学部後期課程
HOME 学部後期課程 芸術学概論
過去(2022年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年3月15日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

芸術学概論

芸術学の諸問題:「意図」という概念を中心に
芸術学における最も基礎的な問題「芸術の定義」を論じることから始め、全く同型の諸説ネットワークが、倫理学、認識論、ジェンダー論、心の哲学(現象的意識の哲学)など、多くの分野においても成立していることを確認する。そのうえで、全学問分野の中に芸術哲学を位置づけ、その位置づけに最も適合した芸術定義はどれであるかを演繹的に論証する。その当該定義において中核的な役割を果たす「意図」という概念を分析しつつ、非芸術の芸術化の可能性とその限界を論じ、都市や戦争といった〈芸術ではないが美的に見られることの多い広義の人工物〉の芸術視の効用と帰結を探る。「意図」概念によって構成される行為論の観点から、芸術と美的なるものの関係、ひいては芸術学と美学の関連性を改めて確認する。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04220611
FLE-HU4F02L1
芸術学概論
三浦 俊彦
S1 S2
月曜3限
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
 芸術学の最も難しい現代的課題は、「芸術」と「美的なるもの」との関係を見直すことである。この二つの概念は、互いに交わりながら、「美的でない芸術」「芸術以外の美」の存在を許容する。この2つは、芸術の領分からは、それぞれ「コンセプチュアルアート」「ファウンドアート」という形で回収されてきた。また、美の領分からは、ともに「美的態度」という概念のもとに統一されてきた。そこで枢要な役割を果たすのが「意図」という概念である。「芸術」と「美的なるもの」の双方が、互いの理解をいかに増進させるか、または阻害するかを「意図」概念を主軸にして問い直す。  第1週 「意図」について1 芸術制作・芸術鑑賞・芸術流通における意図  第2週 「意図」について2 意図の分類  第3週 「意図」について3 意図の論理構造  第4週 「意図」について4 芸術的意図の諸問題  第5週 「芸術と非芸術」について1 芸術のさまざまな定義  第6週 「芸術と非芸術」について2 芸術の定義と知識の定義  第7週 「芸術と非芸術」について3 芸術の定義と善の定義  第8週 「芸術と非芸術」について4 芸術の定義とジェンダーの定義  第9週 芸術の文化的地位1 「環境」「遺伝」と芸術 ~ メディアとコンテンツ、 原芸術と芸術史  第10週 芸術の文化的地位2 「多様性」「選択」と芸術 ~ 表現の自由と責任  第11週 芸術の文化的地位3 「美的範疇」と芸術 ~ 美的態度、美的観点  第12週 芸術の文化的地位4 科学と芸術 ~ 「観測選択効果」の芸術論 標準的な芸術哲学の解説に加えて、「不謹慎の美学」「美的対象としての大都市」「美的対象としての戦争」「宇宙物理学(anthropic reasoning)における美(fine tuning)の意義」「コンセプチュアルアートとトランスジェンダリズムの同型性」といった実験的・試論的なテーマにしばしば論及するので、ご了解いただきたい。
授業の方法
毎回のリアクションペーパーや、時事的な話題に基づいて、内容を微修正することがある。
成績評価方法
主に期末レポートと提出物で評価し、出席状況を加味する。
教科書
なし
参考書
講義の中で、適宜指示する。
履修上の注意
特になし