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最終更新日:2024年4月1日

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少年非行と法

 少年非行に関する法制度の理解を深め,少年事件に携わる実務家としての基本的素養を身に付けることを目的とする。刑法及び刑事訴訟法についての一定の理解は前提とする。授業は,制度や概念の説明・解説と,様々な問題についての質疑討論から成るものとする予定である。
 また,履修者には模擬記録を貸与し,これを使用したレポート課題を課す。このレポート課題は平常点の考慮要素となる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
25-6791
GLP-LS6429L1
少年非行と法
熊代 雅音
S1 S2
火曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
法学政治学研究科
授業計画
第1回 少年法の位置付けと少年事件の登場人物 少年法の存在意義,少年法と刑法・刑事訴訟法との関係,少年審判手続と刑事公判手続との対比等について,大まかな理解を得るとともに,少年審判手続において登場する種々の人物・職種(裁判官,家庭裁判所調査官,付添人,検察官等)について基本的な説明をする。 第2回 少年法の基本概念と少年事件の流れ  少年法の基本概念(司法的機能と福祉的機能,非行少年の意義,要保護性,法的調査と社会調査等)について,基本的な説明をするとともに,少年の非行に関し,その発生,捜査・調査から家庭裁判所への送致を経て終局処分に至るまでの一連の流れを概観し,少年事件の実務についての一通りのイメージを得る。  第1回と第2回が,少年法・少年事件について学ぶ際の前提知識という位置付けになる。 第3回 観護措置等  少年を少年鑑別所に収容して心身鑑別を行う観護措置についての理解を深めることを主たるねらいとするが,その際,刑事手続における身柄拘束手続(勾留)との差異,少年事件における勾留といった視点も加えて,幅広い理解を得る。 第4回 社会調査と家庭裁判所調査官  我が国の少年審判手続における最大の特色と言ってよい家庭裁判所調査官の社会調査について採り上げる。  家庭裁判所調査官の専門性,その調査(社会調査)の実際と意義等について説明する。 第5回 審判手続(その1)  少年審判の諸原則,審判開始決定,家裁における事件受理から審判期日に向けた準備,審判の目的と審判期日の実際等について採り上げる。 第6回 審判手続(その2)  非行事実や要保護性の認定の在り方(職権証拠調義務,非行事実の認定替え等を含む。),審判期日における裁判官,家庭裁判所調査官,付添人,検察官といった関係職種の役割について,重要判例を含め,説明する。 第7回 終局決定等(その1)  少年法上規定されている各種の終局決定(審判不開始,不処分,保護処分(保護観察・児童自立支援施設等送致・少年院送致),検察官送致等)について,それぞれの概要と各終局決定の意義の基本的な理解を得る。また,試験観察についてその性質と意義を併せて説明する。 第8回 終局決定等(その2)  前回までの講義を踏まえた上で,模擬記録及びこれに基づき受講生が作成した課題レポートを基に,少年に対する処遇選択について,授業全体を通じて意見交換形式で検討を深める。 第9回 少年事件と被害者  少年事件における被害者の位置付けを踏まえ,記録の閲覧謄写,意見聴取,審判傍聴,審判状況説明,審判結果通知といった被害者保護手続等について,近時の法改正についても触れつつ,基本的な理解を得る。 第10回 抗告,再抗告,準少年保護手続  抗告,再抗告及び準少年保護手続のうち保護処分の取消し(再審類似の手続)を概観し,また重要判例についても取り上げることにより,少年法上の上訴手続全般についての基本的理解を得る。また,その他の準少年保護手続についても,刑事手続と対比しつつ紹介検討する。 第11回 少年と刑事手続(その1)  主として検察官送致決定と,これに関する諸問題(特にいわゆる「原則検察官送致」の規定(法20条2項)につき,理解を深める。 第12回 少年と刑事手続(その2)  少年の刑事公判に関し,少年の刑事公判の特則,科刑における特則,少年被告人に対する量刑,家庭裁判所への移送(法55条)といった問題につき,重要判例にも触れつつ,理解を深める。 第13回 少年司法の現在と未来  統計資料等を参照して,少年司法の現状について概観するとともに,現在議論されている少年年齢の引き下げの問題等について,法制審議会の議事録も参考にするなどして意見交換する。
授業の方法
双方向的授業を中心に行う
成績評価方法
試験(85%)及び課題レポート(15%)による。 成績をA+・A・B・C+・C-(2011年度以前の入学者はC)・Fで評価する。
教科書
 教科書としては,川出敏裕『少年法』(有斐閣 2015)を用いる。また,統計資料として「家庭裁判所事件の概況(2・完)-少年事件-」法曹時報71巻1号45頁以下を併せて用いる。
参考書
 参考書としてまず第一に挙げるべきは,植村立郎『骨太少年法講義』(法曹会 2015)である。同書は,練達の実務家の手になるものであり,実務的な視点が豊富に示されていて,実際に少年事件を担当する際には非常に有用であると考えられる。  その他,注釈書としては,田宮裕=廣瀬健二『注釈少年法(第4版)』(有斐閣 2017)が実務においてまず参照される書籍である。判例・裁判例については,廣瀬健二等『少年事件重要判決50選』(立花書房 2010)も参考になる。手続の詳細も含めた実務的書籍としては,裁判所職員総合研修所『少年法実務講義案(三訂版)』(司法協会 2017)が広く参照されている。  全くの初学者が基本的な知識と理解を得るために有用な書籍として,廣瀬健二『子どもの法律入門(改訂版)』(金剛出版 2013)が,一応の知識を有する者が具体的なケースに即してその理解を深めるのに有用な書籍として,河原俊也編著『ケースから読み解く少年事件』(青林書院 2017)が,それぞれ挙げられる。
履修上の注意
 法学部卒業程度の刑法及び刑事訴訟法の理解を前提とするが,上級刑法・上級刑事訴訟法の履修は特に前提としない。したがって,2年生の受講も大いに歓迎する。