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最終更新日:2024年4月1日
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行政史
行政史
今日の日本において、国家権力の大部分は官僚制によって行使されている。選挙によって選ばれた政治家が政策に一定の方向付けを行うこともあるが、市民生活に関わりのある政策の大部分を作り、実行するのは、基本的には公務員の仕事である。代議制民主主義の国において、選挙で選ばれたわけでもない人々に多くの権力が集まっているのは考えてみれば不思議な現象であるが、我々はそれを自然なこととして受け入れているようだ。例えば、友人たちのことを考えていただきたい。公務員になりたいと言っている人はいるかもしれないが、政治家になりたいなどと言っている人は、まず見かけないのではないか。政治家の仕事が何であるかはともかく、政策を作るのは官僚の仕事である。それが、この日本という民主国家に対する多くの人の偽らざるイメージなのではないかと思われる。
それでは、官僚はどこから現れ、どのようにして政策を作るようになったのか。今日、官僚の仕事は高度にルーティン化されており、どのような部署においても担当者から担当者へと業務の引き継ぎが行われている。それでは、その引き継がれてきた業務は、どこから来たのだろうか。政治家(あるいは「国民」)を「本人」、官僚を「代理人」として考える政治学者の習慣を一度脇に置き、官僚の行動原理について考えれば、自然と行政の歴史に関心が向いてくる。
しかも、行政の姿は、国によって大きく異なる。例えば、大統領が圧倒的な権力を握る国では、日本のように「官邸主導」や「内閣主導」などということが議論されることはない。あるいは、女性の利益を代表する省庁がある国もあれば、そのような組織を必要としない国もある。更に言えば、地方政府が中央政府に従属している国もあれば、地方政府が大きな権限と財源を与えられている国もある。
このような違いを説明するためには、歴史を遡らなければならない。今の行政を知るためには、昔の行政について知る必要がある。このような問題関心から、この授業では日本をはじめとするいくつかの先進国を取り上げ、近代以降の行政の歴史についての基礎的な知識を身につけることを目指す。
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