大学院
HOME 大学院 臨床現象学I
過去(2021年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月22日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

臨床現象学I

現象学のスタンスから具体的な人間の在りようについて考える
【授業の目標】
本ゼミのタイトルも「臨床現象学」であるが、現在日本では、●●現象学、現象学的△△、といった研究領域が多数展開している。しかし、何をもって●●現象学、現象学的△△と称しうるのかは明確ではない。狭義には、現象学者の知見を理論的背景にすることが現象学的な研究であるが、広義には、ものごとを捉えるスタンスを現象学に依拠することも現象学的な研究に含まれる、と講義者は考えている。
本ゼミでは、スタンスとしての現象学を共通理解にもたらすために、現象学の創始者であるフッサールの主要概念を概観したのち、具体的な人間の在りようについて考察している現象学的研究を読んでいく。こうした歩みのなかで、1年間を通じて、「現象学的」とは何なのかという問いや、具体事例に基づく(現象学的な)倫理について触れることになる。


【授業の概略】
授業の概略は以下のとおりである。
まず、斎藤慶典『フッサール:起源への哲学』を教科書として、「現象」「還元」「意味」「身体」「世界」「時間」といったフッサール現象学の根本概念を押さえる。現象学のスタンスについて理解する。
そのうえで、受講者の興味関心とも関連させながら、臨床(教育)現象学、ケアの現象学、フェミニスト現象学、現象学的倫理学のなかで具体的な人間の在りようを扱っている文献を講読する。シラバスを書いている時点では、文学作品や映像作品に基づく研究や、現象学的スタンスから文学作品等(小説・エッセイ・漫画等)をどのように読み込めるのかというテーマは後期に扱う予定にしているが、受講者の状況次第で前期に持ってくる可能性もある。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
23-211-06
GED-IE6104S1
臨床現象学I
大塚 類
S1 S2
木曜3限
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教育学研究科
授業計画
第1回 イントロダクション:スタンスとしての現象学 第2回 文献講読①:第2章「事象そのものへ:『現象』への還元」 第3回 文献講読②:第3章「記号と意味:『現象』の内実」 第4回 文献講読③: 第4章「身体と私:『現象』の媒体」 第5回 文献講読④: 第5章「世界:『現象』の場所」 第6回 文献講読⑤: 第6章「時間と他なる者:『現象』の外部へ」 第7回 中間相談タイム 第8回 文献購読⑦ 第9回 文献購読⑧ 第10回 文献購読⑨ 第11回 文献購読⑩ 第12回 文献購読⑪ 第13回 文献購読⑫ 第14回 閑話休題 後半の文献講読の題材として考えているもの ①村上靖彦2018『在宅無限大:訪問看護師が見た生と死』より 第7章「若くして死ぬ人と向き合うーDさん❷」 第8章「人生をやりきった子どもーFさん」 補章「私は看護師から何を学んだのか」 ②稲原美苗他編2020『フェミニスト現象学入門:経験から「普通」を問い直す』より 第4章「なぜ月経を隠さなくてはいけないのだろうか?:月経のフェミニスト現象学」 第11章「男だってつらい?:男らしさと男性身体のフェミニスト現象学」 第12章「人種は存在するのか?:差別に対するフェミニスト現象学的アプローチ」など ③西村ユミ・榊原哲也2017『ケアの実践とは何か:現象学からの質的研究アプローチ』より 第10章「看護実践の構造:フッサールの志向性概念との対話」 ④吉川孝他編2019『映画で考える生命環境倫理学』より 終章「なぜ映画で倫理学なのか」 第6章「『手』が創設する倫理:『この世界の片隅に』から考える人間と環境の関わり」 第9章「食べること、人間であること、生き残ること:『ソイレント・グリーン』を手がかりに」など 授業計画は受講者との相談により変更される場合があります。
授業の方法
演習形式で行う。 受講人数にもよるが、おそらく各回担当発表制になると思われる。 研究科の方針によるが、おそらくオンライン授業になると思われる
成績評価方法
【評価方法】 発表者は平常点、未発表者はレポート 【評価基準】 (1)授業への参加状況 ①事前に文献を読み、授業中の議論に積極的に加わって、理解を深めている。 ②文献に関する固有の解釈にもとづいて、自分なりの見解を発言している。 ③他者の発言に耳を傾け、自分の見解と関連させて、議論を発展させている。 (2)レポート ①本授業で扱う題材について自分なりの関心にもとづいて要点を捉えている。 ②授業中の議論にもとづいて自分なりの論点を明らかにして議論している。 ③独創性のある論点が提示されており、説得力のある議論が展開されている。
教科書
齋藤慶典2002『フッサール:起源への哲学』講談社 Kindle版はありますが、書籍はすでに絶版のようなので、データでお渡しする予定です。
参考書
大塚類・遠藤野ゆり編 『エピソード教育臨床:生きづらさを描く質的研究』 (創元社) 遠藤野ゆり・大塚類『さらにあたりまえを疑え:臨床教育学2』(新曜社) 西村ユミ・榊原哲也 『ケアの実践とは何か』 (ナカニシヤ出版) 村上靖彦2018『在宅無限大:訪問看護師が見た生と死』(医学書院) 稲原美苗他編2020『フェミニスト現象学入門:経験から「普通」を問い直す』(ナカニシヤ出版) 吉川孝他編2019『映画で考える生命環境倫理学』(勁草書房) 吉川孝他編2012『生きることに責任はあるのか:現象学的倫理学への試み』(弘前大学出版会)
履修上の注意
おそらくオンライン形式になります。 当事者性をもった積極的な参加を期待します。 できれば通年での受講が望ましいです。