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最終更新日:2024年3月15日

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行政学演習

グローバル化と国家
「今はグローバル化の時代だ」。「労働・商品・資本が、めまぐるしい勢いで国境を超えて移動している」。「国民国家はもはや時代遅れになった」。つい最近まで、こうした勢いの良い分析を耳にすることが多かった。

ところが、どうしたことだろうか。今やグローバル化を妨げる動きの方が目につくようにも見える。アメリカでは、何やら奇妙な公約を掲げる大統領が選ばれ、別の国と貿易紛争を始めたり、移民を排斥したりしているそうである。イギリスでは、これまで周りの国と進めていた地域統合をやめて、「ブレグジット」が行われるらしい。日本は日本で、外国人の受け入れを加速しようという動きに対して、排外主義の傾向が強まっているようだ。どうやら、国民国家はグローバル化の流れを押し戻そうとしているらしい。

このように国家とグローバル化を対抗関係に置く見方には、それなりの説得力がある。グローバル化とともにやってくるのは弱肉強食の世の中であって、その荒波から身を守るには、国家という防波堤が必要だ。そう考える人も多いのではないか。

だが、少し立ち止まって考えてみると、この対立軸によって、ある重要なことが見えなくなることに気づく。それは、歴史的に見れば、国家こそがグローバル化を進めてきた主体だったという事実である。グローバル化は社会現象であって、自然現象ではない。そうである以上、そこには必ず、グローバル化を進めようとする主体が存在する。そして、グローバル化を進める上で、国家ほど強い権力を行使しうる組織は、他にない。国家をグローバル化の波に晒すのは、国境を超えた経済活動ではなく、その経済活動を後押しする他の国家なのである。日本のことを考えてみても、19世紀半ば以降、様々な形で貿易自由化と規制緩和を迫ってきたのも、他の国家ではなかったか。

この授業では、いくつかの本を読みながら、グローバル化と国家の関係について改めて考える。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0119081S
FLA-SE4706S2
行政学演習
前田 健太郎
S1 S2
水曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
法学部
授業計画
毎週、50ページ~100ページ程度の和文を読む。アダム・スミス『国富論』(山岡洋一訳、日本経済新聞社、2007年)、ジョヴァンニ・アリギ『長い20世紀』(土佐弘之監訳、作品社、2009年)、デヴィッド・グレーバー『負債論』(酒井隆史監訳、2016年)などを取り上げる。
授業の方法
報告者がレジュメを作成し、参加者全員で議論する。
成績評価方法
出席と報告内容で評価する。
教科書
文献のpdfファイルはこちらで用意する。
参考書
特になし。
履修上の注意
政治思想史の演習ではないので、注意すること。