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最終更新日:2024年4月1日

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物質・生命工学基礎ⅠB

量子計測化学序論-化学を理解するための量子力学-
量子力学や量子化学に関する講義では、波動関数の基礎知識がないままいきなりs軌道やp軌道(以上、原子軌道)、さらには分子軌道の内容が講義され、高校の化学とのギャップが大きく消化不良に悩むことも少なくない。そこで本講義では、数式の使用を極力避け、「色」などの身近な自然現象を取り入れ、波動関数や軌道などのイメージを掴むこと主眼を置く。量子力学や量子化学の理解の助けになるとともに、構造化学の講義への橋渡しとしても位置づけられる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31629
CAS-GC1E23L1
物質・生命工学基礎ⅠB
北森 武彦
S1 S2
金曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
0)講義の趣旨と内容 1)光と色(1)  景色はなぜ見える 発光と吸光 2)光と色(2)  鏡はなぜ人を映す 散乱と反射 3)原子の発光   なぜs、p、d、f? 名前の由来、分光学と量子力学の歴史 4)元素と色    なぜ元素の色は固有? なぜ炎色反応の色は元素固有?           原子の構造(種類)とエネルギー構造(準位)と色は一対一 5)原子の構造と量子数 原子軌道は原子核の周りの電子分布 量子数はその形と大きさを分類する数字 量子数はどこから由来? ある数式から 形の球面調和関数と大きさのラゲール多項式 原子のものごとを単純にしてくれる量子力学 磁気量子数って? 電子も地球も回れば(地)磁気 電子スピンって? 1/2とは賢い、スピン量子数の決め方 6)電子の配置と原子のエネルギー準位とスペクトル項 原子の中の電子は「軌道+自転」が全部違う パウリ則 難しい偏微分方程式を解かなくてもエネルギー準位は求まる それがスペクトル項 7)スペクトル項の求め方(1) リチウムとヘリウムで練習 8)スペクトル項の求め方(2) 炭素とフント即 簡単に書ける原子のエネルギー準位図 これができると高校生に自慢できる(つまり大学側に到達) 9)原子と光 そもそも光って? 電磁波とは 原子は光の波長よりはるかに小さい 原子の電子が感じる光は激しく振動しながら光速で通過する電場 原子による光の吸収と原子からの光の放出 これをエネルギー準位間の電子遷移という 10)遷移則 原子の中の電子はエネギー準位間を勝手に移動できない 元の状態と電子が行った先の状態の量子数の違い その決まりが遷移則 スペクトル項を見た瞬間にわかる光による電子遷移 つまり元素の色 11)遷移則の導出 量子力学が単純にしてくれる遷移則、四則演算で求まる遷移則 光を数式で表すって? 電場の波だから書ける sinとcosを使いこなす高校生なら球面調和関数も使える 求めてみよう、球面調和関数の性質から求まる遷移則 12)まとめ 原子と光の相互作用から感じる量子力学の便利さ ものごとを単純にしてくれる量子力学 spdfの古典分光学から連綿とつながる量子力学は便利なツール
授業の方法
講義と小レポートと最終試験か最終レポート(受講人数による)。小レポートは講義中に適宜出題。毎回ではないが、二回に一回くらいの割合で出題する。出題した回の次の回に提出。小レポートの目的は、実際に自分で解いてみてより理解を促すことと理解を確認すること。成績は出席点、小レポート点、最終レポートか最終試験の点で評価する。
成績評価方法
レポート、出席、場合によっては試験
履修上の注意
数式は使うが難しい偏微分方程式などの数学は使わない。計算は四則演算まで。物理未履修の学生や文科系の学生も歓迎。厳密な数学的な記述と展開より、現象としての理解と感覚的な把握を重視。化学、材料科学、電子工学など、原子、分子、固体の科学を学びたいが量子力学の壁を低くしたい学生、色や光など身近な現象を記述する現代科学に触れたい文科系の学生の聴講を歓迎する。ただし、数学は使わないが数式を見ただけで「コテコテの理系科目」と感じる学生もいるので要注意。講義で取り扱う主題「光と原子」を厳密に理解したくなった学生は、この講義を機会に専門的な科目の履修を勧める。