上級日本経済史Ⅱ

1. 企業家とは何か?／イントロダクション 2. 幕末維新期の企業家活動／情報の価値: 御用商人の明治維新―三井家と三野村利左衛門 3．政商の時代／政府との距離: マージナル・マンの系譜―三菱・岩崎弥太郎 4. 産業革命期の企業家活動Ⅰ／組織とネットワーク: 株式会社制度と専門経営者―渋沢栄一と荘田平五郎(三菱) 5．産業革命期の企業家活動Ⅱ／地方からの産業革命: 地方企業家の軌跡―安川敬一郎(明治鉱業) 6. 第一次世界大戦期の企業家活動／リスクのとらえ方: 第一次世界大戦期の日本商社―金子直吉(鈴木商店)と益田孝(三井物産) 7.両大戦間期の企業者活動Ⅰ／新技術の活用:電気化学工業のパイオニア: 野口遵と日本窒素肥料 8.両大戦間期の企業者活動Ⅱ／新市場の発見: 新たなビジネス・モデルの創造: 小林一三(阪急) 9.統制経済と企業家活動／戦時経済から戦後復興へ: 電力統制への抵抗―松永安左エ門(東邦電力) 10.高度経済成長期の企業家活動／大衆消費社会の到来: 流通革命の旗手―中内㓛(ダイエー) 11. ポスト高成長期の企業家活動／成熟産業の経営革新―川田達男(セーレン) 12．平成不況期の企業家活動／小売システムの変革―鈴木敏文(セブンイレブン) 13．企業家の歴史から学ぶもの／全体討論

a.企業家が、ある時代背景と外部環境の中で、どこにビジネス・チャンスを見出し、それをいかにして掴もうとしたのかを、ケース・スタディを用いながら考える。そのことを通して、長期的な視野にもとづく戦略的行動とは何かを学ぶ。 b.同時代的な一次史料(日記など)や回顧録、オーラルヒストリーを活用して、企業家の思考を追体験する。そのことを通して、企業家の行動を、情報量が限られた同時代的な視点で理解することに努める。 c.各時代ごとに「時代背景―企業家の活動―企業の発展」という一連の流れを捉える。 d.日本経済史と日本経営史の架橋をめざす。 なお授業は、講義(60分)とそれにもとづくディスカッション(45分)を組み合わせることによって進める。

平常点(50%)とレポート(50%)の併用。レポート課題は授業の最後に指示する。

なし

橘川武郎『イノベーションの歴史: 日本の革新的企業家群像』有斐閣、2019年 宮本又郎『シリーズ日本の近代 企業家たちの挑戦』2013年、中公文庫 宮本又郎・阿部武司・宇田川勝・沢井実・橘川武郎『日本経営史 新版』2007年、有斐閣 三和良一『概説 日本経済史 近現代 第３版』2012年、東京大学出版会

講義内容をふまえたディスカッションでは、必ず一人一回以上、発言し、自分の意見を言うことが求められる。そのため、時代状況やケース・スタディの対象に関する独自の文献・資料調査を行い、自分の意見をまとめておくことが望ましい。

授業の履修を希望される方は、4/8の午前10時30分に以下のURLにアクセスしてください。 https://zoom.us/***** ミーティングID: *****