美術館と博物館の展示をめぐるイデオロギーが問われて久しい。2006年開館のパリのケ・ブランリー美術館もまた、展示表象をめぐる議論を読んだ出来事として記憶に新しいが、芸術作品と民族誌的器物や自然物等、展示物の分類に潜む歴史性と恣意性はどのように解釈されているのか。
本演習ではケ・ブランリー美術館が発行している学術雑誌Gradhivaの''Collections mixtes''と題された特集号(n. 23, 2016)に収められた諸論文を講読する。フランスにおける博物館・美術館に関する研究動向を通じて、展示物の区分の歴史的・学術的背景、展示品の自然/人工の境界等をめぐる近年の議論など、ミュージアムにおける「芸術」概念の(脱)構築の過程を考えたい。
当該のGradhiva誌の目次はリンク先に示されている。
なお、Aセメスターは«Discipliner la science de l'homme», «Art nouveau ou art congolais à Tervuren?», «Les collections d'art contemporain à lépreuve du vivant à travers quelques cas remarquables»の3本を講読予定である。