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最終更新日:2024年4月1日

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学校はデータでどう描けるか

 学校は、現代日本社会において重要な役割を担っています。それゆえに、社会的な問題にもなりやすく、学校にかかわるできごとが新聞やテレビで取り上げられない日はないと言っても過言ではありません。しかし、学校にかかわるできごとは、自分や身近な人の体験などをもとに主観的に語られることが多く、客観的なデータに基づく検証が十分なされないまま、社会問題化してしまうこともしばしばです。
 学校について学術的に分析する際はもちろんのこと、政策課題として検討するときや、教員として、または保護者や地域の人間として学校に関わるときも、主観が先行して議論が錯綜したり迷走したりしないためには、データに基づいて客観的に学校を理解していることが望ましいでしょう。しかし、どんなデータであれ、一つのデータで学校を丸ごと描くことはできません。どのようにデータを作成し、どのようにそのデータを読むかで、描ける学校は変わってきます。
 この講義では、学校について論じたいテーマに適したデータはどのようなものか、そのデータをどのように読めばよいかということについて、「蒐集」「分類」「比較」という3つの手続きに注目しながら考えていきます。具体的には、学校制度の全体的状況、学校段階、学校内のいろいろな場面など、学校を多面的に捉えながら、データによって語る技法や注意点について学習します。講義を通して、データから学校を想像する力や、学校についてデータを使いながら考える力を身につけていくことを目的とします。
 なお、この講義は、社会調査士資格取得のための「【 C 】 基本的な資料とデータの分析に関する科目」に該当しています。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
09208002
FED-SS2204L1
学校はデータでどう描けるか
西島 央
A1 A2
火曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教育学部
授業計画
第1回 イントロダクション  データや資料に基づく検証のしかたについて、データをつくり(「蒐集」)、データをまとめ(「分類」)、データを読む(「比較」)手続きを説明する。 第2回 カリキュラムから描く  統計資料や学校文書等を、単純集計や度数分布等の形で整理して、日本の学校制度やカリキュラムの特徴について説明する。 第3回 人数から描く  官庁統計資料等を、度数分布や代表値を用いてグラフに整理して、学校規模や進学率等から捉えられる日本の学校の実態の特徴について説明する。 第4回 教育費から描く  官庁統計資料等を、度数分布や代表値を用いて整理して、学校教育に関わる教育費の特徴について説明する。 第5回 対象からデータを「蒐集」「分類」「比較」する  受講者間で模擬調査を行って、そのデータを使いながら、代表値の算出とクロス分析の手続きを実際にやってみる。 第6回 学習の様子や学力から描く  調査報告等のデータを、代表値やクロス集計等を用いて整理して、因果関係・相関関係・擬似相関などを読み解きながら、児童・生徒の学習のようすや学力の特徴について説明する。 第7回 教師から描く  調査報告等のデータを、代表値やクロス集計、回帰分析等を用いて整理して、相関係数から相関の強さを読み解きながら、日本の教師の特徴について説明する。 第8回 授業場面から描く  フィールドワーク論文の資料等を用いて、観察やインタビュー等の質的データをどのようにまとめているかを読み解きながら、日本の学校の授業場面の特徴について説明する。 第9回 特別活動、部活動から描く  調査報告やフィールドワーク論文のデータや資料等を用いて、特別活動と部活動の特徴について説明する。 第10回 学校建築、教具から描く  歴史研究論文の資料等を用いて、ドキュメント資料をどのようにまとめているかを読み解きながら、日本の学校の施設・設備の特徴について説明する。 第11回 学校の規模、立地から描く  既存統計資料や調査報告等のデータを、代表値やクロス集計等を用いて整理して、学校規模や学校の立地する自治体の人口規模の違いが学校教育活動に及ぼす影響について説明する。 第12回 教育の国際化から描く  官庁統計やフィールドワーク論文のデータや資料等を用いて、量的データと質的データがそれぞれ対象をどう描き出しているかを読み解きながら、日本における教育の国際化がどのような状況にあるのかについて説明する。 第13回 まとめ  さまざまなデータの「蒐集」「分類」「比較」という3つの手続きについて再確認しながら、学校を描くにあたりどのようなテーマにはどのようなデータを用いるのが適切かを説明する。
授業の方法
基礎的な資料とデータの分析に関する講義と、模擬調査のためのアンケートを作成し、そのデータを集計・分析する演習作業を行います。
成績評価方法
(1)模擬調査の小レポート(50%) (2)最終レポート(50%)
教科書
教科書は使用しません。 基本的に、毎回プリントを配布します。
参考書
藤田武志・西島央 2020 『教育調査の基礎』 (放送大学教育振興会) 北川由紀彦・山口恵子 2019 『社会調査の基礎』 (放送大学教育振興会) 安藤明之 2013 『第2版 初めてでもできる社会調査・アンケート調査とデータ解析』 (日本評論社) 盛山和夫 2004 『社会調査法入門』 (有斐閣ブックス) 佐藤郁哉 2002 『フィールドワークの技法』 (新曜社) 佐藤郁哉 2015 『社会調査の考え方』(上・下) (東京大学出版会) 地方史研究協議会 2019 『学校資料の未来』 (岩田書院)
履修上の注意
履修のための予備知識その他の条件はありません。 授業時間外の作業が多少あります。 社会調査士資格の取得をめざす学生は、受講するようにしてください。