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最終更新日:2024年4月22日

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宗教学宗教史学特殊講義Ⅷ

「ポスト世俗主義」のアメリカ
 21世紀における「宗教」の意義とは、どのようなものか?
 社会科学的なアプローチにおいては「若者の宗教離れ」であるとか「無宗教」の増加といったデータが紹介され、宗教の意義は廃れていく、と考えられる。たとえ宗教が意義をもつとしても、それは心の中のこと、あるいは私的な問題であると考えられる。これは一般に「世俗化」論として論じられてきた。
 ところが社会哲学においては、逆に「ポスト世俗化」論が今世紀に台頭してきている。現代において宗教は、政治、社会、文化といった公的領域でも意義をもっており、もはや「世俗化」を前提には理解できない、というのがその端的な考え方である。
 しかも、そこでは、「世俗化」を前提とした見方が「分断」の要因となり、逆に「ポスト世俗化」を前提とした見方が「連帯」の契機となる、という宗教の意義が示されてもいる。これまでの考え方からすると逆とも言えるこの「宗教」観はいったいどのようなものなのか?
 本講義では、アメリカを題材としながら、社会哲学における「宗教」についての見解を論じ、「世俗主義」についての見直しをはかる。社会科学的なアプローチによる宗教の「事実」にかんする理解にくわえ、各受講生が現代社会における宗教の「意義」にかんする視座を形成することが本講義の目標である。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04220548
FLE-HU4E03L1
宗教学宗教史学特殊講義Ⅷ
藤本 龍児
A1 A2
金曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
1.イントロダクション(対面) 2.アメリカ宗教の実態―「世俗化」論の例外? 3.政治にかかわる宗教―「世俗化」への反動? 4.「世俗派vs.信仰派」図式―「原理主義」概念による分断 5.リベラリズムにおける宗教の再評価①―J・ロールズ 6.リベラリズムにおける宗教の再評価②―J・ハーバーマス 7.「政教分離」の実相①―欧米における政治と宗教 8.「政教分離」の実相②―「修正一条」解釈の変化 9.多文化主義と宗教①―C・テイラー 10.多文化主義と宗教②―R・ベラー 11.「宗教リベラルvs.宗教保守」図式―social capitalとしての宗教 12.公共宗教論―「ポスト世俗主義」へ 13.まとめ
授業の方法
講義形式。受講者数によってはディスカッションの時間を設けたい。(105分) 初回から対面でおこなう。状況に応じてオンラインでおこなう回もありうる。
成績評価方法
適宜おこなうリアクション・ペーパー 期末レポート
教科書
藤本龍児『「ポスト・アメリカニズム」の世紀-転換期のキリスト教文明』筑摩選書、2021年
参考書
授業のなかで紹介する。
履修上の注意
この講義に特別な前提知識は必要ないが、現代社会と宗教についての総合的あるいは思想的な関心をもつ者が望ましい。