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最終更新日:2024年4月22日

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死生学特殊講義Ⅱ

死生のケアの現象学
 看護ケア理論や看護ケアの質的研究において、現象学という哲学が注目を集めて久しい。それは、あらゆる事象を「生活世界」における「意味」体験の次元から捉え直そうとする現象学的哲学の営みが、個々の患者やその家族の「病い」の体験を理解する視点と、それに対処する方途を与えうると期待されているからである。
 本講義では、「現象学」という哲学の基本的な理解をもとに、「ケア」がどのような営みであり、また死生のケアにはどのような視点が必要かを、受講者が理解できるようになることを目標とする。
 「疾患」と「病い」の区別を手がかりにしつつ、自然科学的・医学的なものの見方の特徴とその哲学的背景を明らかにしたあと、そうした見方では捉えられない生活世界的意味経験とケアの営みを、現象学という哲学がどのように明らかにしていくのかを、主としてベナーの現象学的人間観と現象学的看護理論に即して概説する。さらに、わが国で近年展開されている現象学的看護研究を概観し、「死生のケアの現象学」のさらなる可能性について考えたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04190042
FLE-HU4202L1
死生学特殊講義Ⅱ
榊原 哲也
S1 S2
金曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
以下の内容を順次講義する予定。 1.「疾患」と「病い」 2.近世的二元論と自然科学的思考の諸特徴 3.「ケア」という営み/「意味」という事象 4.「現象学」とはどのような哲学か――ケアの営みの解明のために 5.ベナーの現象学的人間観と現象学的看護理論 6.死生のケアの現象学的研究の諸相 7.西村ユミの仕事―『看護実践の語り』 8.死生のケアの現象学の可能性(西村ユミ氏をお招きして講義していただくことも考えている) (ただし進行の度合い等によって、計画の変更や追加、割愛もありうる)
授業の方法
基本的に講義形式の授業をおこなうが、受講者には毎回授業の最後に感想や質問を書いてもらい、必要に応じて、次回の授業でコメントを返す方法をとる予定。
成績評価方法
授業参加度(出席、発言等)と期末レポート(ないし期末試験)を総合して評価する。
教科書
榊原哲也『医療ケアを問いなおす――患者をトータルにみることの現象学』(ちくま新書、2018) 西村ユミ『看護実践の語り』(新曜社、2016) その他は必要に応じて資料を配布する。
参考書
フッサール『イデーンⅡ』Ⅰ、Ⅱ(みすず書房) ハイデガー『存在と時間』Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(中公クラシックス) メルロ=ポンティ『知覚の現象学』1、2(みすず書房) ベナー/ルーベル『現象学的人間論と看護』(医学書院) 西村ユミ/榊原哲也編『ケアの実践とは何か:現象学からの質的研究アプローチ』(ナカニシヤ出版) 西村ユミ『語りかける身体』(講談社学術文庫) 村上靖彦『摘便とお花見』(医学書院) 村上靖彦『在宅無限大』(医学書院) 榊原哲也「現象学的看護研究とその方法」(『看護研究』Vol.44, No.1, 2011) 榊原哲也「最初で最後、本当にその外線一階きり―透析ケアの現象学試論」(『哲学雑誌』130(802), 2015) 榊原哲也「看護と哲学―看護と現象学の相互関係についての一考察」(『看護研究』Vol.49, No.4, 2016) その他は随時授業中に指示する。
履修上の注意
積極的な参加を望みます。