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最終更新日:2024年4月22日
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芸術学概論
現代の視覚/聴覚文化の芸術学
美術や音楽といった旧来の言い方に代わって近年、「視覚文化 (visual culture) 」、「聴覚文化 (auditory culture) 」といった語が用いられる機会が多くなった。文化の多様化とともに、美や芸術に関わる研究には、従来の「芸術作品」モデルの考察にまとわりつく固定観念から自由になり、日常体験における感性的な文化のありよう全般を幅広く捉えることが求められるようになってきている。しかしそのことは、従来の芸術学が形作ってきた「芸術作品」モデルでの考察の蓄積が無効になったことをただちに意味するわけではない。今の状況は一見したところ、伝統的モデルが解体して、混迷しているかのようにもみえかねないが、そういう状況であるからこそあえて「芸術学」の概念や道具立てを参照項にすることによってみえてくることも決して少なくないのである。問題のポイントは、「芸術作品」モデルが形作ってきた「芸術」と「非芸術」の境界を解体することではなく、むしろその両者の関係性自体を問い直すことにこそある。今起こっていることを、ただちに対象そのものの問題に落とし込み、伝統的な芸術作品の解体といった形で考えてしまうのではなく、それを支えているメディアや文化的コンテクストの問題としてその変化を描き出してゆくような視点が求められている。この講義ではそのような観点をベースに、そのような「芸術」と「非芸術」の境界線上に位置する、できるだけ具体的な事例を題材にしながら、それらがどのような力学、メカニズムの中で「文化」として生きた形で機能しているのかを考えてゆきたい。
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