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最終更新日:2024年4月22日

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美学芸術学特殊講義II

ピアノ協奏曲の誕生
【目標】19世紀を中心に、ピアノ協奏曲がピアノという楽器の変貌とともにどのように変化していったのかを学ぶとともに、今日の「クラシック音楽」の形成過程を考えてゆきます。
【概要】ピアノ協奏曲の歴史は、ピアノ音楽が大量に生み出され、消費されていった19世紀に大きな変化を遂げました。その変貌の前と後では、同じジャンルでもまったく違うものと言って差し支えないほどです。例えば20世紀序盤に数々の「名作」を残したラフマニノフのピアノ協奏曲についての理解は、フランス革命前夜にこのジャンルの作品を多数残したモーツァルトのそれとは、全く異なっていました。けれどもその当然の事実は、今日の「クラシック音楽」の理解のもとでは見えにくくなっています。この講義では、ピアノ製造技術の発展がこのジャンルを決定的に変えていったこと、ピアノ協奏曲の多様な演奏可能性、演奏会場での聴衆のあり方、当時のピアノ協奏曲のさまざまな形式の意味などについて考えながら、今日の演奏レパートリーに残っている作品だけでなく、あまり知られていない、しかし歴史上重要な作品もとりあげつつ、このジャンルの歴史を追っていきます。講義の中心は19世紀の展開ですが、この世紀のピアノ協奏曲のあり方を学ぶことで、ピアノ協奏曲史全体への視界が開けるはずですし、また今日の「クラシック音楽」の考え方が形成されてゆく過程を垣間見ることになると思います。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04170666
FLE-PR2F15L1
美学芸術学特殊講義II
小岩 信治
A1 A2
月曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
1 序論I W.A.モーツァルト:ピアノ協奏曲は大オーケストラの音楽か 2 序論II 変貌するピアノ、変貌するジャンル:18世紀までのピアノとは 3 ベートーヴェンとピアノ協奏曲:2つのピアノ文化のはざまで 4 時空を越える「試験曲」: フンメルの《ピアノ協奏曲》イ短調作品85 5 モシェレスのト短調とカルクブレンナーのニ短調:    フンメルとならぶ「スタンダード」ピアノ協奏曲から時代を読む 6 ショパンの作品11の「室内楽版」: その歴史的意義と可能性 7 メンデルスゾーンの作品25、C. M. フォン・ウェーバーの   《コンツェルトシュテュック》と19世紀の音楽会:   「集中的・継続的な聴取」を求めて 8 イギリス式ピアノがもたらしたもの:アルカン、エルツ、リトルフ 9 シューマン夫妻のイ短調作品 10 フランツ・リスト 11 鳴り響く博物館:ブラームスとサン-サーンス 12 世紀後半以降のロシア(+北欧)の展開点描 13 展望:打楽器としてのピアノの将来
授業の方法
講義
成績評価方法
講義2〜3回ごとに講義内容を簡潔にまとめて提出する「出席レポート」を課し、その提出内容によって出席回数をカウントするとともに平常点評価を行います。また期末に「期末レポート」を課す予定。出席回数が講義回数の2/3に満たない場合は単位認定しません。
参考書
小岩信治『ピアノ協奏曲の誕生』春秋社、2012。
その他
 「クラシック音楽」についての講義で、しばしばオーケストラ・スコアも参考資料として提示しますが、楽譜が読めなくても履修できます。  第1回から全体の導入的な内容で講義を開始し、「ガイダンス」の回は設定しません。初回から出席してください。  もし学内で適切な空間が確保できる場合、ピアノや弦楽器を演奏できる履修者は、教員が用意する楽譜を使ってピアノ五重奏や六重奏(ピアノ、ヴァイオリン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ(・コントラバス))で室内楽編成のピアノ協奏曲楽章(モーツァルト、ショパンなどの一部作品)を演奏することで、期末レポートに代えることができます(なおその場合でも「出席レポート」を提出し、講義回数の2/3に出席しなければ単位認定しません)。ただしシラバス執筆(2月17日)時点では、そのような演奏にふさわしい会場を確認していませんので、実現の確約はできません。ピアノがあり、数人が合奏できる場所の提案を歓迎します。演奏してみたいと思う学生は、演目や編成、会場などについて早めに相談・意見交換したいので、開講前でも遠慮なく教員のメールアドレス宛に連絡してください。