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最終更新日:2024年4月1日

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医療工学

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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
FEN-MX5b32L1
FEN-MX5b32L1
医療工学
久保田 雅也
S1 S2
木曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
工学部
授業計画
1回目:4/19  久保田雅也(国立成育医療研究センター神経内科、先端医療機器情報学講座) 「小児神経学概論」  小児の発達における神経学的基盤  自発性(自動性)の獲得、中枢神経系の可塑性 、臨界期(感受性期)  中枢神経系の可塑性を応用した治療:VRを利用した疼痛の治療  眼球運動を用いた意思伝達装置  工学的な介入が期待される領域:biomarkerの「計測」、「生活支援」、「病態解析」、「治療的介入」、「学習支援」、「遊び」 2回目:4/26   相原正男(山梨大学大学院総合研究部) 「社会脳(social brain)の成長・成熟・発達 」  脳の成長とは、脳が大きくなり、安定した構造に近づくことである。生態学の研究から、猿類の大脳皮質の大きさは、群れの社会構造の複雑さ(social size)に比例していることが報告されている。社会適応に必要とされるヒトの前頭葉、前頭前野の体積を3D-MRIで定量的に測定したところ、前頭葉に対する前頭前野比は乳児期から8歳頃まで年齢とともに緩やかに増大し8~15歳の思春期前後で急速に増大した。脳の成熟とは、脳内情報処理過程が安定した機能になることで、神経科学的には情報処理速度が速くなること、すなわち髄鞘形成として捉えられる。生後1歳では、後方の感覚野が高信号となり、生後1歳半になると前方の前頭葉に高信号が進展した。これらの成熟過程は1歳過ぎに認められる有意語表出、行動抑制、表象等の前頭葉の機能発達の神経基盤と考えられる。  高次脳機能を非侵襲的に測定する脳科学の進歩と認知神経科学(cognitive neuroscience)における情報処理の仕組み  発達障害の脳内メカニズム  Working memory  前頭前野と文脈依存性理論  前頭前野と情動/感情機能 3回目:5/10  久保田雅也(国立成育医療研究センター神経内科、先端医療機器情報学講座) 「不随意運動からヒトの随意運動の機構を考える」  「笑い」と随意運動の乖離 :情動と行為行動の関係(こころと身体)  基底核の機能と病態:ジストニアと脳深部刺激療法 寝たきりの患者が歩いて生活可能に.その神経伝達の機序  過緊張とバクロフェン髄注療法 苦痛からの解放と神経伝達  発作性運動誘発性ジスキネジア 姿勢変換機構の異常  心因性運動異常症 その中枢機序と捉え方  4回目:5/17 加藤光広(昭和大学医学部小児科) 「脳形成とヒトへの進化 その1」 (1).大脳の個体発生と系統発生 (2).神経回路と電子回路の類似性 (3).脳形成異常の分子メカニズム (4)ヒトの発達、進化の基盤、脳の発生と進化、大脳の発生とヒトの脳のサイズ決定因子、脳回の発生、左右の分離 5回目:5/24 加藤光広(昭和大学医学部小児科) 「脳形成とヒトへの進化 その2」 (5).脳の検査技術:画像・機能・遺伝子 (6).診断アルゴリズムを用いたAI診断 (7).遺伝子治療の現状と将来性 (8). 脳の検査法各種:紹介と今後の展望(情報工学の応用なくして成立せず)、遺伝子解析技術の進歩、てんかんの分子病態、神経伝達物質と遺伝子治療(稀少難病の先端治療紹介) 6回目:6/7 宮尾益知(どんぐり発達クリニック) 「発達障害と脳科学1」  ADHDの病理・病態と診断・治療  ADHDと学習障害では中枢神経系に何が起こっているか  情報工学的側面から疾患を理解する  何が問題か  治療的対応の意味 薬物療法  うつ病のこと 7回目:6/14  久保田雅也(国立成育医療研究センター神経内科、先端医療機器情報学講座) 「発作性疾患からヒトの脳の正常・異常・病的状態を考える」  てんかん experiment in nature  てんかん:「神聖病」から電気生理学的現象とわかるまで  てんかんの診断と治療体系:神経生理学と情報工学  動画でみるてんかん発作と機序  てんかんとneuroengineering 臨床と工学の接点 8回目:6/21  久保田雅也(国立成育医療研究センター神経内科、先端医療機器情報学講座) 「乳児のこころと身体の発達」  胎児は何をしているか 観察研究が中心  乳児の発達を睡眠覚醒リズム、移動運動、共同注意からみる  乳児は自発性の塊である。自発性の欠如が発達障害の基盤にある。  顔認知の発達 観察研究から脳波、アイトラッキングを用いた方法まで  意味への自発的接近と「遠隔対象性の獲得」  ヒトとサルの境界 9回目:6/28  相原正男先生(山梨大学) 「社会脳(social brain)の神経生理学的研究」 認知・行動発達を前頭葉機能の発達と関連させながら検討してみると、その発達の順序性は、まず行動抑制が出現することで外界からの支配から解放され表象能力が誕生する。次にワーキングメモリ、実行機能が順次認められてくる。行動抑制を衝動性眼球運動(サッケード)、光トポグラフィーで測定した。さらに、実行機能を遂行するには将来に向けた文脈を形成しなければならない。文脈形成の発達は、右前頭葉機能である文脈非依存性理論から左前頭葉機能である文脈依存性理論へ年齢とともにシフトしていくことが脳波周波数解析の結果から判明した。一方、身体反応として情動性自律反応が出現しないと社会的文脈に応じた意思決定ができず、その結果適切な行為が行えないことも明らかとなってきた。このように、様々な心理課題を神経生理学的に検討することでヒトの脳内情報処理過程が明らかになりつつある  社会脳としての前頭葉機能の発達とその障害 情報処理の特徴  発達障害は神経心理学的に前頭葉の機能障害である  前頭葉の成長(growth)、前頭葉の成熟(maturation)、心と前頭葉機能の発達(development of mind & frontal lobe functions)  行動抑制(behavior inhibition)と実行機能(executive function)の障害としてのADHD  情報工学的観点から治療をどのように考えるか 10回目:7/5  宮尾益知先生(どんぐり発達クリニック) 「発達障害と脳科学2」  自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群  サバン症候群、gifted  情報工学的側面から疾患を理解する  何が問題か  治療的対応の意味  ロボットセラピー、アニマルセラピー、オキシトシン 11回:7/12  久保田雅也(国立成育医療研究センター神経内科、先端医療機器情報学講座) 「発達障害とは何か」  中枢神経系の情報処理の変容  自閉症の解剖学的異常  「こころの理論」障害仮説(Mind blindness) とミラーニューロン仮説  自閉症と顔(表情)認知処理  空気が読めないことの意味=自動的意味処理の不全(意味盲)  大脳皮質の部位別機能の成熟不全 5/30 休講
授業の方法
情報理工学系研究科知能機械情報学専攻科目4850-1018「生体情報論」と共通のため重複履修不可。
成績評価方法
講義内で説明
履修上の注意
基礎を固める(工学部共通)