大学院
HOME 大学院 教育思想史特殊講義II
過去(2019年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月1日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

教育思想史特殊講義II

教育思想史特殊講義II
一般に教育現象を捉えるとき、心理学や認知科学を通じて、そのエビデンスが明らかにされる。しかし、そうした科学は「教育とは何か」の一端を顕にすることはできても、「教育はどうあるべきか」という決定には寄与しない。教育における意思決定を支えるものは「教育思想」である(今井2009)。エビデンスに対して、「教育思想」は優位性を有している。学校教育システムにしても、現代の子育てにしても、そこには「教育思想」が介在し、日々の意思決定を支えている。
この「教育思想」はどのように探究できるだろうか。「教育思想」は現代社会において突如として現れるものでなく、制度、経済、民族、科学の様々なベクトルが交差する中で、歴史の中で生成されてくるものである。教育思想の歴史を問題にするということは、現代の「教育思想」を歴史的な産物とみなし、それを絶えず相対化していくことを要請する。かつては、自分たちが当たり前と思っているものとは全く違った教育思想も存在してきた。それを知ることで、自分たちの「教育思想」がすべてないことに気付くだろう。また、教育思想の展開を追うことで、自分たちの教育思想が歴史的産物であり、今後も変化していくことを理解するだろう。
 本講義は、「教育思想史特殊講義」に引き続き、古典といわれる教育思想家から現代の教育思想家までを探究し、その教育思想の時代性に迫っていく。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
23-211-12
GED-IE6143L1
教育思想史特殊講義II
山内 紀幸
S2
集中
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教育学研究科
授業計画
1.イントロダクション 2.ソクラテス:問答法の功罪 3.ロック:紳士教育はどのようになされるのか 4.ペスタロッチ:「自ら助けるように導く」ことはできたのか 5.フレーベル:「恩物」に隠された秘密を探れ 6.ヘルバルト:「教育的タクト」はいかにして養成できるのか 7.モンテッソーリ:「規律は自由を通じて生まれる」のか 8.キルパトリック:「プロジェクト」の源流を辿る 9.倉橋惣三:保育とは何か 10.フーコー:「規律訓練的権力」はどのように形成されているか 11.ルーマン:人を教えることはできるのか 12.ハンナア-レント:不透明な時代における「許し」と「約束」 13.まとめ
授業の方法
演習形式。アクティブラーニング型の授業をめざし、受講者がトピックを抽選で選び、内容をプレゼンテーションする。最後に雑誌としてまとめていく。
成績評価方法
発表内容(80%)と討議参加状況ト(20%)による。
教科書
なし。以下の参考書を参照。
参考書
今井康雄編『教育思想史』有斐閣、2009年。 鈴木晶子『判断力養成論研究序説:ヘルバルトの教育学的タクトを軸に』風間書房、1990年。 田中智志『社会性概念の研究:アメリカ進歩主義教育の概念史』東信堂、2005年。 田中智志・山名淳編『教育人間論のルーマン:人間は<教育>できるのか』勁草書房、2004年。 野平慎二『ハーバーマスと教育』世織書房、2007年。 真壁宏幹編『西洋教育思想史』慶應義塾大学出版会、2016年。 ハイラント,H.(小笠原道雄・藤川信夫訳)『フレーベル入門』玉川大学出版部、1994年。 森田伸子『子どもの時代:「エミール」のパラドックス』新曜社、1986年。 山内紀幸「『自由から規律が生まれるという』物語:「モンテッソーリ・メソッド」の成立過程の分析から」教育思想史学会編『近代教育フォーラム』第8号、175-186頁。
履修上の注意
※8-9月集中講義の授業日程および教室はHPを参照のこと 学生支援チームHP>時間割>学部(集中講義)を参照 http://www.p.u-tokyo.ac.jp/~edudaiga/index.htm