スケジュール
1) 4/5 ガイダンス+ヘルス・サイエンス概論「より健康な世界を創るために」近藤尚己
2) 4/19 疫学「この健康情報は信用できる?:疫学を踏まえた情報の解釈」松山裕
3) 4/26 生物統計学「人の集団を科学するための知の技術」大庭幸治
4) 4/30(火) 医療経済学「高齢化社会で医療制度は維持可能か?」橋本英樹
5) 5/10 精神保健学「心の健康のしくみ・心の健康を支えるしくみ」西大輔
6) 5/17 医療倫理学「命の終わり方を考える」瀧本禎之
7) 5/24 国際地域保健学「持続可能な健康づくりのためのコミュニティ・アプローチ」神馬征峰
8) 6/7 国際保健政策学「グローバル・ヘルス概論」野村周平
9) 6/14 人類生態学「生態学からみた健康」梅崎昌裕
10)6/21 生物人口学「妊娠しやすさの科学」小西祥子
11)6/28 生物医化学「感染症の制圧による世界中の人々の健康と幸福への貢献」野崎智義
12)7/5 発達医科学「ヒトの脳の発達と障害のメカニズムの解明をめざして」田中輝幸
13)7/12 社会疫学 「社会と健康」+コースのまとめ「命と社会をめぐる諸科学とその統合」近藤尚己
補講の場合の候補日:5月31日、7月17日、7月18日
講師の都合により日程が変更になる場合があります。講義タイトルは暫定です。
<レポート提出について>
レポート課題は各回の担当教員が講義中に提示します。また、最終日にレポート課題の一覧を配布します。そのうちから1課題を選び、電子メールの添付ファイルとして、次のアドレスあてに提出すること。各教員からの特別な指示がない限り、レポートはA4用紙で2ページ以内とすること。受信から実働72時間以内に確認のメールを送るので、それが届かない場合は確認の連絡をすること。
インターネット等からのコピー&ペーストは禁止する。発覚した場合は不合格とする。
レポート提出先アドレス: kondolab@m.u-tokyo.ac.jp(近藤尚己研究室)
提出期限: 7月19日19:00
<内容>
「ヘルス・サイエンス概論「より健康な世界を創るために」近藤尚己
内容:本コースのガイダンスの後、世界をより健康にするためにどのような学問的アプローチが必要かについて議論します。
疫学 「この健康情報は信用できる?:疫学を踏まえた情報の解釈」松山裕
内容:疫学は、疾病・健康に影響を及ぼす因子とその強さを評価し、最終的には予防手段につなげる実践の学問です。巷にあふれる多種多様な健康情報が、疫学を学ぶことでどのように解釈できるかを紹介します。
生物統計学 「人の集団を科学するための知の技術」大庭幸治
内容:データをどのようにとり、どう解析して健康問題の解決につなげるのか。生物統計学はその方法論を提供する学問です。統計学がヘルス・サイエンスにおいて、どのように応用されているのかを学んでいただきます。
精神保健学「心の健康のしくみ・心の健康を支えるしくみ」西大輔
内容:心の健康やストレスのしくみはどうなっているのでしょう。健康総合科学では、脳科学や心理学などのさまざまな学問を統合して心の健康のメカニズムを解明し、これに基づいて心の健康を支えるしくみを提案します。この回では、心の健康の意外な真実や、心の健康を守るための方法について学びます。
医療経済学 「高齢化社会で医療制度は維持可能か?」橋本英樹
内容:超高齢社会における医療・介護需要の増大見込み、財政負担と世代間対立などが取りざたされている。医療・介護負担はゼロ・サムゲーム(だれかが得すれば他が存する)なのか?他の解決方策はあるか?
医療倫理学 「命の終わり方を考える」瀧本禎之
内容:終末期医療を題材に採り上げ、患者の自律性に基づいた意思決定がいかに為されるべきかを考えつつ、社会に位置付けられた終末期医療について倫理的観点から考察します。
国際地域保健学 「持続可能な健康づくりのためのコミュニティ・アプローチ」神馬征峰
内容:持続的開発目標(Sustainable Development Goals)達成のための活動が2016年から始まりました。政治や外交だけではなく、コミュニティの力でいかに健康づくりをなし得るか、途上国を舞台にその可能性を探ります。
国際保健政策学 「グローバル・ヘルス概論」野村周平
内容:グローバル・ヘルス(Global Health)とは、人々の健康に影響を与える地球規模の課題に対して、その課題解決のために国境を越えてさまざまなセクターが協力・連携し、解決していく分野です。講義では、国際社会におけるグローバル・ヘルス興隆の始まりから現在の課題、 そして日本のグローバル・ヘルス政策を概説します。
人類生態学 「生態学からみた健康」梅崎昌裕
内容:人間もまた生態系の一員である,ということがよく言われるが,それが人類の健康を考える上ではどんな意味があるのか?人類生態学ではこうした疑問にチャレンジしています。この講義では,我々が生態系の一員であることと様々な疾病とがどのような関連を持つのか,具体的に考えてみます。
生物人口学「妊娠しやすさの科学」小西祥子
内容:日本は世界で最も多くの不妊治療が行われている国です。なぜでしょうか?日本のカップルは諸外国のカップルと比べて不妊になりやすいのでしょうか?妊娠しやすさ(妊孕力)を研究対象とする生物人口学の視点から考えます。
生物医化学「感染症の制圧による世界中の人々の健康と幸福への貢献」野崎智義
内容:人類の過去の歴史上猛威を振るった天然痘・ペストから、現在も人類の脅威であり続けるインフルエンザ、エイズ、結核、マラリアに至るまで、病気を起こす微生物と人類との戦いは終わることがない。病原体は比較的単純なウイルスから細菌、更に高度に複雑化したカビ、寄生虫など真核生物まで、極めて多様な種で構成される。更に、病原体は地球上の多様な生物と共に、日々進化を続けて、ヒトに感染症を起こし続けている。言うまでも無く、感染症の制圧は世界中の人々が幸福に暮らすための必要条件であるが、病原体とヒトのゲノム進化、地球環境の変化、ヒトの暮らし方の変化により、病原体とヒトとの相互作用は常に変化を続けている。国際保健の観点から、熱帯・亜熱帯地方を中心とした低GDP国を中心に流行を続ける熱帯病(Tropical diseases)の多くはDiseases of the bottom billion (最下層10億人の病)や顧みられない熱帯病(Neglected tropical diseases)とも呼称され、その制圧が世界的に重要視される疾患群である。これら熱帯病の制圧を目指した施策・研究は、ワクチンや薬剤の創生などを通じて、ヒトの健康の向上に直接的に寄与するのは言うまでもないが、同時に、複雑な病原体がどのように病気を起こすかを解明することによって、生化学・分子生物学・細胞生物学・遺伝学・進化学を含めた様々な基盤的学問分野に多大な貢献をしている。本講義では、熱帯病研究のもつ多彩で先端的な研究内容とそのもたらす学術的な意義に関して例示しながら概説したい。
発達医科学 「ヒトの脳の発達と障害のメカニズムの解明をめざして」田中輝幸
内容:ヒトの脳は進化の生んだ最高傑作と呼ばれています。脳によって私たちが喜びや苦しみを感じ、考え、からだを動かすことが出来る秘密と、脳の発達と働きが障害された病気のメカニズムとその治療法の解明をめざす研究の実際をご紹介します。
社会疫学 「社会と健康」+コースのまとめ「命と社会をめぐる諸科学とその統合」近藤尚己
内容:所得格差や景気動向、人々の結束、住環境など、健康は幅広い社会的な要因によって規定されます。これら健康の社会的決定要因の因果関係を明らかにする「社会疫学」の到達点と課題を開設します。その後、コース全体のまとめのディスカッションを行います。
<各教室訪問&個別講義(希望者)>
好評につき、講義期間中、5月1日から7月19日の間に本郷キャンパスにある医学部・大学院医学系研究科の各教室を訪問して個別の講義や演習等を行います。訪問先は講義開始後にアンケート等により4月中に決定します。決定後、訪問先ごとに連絡対応学生を決定し、各教室の受け入れ教員と個別の連絡を取り、訪問講義の受講をしてください。訪問受け入れ教室は、原則として本講義を担当した教員の所属教室および下記の人類遺伝学教室(馬淵昭彦准教授)です。複数の教室への訪問希望がある場合は相談に応じます。
<人類遺伝学教室(担当:馬淵昭彦准教授)での個別講義内容>
「遺伝子解析が医療に果たす役割と将来展望」
内容:近年の遺伝学分野の学問の進展により、さまざまな疾患で原因となる遺伝子や罹り易さを左右する遺伝子、薬剤への応答性に関係する遺伝子上に存在する多型・変異が解明されてきました。講義では特に骨に関係する疾患をテーマとしてこれについて解説します。