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最終更新日:2024年4月22日

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死生学演習Ⅳ(2)

生命倫理の現在
 医療技術の高度化に伴い、従来は困難であったことが克服されるようになった一方、倫理的空白地帯が次々と生まれている。医療は自然科学を基礎とした医科学の知識をもとにして人間の健康を回復・維持増進しようとする分野であるが、医科学が実現できることと社会的に実施可能なことはイコールではない。しかし、どこで線を引くべきか、倫理的判断が容易でない課題が増えつつある。
 個人や集団の心身が健康であるか否かは、種々の社会的事象の原因でもあり結果でもある。また、より望ましい身体の状態に関する人々の欲求は、社会的な認識の変化によって変化する。したがって、社会的な認識の変化は倫理問題の性質と射程に直接的に影響する。
 本科目では、米国のbioethicsのテキストを読みつつ、現代の医学・医療と社会および倫理観の関係や関連する諸問題について考える。日米の文化差による問題の把握の仕方の相違を理解しつつ、事象の多面性を認識し、文化的な背景が個人の倫理観・死生観へどのような影響を及ぼしているか、考える。また、社会的に形成される「常識」を疑い、相対化する。デジタル時代に特有の問題を含め、急速に進展しつつあるこの分野の問題をリアルタイムで考察する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04165507
死生学演習Ⅳ(2)
会田 薫子
A1 A2
火曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
生命の開始に関する問題群、生命の終わりに関する問題群、医科学研究の倫理に関する問題群やその他、生命倫理に関わる報道を素材に、生命倫理問題の現在について考察し、経年変化を分析する。 具体的なテーマとしては、着床前診断・出生前診断、人工妊娠中絶、代理母、クローン、iPS細胞等の万能細胞と再生医療、エンハンスメント、脳死、臓器移植、生命維持治療、尊厳死・安楽死、緩和医療、新薬開発・臨床試験、薬害・裁判、臨床倫理に関する問題等があるが、他のテーマも含め、個別テーマについては履修者とともに検討する。
授業の方法
初回と第2回は生命倫理概論、第3回は研究倫理の講義を行う。 その後は、学生・院生による発表とディスカッションを中心とする。
成績評価方法
ディスカッションへの参加、授業中の発表と、期末レポートによって評価。
教科書
Robert Veatch, "The Basics of Bioethics," third ed. Pearson, 2012. 『生命と科学技術の倫理学』森下直貴編、丸善出版、2016年
参考書
『延命医療と臨床現場 ― 人工呼吸器と胃ろうの医療倫理学』会田薫子著、東京大学出版会、東京、2011年 『シリーズ生命倫理学3 脳死・移植医療』会田薫子他著、丸善出版、2011年 『シリーズ生命倫理学4 終末期医療』会田薫子他著、丸善出版、2012年 『医と法をめぐる生死の境界』、一ノ瀬正樹・高橋都共編、会田薫子他執筆、東京大学出版会、東京、2008年. 『日米の医療 - 制度と倫理』、杉田米行編、会田薫子他執筆、大阪大学出版会、大阪、2008年.