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最終更新日:2024年3月15日

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ケアと文学

世界文学をケアで読み解く
コロナ禍により文学や思想におけるケアの価値が再評価されるようになってきている。本講義では、キャロル・ギリガンの「ケアの倫理」を起点にしながら、育児、介護、看護等のケア実践のみならず、配慮や思いやりなどのケア精神が文学においていかに表象されてきたかについて考えていく。近年では、"Who Cares? How to Reshape a Democratic Politics" (Joan C. Toronto, 2015)や"Moral Boundaries: A Political Argument for an Ethic of Care"(Joan C. Tronto, 1993)), "Undoing the Demos: Neoliberalism’s Stealth Revolution" (Wendy Brown, 2015)などの議論にも見られるように、ケア概念が政治・経済の領域まで拡張されてきているが、その文脈で読める文学としては、ハヴェル「通達」、ウェルベック『セロトニン』などがあるだろう。この「ケアと社会」というテーマ以外に、「ケアとジェンダー」「ケアと他者」「ケアと脆弱性」といったテーマを扱う。具体的には、ウルフ『灯台へ』、マン『魔の山』、ワーズワス、シェイクスピア 『リア王』、チェーホフ『ワーニャ伯父さん』、ワイルド『獄中記』、ハン・ガン『菜食主義』など。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21223713
GHS-EA6G01L1
ケアと文学
小川 公代
A1 A2
木曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
第1回 10/6 本授業について+ケアと社会1+担当者割り当て(下の「授業の方法」と「履修上の注意」の欄も参照)*対面 第2回 10/13 ケアと社会2(マルクス、ヴェーバー、ウェンディ・ブラウン、チャペック『ロボット』)*対面(リアペ1) 第3回 10/20 ケアとジェンダー1(ジョアン・トロント、モンゴメリ『赤毛のアン』)*オンライン 第4回 10/27 ケアとジェンダー2(ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』、トーマス・マン『魔の山』)*対面(リアペ2) 第5回 11/10 ケアとジェンダー3(多和田葉子『献灯使』)*オンライン 第6回 11/17 ケアと他者1(テイラーの「多孔的な自己」、ウルフの両性具有性、柳田國男「妹の力」)*対面(リアペ3) 第7回 11/24 ケアと他者2(ウィリアム・ワーズワスのルーシーポエム、アンナ・ツィマ『シブヤで目覚めて』、ウルフ『自分ひとりの部屋』)*オンライン 第8回 12/1 ケアとヴァルネラビリティ1 (『ドライブ・マイ・カー』、シェイクスピア『リア王』、チェーホフ『ワーニャ伯父さん』、ワイルド『獄中記』)*対面(リアペ4) 第9回 12/8 ケアとヴァルネラビリティ2(チャールズ・テイラー『世俗の時代』、ハン・ガン『菜食主義』)*オンライン 第10回 12/15 発表、またはグループディスカッション(1)*対面(人数次第でオンラインに切り替わる可能性あり) 第11回 12/22 発表、またはグループディスカッション(2)*対面(人数次第でオンラインに切り替わる可能性あり) 第12回 1/5 発表、またはグループディスカッション(3)*対面(人数次第でオンラインに切り替わる可能性あり) 第13回 1/12 まとめ+レポート提出 *対面
授業の方法
(現時点では)対面での授業になる予定であるが、変更の可能性はある(希望者は理由を申し出て、Zoomによる参加のハイブリッド授業を受けることはできる)。Zoomでの参加を希望する場合、ならびに、全面的にオンライン授業となった場合の詳細は「オンライン授業内容」欄を参照すること。  具体的な授業方法は、第1回〜第9回までは講義形式を主とする。詳細は第1回の授業で説明するが、第1回〜第9回の間に4回リアクションペーパーを提出する。第10回〜第12回では、それまでの講義内容を踏まえて、割り当てられた作品(あるいは選んだ作品)の数ページ、または十数ページほどの範囲を自分で決めておく。発表者/発言者は、その部分のあらすじ、気になった箇所やいくつかの重要な引用部を抜き出し、その分析をすること。発表時にはレジュメを作成し、発表前に全員に配布してもらう(教員にも提出のこと)。期末レポートは、発表/発言した内容をエッセイ形式でまとめたもの。
成績評価方法
(1)授業参加度:リアクションペーパーは合計4回提出(40%)、発表/グループディスカッションはレジュメの形で提出(30%)に加えて(2)期末レポート(30%)。
教科書
チャペック『ロボット』 多和田葉子『献灯使」 ハン・ガン『菜食主義者』 この3作のいずれか一冊を何かしらの形で手に入れてください。
参考書
小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社)
履修上の注意
履修を決めた場合、第3回の授業までに、(1)チャペック「ロボット」、(2)多和田葉子『献灯使」、(3)ハン・ガン『菜食主義者』のいずれか一冊を何かしらの形で手に入れて、発表までに読んで準備しておくこと。第10回〜第12回は割り当てられた担当の作品について発表/グループ内で発言を行うため、その際に配布したレジュメも提出すること。意欲があれば専門的な知識は問わない。初回授業時に担当者の割り当て(もしくは人数が多い場合はグループ分け)を行なうので、出席することが望ましい(2回目以降からの出席でももちろん対応するが、割り当て箇所の希望が通るとは限らない)。