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最終更新日:2024年3月15日

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欧州統合史

欧州統合史
 本講義は、この1世紀ほど(19世紀末~21世紀初頭、すなわち現代)のヨーロッパにおける対立・摩擦と協調・統合の要因とその相互関係を分析し、アジアの状況と比較することにある。現代ヨーロッパ史のユニークな点は、それが激烈な対立を繰り返しながらも、長期的な趨勢としては確実に協調と統合の可能性を開拓してきたところにあり、第二次大戦後のヨーロッパ統合の進展過程やEUの現状に目を向ける際にも、摩擦、軋轢、齟齬、対立の側面を忘れることはできない。
 ヨーロッパが趨勢として協調と統合の方向に向かってきたことは否定できないが、本講義はその過程を、理性的な統合思想と「統合の父たち」に彩られた予定調和的な歴史としては描かず、19世紀以来の社会、経済、政治、学術等々さまざまな領域における共通経験の長い蓄積に注目し、対立と協調に作用した経済的条件、社会的条件、政治的条件、および、それら諸条件の相互関係に論及する。そうすることによって、密接な経済的相互依存関係は政治的対立を防止するとか、近代の国民国家や国益概念が衰退して統合が進展したなどの通俗的見解を批判的に検討するとともに、アジア統合の可能性を考える際に必要な論点を探ることもできるであろう。
 また、今年度は特に、ヨーロッパにおける通貨、財政、福祉社会の三面での危機と、BREXITなど一連のEU離脱ないしEU懐疑派の動きにも注目して、その原因と発生態様について歴史研究の知見を用いて考察することにする。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
291404
GEC-EC5404L1
欧州統合史
小野塚 知二
S1 S2
金曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
経済学研究科
授業計画
 Ⅰ 導入・目的・方法  Ⅱ 相互依存的世界経済とその破綻   1 相互依存的グローバル経済の展開 ―19世紀のヨーロッパと世界―   2 帝国主義・対立と相互依存 ―第一次大戦前のヨーロッパと世界―   Ⅲ 二つの大戦と戦間期の経験   1 破局と組織化の経験 ―第一次世界大戦―    2 「常態への復帰」か「戦時」の不可逆性か?   3 世界経済の性格変化と大恐慌 ―協調の可能性と破綻―    4 再び組織化と破局 ―国際金融協調の実験―   Ⅳ 戦後秩序の中でのEC/EUの形成と進化   1 戦後構想と戦後   2 ヨーロッパの再建・国際協調と冷戦   3 ヨーロッパ共同体   4 動揺と再編   5 市場統合と通貨・金融面の調整   6 福祉社会の危機と難民・移民問題   7 財政・通貨危機と離脱・分裂問題  Ⅴ 結語と補論:統合史における軍事・兵器産業
授業の方法
15ほどのトピックを設定して基本事項を講義するほか、参加者の小報告と討論を適宜組み合わせて授業を進める。
成績評価方法
授業への参加状況(出席、発言、発表)
教科書
遠藤乾編『ヨーロッパ統合史』名古屋大学出版会、2008年.
参考書
とりあえずの手がかりとして以下を挙げておく。遠藤乾・板橋拓己編著『複数のヨーロッパ』、小野塚知二編著『第一次世界大戦開戦原因の再検討:国際分業と民衆心理』、小野塚知二『経済史:いまを知り、未来を生きるために』、矢後和彦編『システム危機の歴史的位相 ―ユーロとドルの危機が問いかけるもの― 』、上川孝夫・矢後和彦編『国際金融史』、イエスタ・エスピン=アンデルセン『平等と効率の福祉革命』、田中素香『ユーロ:危機の中の統一通貨』、Brendan Brown, Euro Crash: The Exit Route from Monetary Failure in Europe、遠藤乾『欧州複合危機』。
履修上の注意
特になし。
その他
経済学部上級西洋経済史Ⅱ、および、総合文化研究科「欧州研究」プログラムの「欧州統合史」と合併。