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最終更新日:2024年3月15日

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環境倫理

 従来、「倫理」とは人間と人間との間、それも今を生きる人間同士の間の問題と考えられてきた。しかし、科学技術の進歩は人間の行動範囲を拡大するばかりか、生物の体内環境をも含む環境への影響力をも指数関数的に増大させてきた。ただし、私たちをめぐり囲むものである環境とは、必ずしも自然環境のみを意味しない。善い環境の下で善く生きることとはどのようなことかを問うのが環境倫理学であるが、環境と一口に言ってもその内実は複雑である。
 また、環境倫理学はもともと環境を守ろうとする実践から生まれてきたのであり、西洋哲学・倫理学史の系譜とは当初は関連していなかった。いうなれば徹底的に現場の学問なのだ。だが21世紀に入り、倫理学をはじめとするアカデミックな諸学との対話によって環境倫理学も厚みを増してきている。
環境倫理学の課題は模範解答を示すことではなく、問いを「問い」として明確化して共有し、私たちが応答するための起点を築くことである。また、問いへの意外な応答の試みが現実の社会において既に大規模に、あるいはひそかに進められていたり、反対に滞っていることも少なくない。私たちがそれらの実践に触れる際、時に粛然とせざるを得ない。環境倫理学など役に立つのだろうか?だが先行する実践は理論を要求し、また理論が実践の手掛かりとなることも確かである。アップトゥデイトな理論と実践を往復する講義を通して、環境倫理学の積極的な可能性を開拓していきたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
060500011
FAG-CC2C02L1
環境倫理
山本 剛史
A1
月曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
1
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
農学部
授業計画
1、自然保護から始まった環境倫理 2、環境正義論(正義論概説を含む) 3、環境と風土 4、環境徳倫理学 5、胎内から地球環境へーカネミ油症に学ぶ― 6、世代間倫理 7、人類・地球の未来だけでなく地域の未来―福島第一原発事故に学ぶ― (進度等により順序及び内容の変更の可能性あり。)
授業の方法
講義形式で行う。
成績評価方法
学期末レポートによる。 題目、提出期限等は講義中に指示する。
教科書
特に指定しない。必要に応じて資料を配布する。
参考書
吉永明弘、福永真弓編著『未来の環境倫理学』勁草書房、2018年。(講義内容の半分程度は本書と関連する。手元にあると授業内容の整理・考察に有益と考えられる。) 吉永明弘『都市の環境倫理──持続可能性、都市における自然、アメニティ』勁草書房、2014年。(環境倫理学の基本事項を補完するために、特に第一部が役立つ。) 井戸川克隆『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』駒草出版、2015年。(原発事故を理解する上で必読。著者井戸川氏は地方自治体の長という行政側の視点と、一被災者の視点を併せ持っている。) また、随時講義中に紹介していく。
履修上の注意
毎回出席を出席票を配布してチェックする。全7回中3分の2以上の出席を課す。3分の2に満たない者は、成績評価の対象外とする。 出席票は授業開始30分後から配布を開始する(配布時に受け取れなかった場合は欠席扱い)。出席票のその回の授業内容の要約を記入する欄に、必ず要約を記入すること。未記入、あるいは内容が不十分である場合は出席回数を0.5回にカウントする。 出席票に氏名・学籍番号・専修名も合わせて記入し、授業終了後に提出すること。いかなる理由があろうと教室外では受領しない。