星間ガスが降り積もって作られる。そのダイナミックな過程を、最新の観測・理論データをもとに紹介する。星の誕生と同時に、周囲を回転する原始惑星系円盤の中では、木星や地球のような惑星が誕生・成長する。この講義の後半では、主に系外惑星系の観測と理論シミュレーションを通して明らかになった、惑星系誕生についての最新の知識を紹介する。
6「光赤外線天文学の観測技術」(酒向)
対象が遠方に位置する天文学では、他の自然科学のように能動的な実験・測定による調査を行うことができない。天体が発する微かな信号(電磁波)をいかに検出し測定するかという受動的な手法を極めることになる。CCDに代表される電子の目と高速な演算処理が可能な電子の頭脳の獲得は、天文学に17世紀の望遠鏡の発明以来の第2のブレイクスルーをもたらした。本講義では可視~赤外線光を用いた最新の観測技術とそれにより得られた研究成果について紹介する。
7「ぼやけた画像をくっきりと:補償光学の技術と成果」(峰崎)
多くの大型光赤外線望遠鏡が建設され非常に暗い天体の観測が可能になったが、地上にある望遠鏡は厚い大気を通して天体を観測しているため画像がぼやけてしまい、望遠鏡が本来備える角度分解能が発揮できずにいた。これを克服したのが補償光学という技術である。ここでは補償光学技術の概要と発展について解説し、これを応用した天文学的成果についても触れたい。
8「電波で探る銀河の形成と進化」(廿日出)
銀河の形成や進化の過程を探るためには、その中で起きている星形成活動を理解することが不可欠である。可視光や近赤外線といった波長帯では宇宙空間に存在する塵による吸収の影響を受けるが、電波(サブミリ波・ミリ波を含む)では塵による吸収を受けずに星形成活動を探ることができる。また、電波を用いると星の材料となる分子ガスや原子ガスからの輝線をとらえることができる。本講義では、電波観測で分かってきた銀河の姿について、最新の研究成果を交えて紹介する。
9「膨張する宇宙」(土居)
宇宙が膨張していることは1920年代より知られている。ここでは、2011年のノーベル物理学賞の対象となった遠方の超新星を用いた膨張宇宙の測定の様子を中心に、宇宙背景放射・銀河分布などを用いた測定方法などについても触れ、宇宙膨張の最新の精密測定結果と、その結果提唱されるようになった謎の暗黒エネルギーについて解説する。
10「HR図と星の進化」 (田辺)
Hertzsprung-Russell (HR) 図は、恒星の進化を研究する上で大変有用な図である。HR図及び類似の図の意味について解説すると共に、これらの図を作るための恒星の物理量、観測手段について説明する。また、これらから星の進化がどのように判るかを説明する。
11「赤外線スペクトルで見る大質量星の誕生と死」 (田中)
大質量星は数こそ少ないが、寿命が短いため進化のサイクルが早く、輻射及び物理的なエネルギー放出が極めて大きい。さらに、その最期である超新星爆発に伴って、大量の金属元素を宇宙空間に放出する。これらの特質は、恒星進化のみならず、銀河の活動性の起源、及び宇宙における元素の形成に本質的な影響を与える。この重要な大質量星の進化について、減光が大きく可視光での観測が困難な領域も含めて、赤外線スペクトル観測が明らかにしつつある現状及び将来の展望について紹介する。
12「赤外線で探る銀河の誕生と進化」(小西)
光の速度は有限であるため、遠方の天体を観測すれば宇宙の過去の姿を観測することが可能となる。この事実を利用すれば宇宙や銀河の進化を探ることができるが、その一方で宇宙膨張による赤方偏移のため、宇宙初期の天体から放射された可視光は近赤外線でないと観測できない。ここでは最近の可視/赤外観測で明らかになってきた宇宙初期の銀河の形成と進化についての最新の研究成果を、その観測手法も含めて解説する。途中、実際のすばる望遠鏡の画像を利用した実習を行うため、学内ネットワークに接続可能なパソコンを持参することを推奨する。