日本法の信託法における信託は、英米法の信託概念を基礎としている。大陸法系である日本の民事法において信託および信託法をどうとらえ、位置づけていくかは一つの課題であった。一方、他国に目を向けると、大陸法系の諸国において「信託」を法制化している国がいくつもあるが、しかし、各国における信託の制度や概念は、一律ではない。
また、信託は信認を基礎とする仕組みであるとか、信託受託者はフィデューシャリーの一つないしその最たるものであるとされる。信認やフィデューシャリーの概念は、信託固有というわけではなく、例えば、金融の領域でしばしば言及される。しかし、その概念は必ずしも明瞭とは言い難い。
本演習では、このような状況を念頭に置いて、あらためて、日本における「信託」の制度の特徴や意義、信認やフィデューシャリーの概念の内容や特徴を、他の法域を参考にしつつ、考えることとしたい。
具体的には、文献(日本語および英語)を読み、それについて討論を行う。