Sセメスターに引き続き、受講生が分担して、「天問」を少しずつ読んでゆく。
各回の授業では、わずか数句の原文を読むために、膨大な資料を検討することになるが、単にそれらを訳したり、取捨選択したりしておしまいにはしたくない。特に「天問」の場合、少なくとも二つの方向に向かって発展させることが必要と考えている。
一つは、それぞれの注釈の立場への理解を深め、古典が長い間読み継がれてきた重みについて考えること。もう一つは、特に近代の神話学的解釈について、それがいかなる論拠に基づいており、どういう課題が残されているかについて検討すること。言わば、古典学的方向と古代学的方向ということになる。
こうした探究を実りあるものとするには、担当者以外も含め全員が毎回十分に準備し、積極的に討論に臨むことが肝要である。学部と共通の授業として開講するが、院生には相応の役割を期待する。