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最終更新日:2024年4月1日
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人文科学ゼミナール(歴史学)
18世紀フランスの社会史ーー啓蒙期の公と私、公共空間を考えるーー
近年、フランス近世期についての歴史学研究は、ルソーやヴォルテール、サド、スピノザなど、文学や思想、哲学の領域にあるとされてきた文献にも分け入り、いまだかつてない角度からこの時代の人々の感情やふるまい、メディアや表象の変化について問い、公共性や主体の問題を再検討しつつある。この人文科学ゼミナールでは、こうしたフランス18世紀の社会史の成果に触れる入門的入り口として、以下のような文献を演習形式で読んでいく。履修者の顔ぶれをみてではあるが、後半ではフランス語文献にも触れ、フランス語を読む予定である。
■アントワーヌ・リルティ「有名人の孤独」『セレブの誕生ーー<著名人>の出現と近代社会』名古屋大学出版会、2018年、158-237頁。
ここでは主としてルソーの生涯が扱われているが、有名になったことでその<著名性>により個人生活が侵害されていると感じ、次第に引きこもり、パラノイア的になっていく、ルソーの孤独が論じられている。公共性とはなにか、公衆とは何か、を問い直すこの研究は、ネットによって広がる現代の現象とも重なり合うアクチュアルな問いを投げかけている。
■Lilti, Antoine, ” Vies privees, espace public", L'heritage des Lumieres, : Anvibalences de la modernite, EHESS Galimard Seuil, 2019, pp. 167-196.(「私生活、公共空間」『啓蒙の遺産ーー近代の両義性』(社会科学高等研究院、がリマール及びスイユ社、2019年)
これは、ソシアビリテ(人と人との絆,しがらみも含む)や、人々の絆/交渉がいかなるものであったかに関わり、これまでの社会史の成果にも深くリンクする内容である。日常性と公共性空間の交錯、メディアや表象を通じて意識や感情が形作られていくことを考えさせてくれる。
歴史学研究の最前線の議論、方法に触れることをねらいとする。
19世紀に明確になっていく文明のかたちは、18世紀には必ずしも自明ではなかった。
フランス革命は、19世紀の近代社会の起原、始まりと考えられることが多いが、実際には、
18世紀は古いものと新しいもの、フランスの内部と外部がふれあい、絡み合う複雑な多文化社会であり、さまざまな実験や模索がなされていた時代でもある。こうした18世紀社会の変
動をみていくことで、18世紀の社会と文化を考えてみたい。
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