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最終更新日:2024年4月22日

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マイノリティの排除と包摂

マイノリティの排除と包摂――クロス・マイノリティ・スタディーズ
<目的・目標>
 本授業の目的は、社会における排除・包摂の過程や現象を通じて生み出された様々なマイノリティの位置と、それらの人々をめぐる関係性を分析するための理論や視点を獲得することにある。それにより、社会における異なる立場の人々の関係性について、意図的・無意図的に構築される社会の常識にとらわれることなく、多くの理論や視点を検討し、自らの研究課題に応じた解釈枠組みを選び取る力が得られるはずである。具体的には以下の3点を目標とする。
 1)各社会的マイノリティの社会的位置に関し、どのような理論や視点があるのかについて概観できる。
 2)マイノリティに関わる葛藤やジレンマについて異なる視点から分析できる。
 3)理論を身近な実践や経験と結びつけて検討できる。

<授業概要>
 本授業では、障害、人種、民族、貧困、性・ジェンダーなど、マイノリティに関わる問題について、特に社会との関係性の中で創り出されるマイノリティ共通の課題や接点に焦点を当てる。それらの人々の不平等や差別の分析に関わる理論文献の講読を行うとともに、受講者の経験や関心のあるマイノリティの実践と結びつけたディスカッションをすることで、マイノリティをめぐる様々な葛藤やジレンマがいかにして現れているのか、またマイノリティ化された人々はそれらとどのように向き合ってきたのかなどについて議論を深める。このようなプロセスを通じて、例えば批判的人種理論、ポストコロニアリズム、カルチュラル・スタディーズ、障害学、フェミニズム、クイアスタディーズ、スティグマ、ラベリング、インターセクショナリティなどといった、関連する多様な理論・視点とその位置関係を把握するとともに、異なる視点から批判的検討を加えていく。
※なお、本授業における講義は、教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センターの二羽泰子が担当する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
09219905
FED-IE3602S1
マイノリティの排除と包摂
星加 良司
S1 S2
木曜5限
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講義使用言語
日本語、日本語/英語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教育学部
授業計画
1. ガイダンス・受講生の関心分野についての聴取 2. 社会的マイノリティをめぐる議論の概要と主要な論点 3. 文献講読演習 I 4. 発展演習 I 5. 文献講読演習 II 6. 発展演習 II 7. 文献講読演習 III 8. 発展演習 III 9. 文献講読演習 IV 10. 発展演習 IV 11. 文献講読演習 V 12. 発展演習 V 13. まとめ
授業の方法
 教育学部の方針により、オンラインでの開講とする。Zoomを用いた講義やディスカッションを実施しながら、課題提出やオンデマンドのディスカッションのためにGoogle Classroomを併用する予定である。  本授業では教員の講義は補足的なものとし、受講生による課題報告及び教員や受講生同士のディスカッションにより探求的に授業を進める。
成績評価方法
文献課題5回(事前提出)60%、オンラインあるいはオンデマンドのディスカッション40%の比率で評価を行う。事前課題については、文献読み取りの的確性と質問・コメントの論理性について、ディスカッションでは解釈の的確性と応用の論理性について評価を行う。
教科書
 授業内で適宜指示する。
参考書
Identity/Difference Politics: How Difference Is Produced, and Why It Matters, Rita Dhamoon published in 2009 by UBC Press. (多文化主義におけるマイノリティは、支配的な文化に基づいて恣意的に解釈されてきた。一方本書では、マイノリティの実践を、自らの差異に異なる意味を与える戦略的な実践として解釈することで、異なるマイノリティ像を描き出すことを目指している。) The Power of Labelling: How People Are Categorized and Why it Matters, edited by Joy Moncrieffe and Rosalind Eyben. published in 2007 by Earthscan in the UK and USA. (カテゴリ化に伴っていかにマイノリティが作られるのかという根本的な問いから出発し、国際援助などの実践現場において、それらがどのように機能し、影響を与えているのかについて、ラベリング・スティグマ・ハビトゥスなどの中範囲の理論を用いて分析している読み応えのある書)  Routledge Handbook of Postcolonial Politics, Edited by Olivia U. Rutazibwa and Robbie Shilliam published in 2018 by Routledge (人種・民族研究、国際開発学、ジェンダー研究、政治哲学等で繰り広げられてきた西洋的な議論が見過ごしてきた、あるいは生み出してきたマイノリティについて、異なる国・地域の異なるマイノリティの視点から議論している。) 履修上の注意
履修上の注意
・社会的マイノリティ・排除・包摂等に関する予備知識は特に必要としない。 ・マイノリティ個人の行動や成長よりも、マイノリティと社会との関係性や不平等の問題に関心を持つ者の受講を歓迎する。 ・本授業では日本語の文献が限られることから、英語で文献を読むことが求められる。課題文献を熟読し、授業内のディスカッションに積極的に参加することが期待される。 ・本授業では、医療・福祉・環境・政治・経済・国際等に関わる社会学の他、文化人類学、社会心理学などにも関わる学際的な課題を扱う予定であり、学部・研究科領域を超えた履修を歓迎する。 ・探求的な授業であることから、関連する研究を行う大学院生にもぜひ履修いただきたい。 ・ZoomやGoogle Classroomの使用が難しいなど、受講に当たって何らかの不安やニーズがある場合には、前もって個別に担当教員(二羽)までメール等で連絡いただきたい。