学部後期課程
HOME 学部後期課程 生物多様性科学実習
過去(2020年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月1日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

生物多様性科学実習

生物多様性科学実習
近年、日本各地で生物の減少や絶滅といった問題が生じている。その対策として、とくに農地や雑木林、都市林などの身近な自然を対象に、自治体や市民自らが、科学者などの専門家とともにその生物多様性を監視しつつ管理作業を行なう活動などが、全国に広がっている。本実習では、生物多様性の保全を目指した活動を実践してきた農地や、都市林などを対象に、これらの生息地の生物群集の現状や保全活動の効果を調べ解析する生態学的な手法を実習する。また、実際に生物多様性保全を目指した農業活動をつづけてきた農家の方たちとの情報交換や議論の場も提供する。

(1) 農薬や化学肥料を使わないアイガモ農法が行われている千葉県佐倉市の水田を対象に、生物多様性保全のための効果を測定するための生態学的調査法を実習する。
(2) 都市の孤立林に生息する土壌動物などを題材に、生物群集の動態を理解するための生態学的調査法を実習する。
(3) 1と2で実習する調査デザインの背景となる生物統計学の基礎を、実際に統計ソフトウェアRを用いて実習する。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
060413010
FAG-MS3001P1
生物多様性科学実習
宮下 直
S2 A1 A2
S2: 集中、A1: 木曜3限 他
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
不可
開講所属
農学部
授業計画
10月-11月上旬 環境に優しいとされる合鴨農法の効果測定法を、千葉県佐倉市で合鴨農法を実践している水田とそれに隣接する慣行農法の水田のデータを用い、生物群集データの解析法を統計ソフト R をもちいて実習する。 11月下旬-1月 東大本郷キャンパスおよびその周辺の都市林を対象に、鳥類とその生息地である森林の植生調査の方法を実習するとともに、そのデータを用いて生物群集データの解析法を統計ソフト R をもちいて実習する。
授業の方法
実習全体を通し、生物多様性の保全にかかわる具体的な課題を題材とし、科学的なアプローチを実践的に学ぶ場を目指す。具体的には、疑問の発見、その疑問への答えの案である仮説の設定、得られたデータを統計解析によって検証し、その結果にもとづいて結論を導くプロセスを体験しながら、それぞれのステップの技術を学ぶ場をつくる。 A1ターム(10月ー11月上旬)では、まず野外データの統計解析に有効とされるが、実装がやや難しいランダマイゼーションの講義を行ったあと、実際の野外データの統計解析の実習を、統計解析ソフトウエアRの具体的な操作を通して行なう。野外データ解析には、テキスト等で使われる例題用のデータにはない難しさが必ずつきまとう。その難しさとつきあいながら解析することを目指す。 最後のA2ターム(11月下旬ー1月)では、まず野外調査デザインに関わる実験計画法などの講義を行なったあと、本郷キャンパスおよびその周辺の都市林に生息する鳥類を対象とした、鳥類群集およびその生息地である森林の植生調査法を実習しながら、実際にデータを集める。 そのデータをもとに、研究上の問いを設定し、その答えの案である仮説を設定、その仮説検証のための解析デザインを決め、実際に解析を行なう。得られた解析結果を解釈し、他の人たちに伝える技術のさわりも実習する。具体的には、得られた結果をどのようにグラフや表にまとめるか、そこから考えたことを、どうスライドにまとめるかを、短い講義と実際のプレゼンテーションや論文の作成を通して学ぶ機会を設ける。
成績評価方法
レポートで評価する。課題は授業中に指示する。 提出方法:email で藤田剛助教 (*****) 宛に提出。A4で2枚程度を pdf 形式で。 提出期限:1月25日 (月) 午後4時
教科書
生物多様性概論、宮下 直 ・瀧本 岳 ・鈴木 牧 ・佐野光彦、朝倉書店、ISBN978-4-254-17164-8 人と生態系のダイナミクス1.農地・草地の歴史と未来.朝倉書店、ISBN978-4-254-18541-6 生物多様性と生態学、宮下 直・井鷺裕司・千葉 聡、朝倉書店、ISBN978-4-254-17150-1 群集生態学、宮下 直、野田隆史、東京大学出版会、ISBN4-13-062211-0
参考書
必要に応じて、講義中に紹介する。
履修上の注意
大学教養レベルの微分積分学・線形代数学を応用する場合があるが、必要に応じて初等的な解説を行う。