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最終更新日:2024年3月15日
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文化人類学特殊演習b(宗教とジェンダー)
宗教とジェンダー
「ジェンダー」とは、身体的差異に意味を付与する規範――男/女とはなにか、男/女として何をすべきか(すべきではないか)、性的欲求とはどのようなものであるべきかなど――である。こうしたジェンダー規範は、「宗教」と呼ばれる諸規範と不可分な関係にある。つまりジェンダー規範は、各種の聖典や伝承によって根拠づけられ、権威づけられることによって、私たちを取り巻く世界、そして私たち自身の創造に大きく関わっている。それでは実際に、どのようなジェンダー規範があり、それはどのように理解・実践されているのか。その結果、どのような世界や生き方が創られているのか。この授業の目的は、これらの問題について、人類学的な観点から考察することにある。
ジェンダー研究と宗教研究は長らく、互いを無視し合うような「二重の盲目(Double Blindness)」(King & Beattie eds. 2004 Gender, Religion & Diversity)の関係にあった。ジェンダー研究からみると、宗教研究は宗教の名の下に男女間の差異や不平等を正当化しているようにみえる一方で、宗教研究からみると、ジェンダー研究は宗教が担ってきた伝統的な規範を軽視しているようにみえるからである。ジェンダー研究と人類学の間にも、「気まずい関係(awkward relationship)」(Strathern 1987 An Awkward Relationship: The Case of Feminism and Anthropology)があるとされる。ジェンダー研究が「他者(男性)」による抑圧への自覚や社会的不正への怒りや抵抗を要求する傾向にあるのに対し、人類学は「他者」との経験の共有や一体感を目指す傾向があるからである。そこでこの授業のもう一つの目的は、「ジェンダー」「宗教」「人類学」というテーマを突き合わせることによって、それぞれの研究分野の新たな可能性を模索することにある。
以上のような問題意識を踏まえ、この授業では、主に人類学の諸文献の講読を通じて、宗教とジェンダーの関係を、理論と事例の両面から検討する。購読文献は、受講生と相談の上で決定する。授業の序盤では入門的な文献を取り上げる予定なので、この分野の初学者の受講も歓迎する。なお、この授業はA1ターム科目であるが、同名のA2ターム科目と一連のものとなっている(各1単位)。A1タームでは理論的な文献を、A2タームでは学生の関心に応じて民族誌(事例研究)を取り扱う予定である。
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