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最終更新日:2024年4月22日

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芸術学概論

現代の視覚/聴覚文化の芸術学
美術や音楽といった旧来の言い方に代わって近年、「視覚文化 (visual culture) 」、「聴覚文化 (auditory culture) 」といった語が用いられる機会が多くなった。文化の多様化とともに、美や芸術に関わる研究には、従来の「芸術作品」モデルの考察にまとわりつく固定観念から自由になり、日常体験における感性的な文化のありよう全般を幅広く捉えることが求められるようになってきている。しかしそのことは、従来の芸術学が形作ってきた「芸術作品」モデルでの考察の蓄積が無効になったことをただちに意味するわけではない。今の状況は一見したところ、伝統的モデルが解体して、混迷しているかのようにもみえかねないが、そういう状況であるからこそあえて「芸術学」の概念や道具立てを参照項にすることによってみえてくることも決して少なくないのである。問題のポイントは、「芸術作品」モデルが形作ってきた「芸術」と「非芸術」の境界を解体することではなく、むしろその両者の関係性自体を問い直すことにこそある。今起こっていることを、ただちに対象そのものの問題に落とし込み、伝統的な芸術作品の解体といった形で考えてしまうのではなく、それを支えているメディアや文化的コンテクストの問題としてその変化を描き出してゆくような視点が求められている。この講義ではそのような観点をベースに、そのような「芸術」と「非芸術」の境界線上に位置する、できるだけ具体的な事例を題材にしながら、それらがどのような力学、メカニズムの中で「文化」として生きた形で機能しているのかを考えてゆきたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04160601
芸術学概論
渡辺 裕
S1 S2
火曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
今のところ、以下のようなテーマを順次取り上げることを予定している(取り上げるテーマは変更することがありうる)。 ・近代的「芸術作品」概念の正体 ・視覚/聴覚文化の現在   −駅の発車メロディは「環境の音」か「音楽」か?   −「作品」概念の解体?:デジタル・リマスター時代の音とメディア   −「芸術作品」は誰のもの?:「作者」と「著作権」という文化的フィクション  ・作品世界と現実世界:「テクスト」と「コンテクスト」の逆転   −近代的「芸術作品」における「テクスト」と「コンテクスト」     −ベートーヴェン《月光》をめぐるマルチメディア的想像力   −「タイタニック号の沈没」:映画と音楽のつくる「現実」   −「音楽都市ウィーン」にみるオーセンティシティと観光 ・「オーセンティシティ」の創出とメディア   −「正調」の創出:ショパン・コンクールと江差追分全国大会   −複数のオーセンティシティをめぐる力学:「寮歌」の戦後史            
授業の方法
講義形式。 可能な限り、映像、音源などを用いて、具体的な事例から出発する議論を心がけたいと考えている。
成績評価方法
学期末に課するレポートによる
教科書
特になし
参考書
初回授業時に講義内容に関連する主要な文献の一覧表を記載したプリントを配付する。また、授業に関連する資料を提供するためのデータ・ボックスをインターネット上に開設するので、適宜アクセスして参照すること。
その他
推奨科目