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4922060
社会情報学基礎V
Basic Lectures in Socio-Information and Communication Studies V
三谷 武司
S1S2 水曜3限
Wed 3rd
社会学における「比較」の問題

社会学における「比較」の問題--社会学的機能主義の方法論

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 図書館研究所学部等 学際情報学府本館7階演習室1
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
25-304-22
国家と市場
Science of Public Administration (Special Study)
前田 健太郎
MAEDA Kentaro
S1S2 水曜5限
Wed 5th
国家と市場

現代の人間社会は、国家と市場という二つの仕組みに大きく依存している。その一方で、両者をどのように組み合わせるべきかという問題については、鋭い意見の対立がある。市場の効率性を強調し、国家の役割を制限しようとする立場もあれば、むしろ資本主義の下での搾取と抑圧を告発し、国家権力を用いて社会正義を実現するべきだと主張する立場もある。 このように国家権力の使い方が問題なのだとすれば、その使い方はどのように決めるべきなのだろうか。この問題に対する最もありふれた答えは、民主主義である。民主主義の下で、全ての市民に政治的な権利が平等に与えられれば、市場の生み出す経済的な不平等は是正されるであろう。資本主義が富を生み出すとすれば、民主主義はそれを再分配するであろう。「階級間和解」や「中位投票者定理」などといったジャーゴンに頼らずとも、こうした民主主義の働きは容易に想像できる。 しかし、今日の世界を見渡す限り、こうした資本主義と民主主義の関係に関する楽観的な見方を貫くのは難しい。グローバル化が進行する中で、各国では経済的な格差が拡大し、その反動で排外主義が高揚している。民主主義が資本主義の働きを是正するどころか、むしろ資本主義が民主主義を掘り崩しているのではないか。 こうした問題関心に基づき、今年度はロバート・ダールとチャールズ・リンドブロムの思想を振り返る。20世紀後半の政治学と行政学に絶大な影響を与えた両者の主著を講読し、資本主義の下で民主主義が機能するための条件について考察する。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 法文1号館 A2演習室
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
3788-034
大学アントレプレナーシップ
University Entrepreneurship
ロバート ケネラー
A1A2 月曜5限
Mon 5th

English Course Title: University Entrepreneurship (How to build a startup, to develop applications of your research) --Do you believe that your research can be applied in ways that respond to real unmet human needs -- that make life better for people not just in Japan but also in other countries? --Are you interested in an entrepreneurial approach to develop these applications and to bring them to market so that people can use them widely? If you answer “yes” to both these questions, then this course is for you. The spring semester course, Needs Inspired Inventionニーズに触発された発明, also seeks students who answer “yes” to the same questions. However, University Entrepreneurship, focuses on how to build a new company than can carry forward early stage development quickly and efficiently with benefit to the founders as well as society at large. This is an individualized and participatory course, modelled on the science-entrepreneurship mentoring programs that constitute Stanford BioDesign, Stanford Medical School’s Spark, and Y-Combinator. Participants must be serious about wanting to develop real world applications for their research and realistically planning to build a viable company to achieve this. Students must be able to understand conversational English and to participate in English discussions. Written assignments must be submitted in English.

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 先端研4号館 先端研4号館2階講義室
講義使用言語 Language:英語 English
5122011
市民社会組織・政策論
Civil Society Organization and Policy
田中 弥生
TANAKA Yayoi
S1S2 木曜5限
Thu 5th

目的と基本スタンス】 本講義の目的は3つある。第1にNPOやNGOなど市民社会組織の理論と現状を学ぶことである。第2は市民社会組織に関する制度および政策を分析することで、そのための評価論の基礎も学ぶ。第3に社会統治の視点から市民社会を捉えることで、なぜそれが民主主義の変質に影響するのかを考える。  市民社会組織が、政策的課題として本格的に取り上げられるようになったのは東西冷戦直後からである。福祉国家の限界やグローバル化の課題が浮上する中、市民社会組織が課題解決のアクターとして注目されてきた。だが、その運営は不安定で、いくつもの課題を抱えていることから、政策と現場の間に矛盾が生じている。また、これまでは、市民社会組織に対する主たる期待は社会サービスの補填機能であった。だが、昨今、ポピュリズムや民主主義の危機が取りざたされる中で、市民と政治の間に大きな緊張感が生じている。こうした中で市民社会組織は何らかの役割を果たせるのか。この新たな問いのもとで、ナチスと市民社会の問題、民主主義の強化を使命に活動するNPOを題材に議論したい。  なお、本講義では、市民社会組織をユートピア的に扱わず、正負両面について客観的・批判的に捉える。 【内容】以下のような内容を網羅する予定である。詳細は詳細版を参照のこと。 ・イントロダクション:日本社会の持続性と非営利組織  ・社会統治と市民社会 ~ドラッカーとナチスとボランティア~ ・民主主義の構造 ~民主主義の課題に挑むNPO~ ・市民社会組織の基礎的理解:非営利組織論、非営利セクターの経済規模 ・市民社会組織運営:経営論、評価手法 ・市民社会政策の分析I:資源提供者と非営利組織の仲介機能の設計 ・政策分析の手法:評価論、評価の技法 ・市民社会政策の分析II:官から民へ、構造改革とNPO政策 【文献案内】講義に応じて文献を配布する。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 第2本部棟 第二本部棟7階演習室3
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
3788-076
ニーズに触発された発明とアントレプレナーシップ
Needs-Inspired Invention and Entrepreneurship
ロバート ケネラー
S1S2 月曜5限
Mon 5th

English course title: NEEDS INSPIRED INVENTION --Do you believe that your research can be applied in ways that respond to real unmet human needs -- that make life better for people not just in Japan but also in other countries? --Are you interested in developing these applications and taking steps to ensure that inventions based upon your research will actually reach persons who need them and are willing to buy them? If you answer “yes” to both these questions, then this course is for you. The fall-winter semester course, University Entrepreneurship 大学アントレプレナーシップ, also seeks students who answer “yes” to the same questions. However, Needs Inspired Invention, focuses on invention itself -- specifically on determining new, realistic applications of your research that respond to real unmet needs and that are competitive globally. It does not presume that these applications will be developed by a startup, an established company or a government or nonprofit organization, although this issue should be kept in mind as you plan how the applications of your research will actually reach people who need them. This is an individualized and participatory course, modelled on the science-entrepreneurship mentoring programs that constitute Stanford BioDesign, Stanford Medical School’s Spark, and Y-Combinator. Participants must be serious about applying their research in new ways to meet unmet needs and actively participating in the translational research process. Students must be able to understand conversational English and to participate in English discussions. Written assignments must be submitted in English.

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 先端研4号館 先端研4号館2階講義室
講義使用言語 Language:英語 English
5112020
政治学II
Politics II
田邊 國昭
TANABE Kuniaki
S1S2 火曜2限
Tue 2nd

官僚制、政官関係、地方自治制度等、行政学の基本的な知識を習得することを目的とする。諸制度の概略、現在の研究の成果とその課題等に関して、講義を行うとともに、これらに関する基本的な文献講読を並行して行う。まず、毎週テーマに沿って政府の制度、機能等に関する講義を行う。その後で、指定された文献を事前に読んできたことを前提して、行政学の諸課題がどのように議論され、またどのような枠組みで把握されてきたのかを、参加者の議論を通じて学んでゆきたい。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 第2本部棟 第二本部棟6階演習室8
講義使用言語 Language: Japanese
31D200-1040S
言語態分析演習IV
Seminar: Textual Analysis IV
大石 和欣
OISHI Kazuyoshi
S1S2 月曜3限
Mon 3rd
さかしまな都市のモダリティー ― ロマン主義からモダニズムまで

 都市を歩く人びとの意識は多様性に富んでいる。遊歩者(フラヌール)はもちろん、旅行者、通勤する人びと、買い物をする人びと、楽しげな家族連れや恋人たち、ほろ酔い加減のサラリーマン。それぞれがそれぞれの想いを抱えて、都市の空間を横切っていく。彼らの意識はそれぞれ異なる都市の風景を認識し、記憶し、時間の経過とともに、パリンプセストのように心が留めおく印象を次々に塗り替えていく。意識の流れの水面には、視覚から聴覚、嗅覚にいたるまでの感覚がとらえた景色が輝くように反射したかと思えば、いつのまにか粉々の断片となって水底に沈みこんでいく。時代に漂う歓喜と不安をともに抱え込みながら。そう、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』の主人公が、第一次世界大戦後のロンドンで、光と影の交錯する夏の一日を意識のなかにとりこんだように。  しかし、遊歩を禁じられた人びと、居場所を失った人びと、公衆の寄り集う空間から疎外された寄る辺なき人びと、愛することも、愛されることもない流民たちにとって、都市の空間はどう感受されているのだろうか。それは実存的な空間認識でもあろう。生から死へと向かう時間軸上で、目的地を見出せないまま漂う精神にとって、都市の空間はどのように認知されるものなのだろうか。この授業ではそんな疑問から出発して、社会的疎外下にある人びとのまなざしと身体が捉える都市の表象を、近代イギリスを中心とした文学のなかに辿っていく試みをしてみたい。疎外意識をもった彼らにとって、消費の空間、労働の空間、日常生活の空間としての都市は、文学という虚構のなかでどう認識され、表象されるのであろうか。産業化し、資本を蓄積していく工業都市は苦しい労働空間以上のものになりえるのだろうか。植民地への覇権を強化していく十九世紀イギリスの帝都には、どのような闇を措定すべきなのだろう。リスぺクタブルな中流階級の文化から落ちこぼれながら、懸命にそれにしがみつこうとする人びとにとって、都市の風景はどう歪曲したものとして見えるのだろう。 いわゆる都市ルネッサンスを十八世紀末から経験したイギリスの都市は、十九世紀にはいると産業化とともに大きく変貌していく。鉄道敷設、道路拡張、都市住宅の開発と郊外化、そしてスラム化。都市インフラの整備と不動産市場の活況は、巨大な帝都ロンドンを構築し、近代化すると同時に、都市空間をカオス化し、その内奥に深い闇を抱え込んでいく。貧富の格差拡大とともに貧者の怒りと不満と絶望は高まりながらも、抑圧されたかたちでその暗い闇に飲みこまれていく。そこにはベンヤミンが標榜したフラヌール言説では透徹できない空間が沈潜し、またフーコーが提示する中央集権的な不可視の権力さえも飲みこんでしまうようなブラックホールが浮遊している。そこに押し込まれた意識と身体が都市のなかを彷徨うとき、都市はさかしまな相貌をさらけだす。放浪、漂流はロマン主義的なトポスであるというより、管理され、可視化され、浄化されていく近代都市の権力への抵抗でもあり、フランスのシチュアシオニストたちが試みたように、偶発性のなかでの現象学的空間・時間認識でもあり、さらにいえば、秩序立てられた時空間を倒錯させる反逆的かつ創造的な行為でもあろう。近代化の光輝く表層に覆われてしまった闇が逆説的に照らしだす都市の風景は、倒錯したものでありながら、不可視の時代精神を投影する鏡像であり、銀幕になる。 ロンドンの群衆のなかに孤立する乞食をとらえたウィリアム・ワーズワスの詩片からはじまり、ディケンズ、ギャスケル、サッカレー、ギッシングなどのヴィクトリア朝小説に描かれた犯罪のアジトから遊興施設、スラム街まで、さかしまな都市の言語表象を丁寧に考察し、闇を描くホイッスラーやドレの都市表象を眺めながら、最後はその延長線上に都市に居場所を確保しようとしながらカオスのなかで流され、沈んでいく下層中流階級の都市認識をE. M. フォースターが造形した『ハワーズ・エンド』のレナード・バスト、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』に登場するセプティマス・ウォーレン・スミスおよびミス・キルマンに追ってみたい。 広範囲の作品を扱うが、授業では抜粋部分(20ページほど)を中心に原文での精読を軸に議論する。テクストの読解から浮かびあがってくる風景のモダリティーを分析していく。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 駒場5号館 515教室 Komaba Bldg.5 Room 515
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
31D370-0201S
多文化共生・統合人間学演習Ⅰ
Seminar in Integrated Human Sciences for Cultural Diversity Ⅰ
大石 和欣
OISHI Kazuyoshi
S1S2 月曜3限
Mon 3rd
さかしまな都市のモダリティー ― ロマン主義からモダニズムまで

 都市を歩く人びとの意識は多様性に富んでいる。遊歩者(フラヌール)はもちろん、旅行者、通勤する人びと、買い物をする人びと、楽しげな家族連れや恋人たち、ほろ酔い加減のサラリーマン。それぞれがそれぞれの想いを抱えて、都市の空間を横切っていく。彼らの意識はそれぞれ異なる都市の風景を認識し、記憶し、時間の経過とともに、パリンプセストのように心が留めおく印象を次々に塗り替えていく。意識の流れの水面には、視覚から聴覚、嗅覚にいたるまでの感覚がとらえた景色が輝くように反射したかと思えば、いつのまにか粉々の断片となって水底に沈みこんでいく。時代に漂う歓喜と不安をともに抱え込みながら。そう、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』の主人公が、第一次世界大戦後のロンドンで、光と影の交錯する夏の一日を意識のなかにとりこんだように。  しかし、遊歩を禁じられた人びと、居場所を失った人びと、公衆の寄り集う空間から疎外された寄る辺なき人びと、愛することも、愛されることもない流民たちにとって、都市の空間はどう感受されているのだろうか。それは実存的な空間認識でもあろう。生から死へと向かう時間軸上で、目的地を見出せないまま漂う精神にとって、都市の空間はどのように認知されるものなのだろうか。この授業ではそんな疑問から出発して、社会的疎外下にある人びとのまなざしと身体が捉える都市の表象を、近代イギリスを中心とした文学のなかに辿っていく試みをしてみたい。疎外意識をもった彼らにとって、消費の空間、労働の空間、日常生活の空間としての都市は、文学という虚構のなかでどう認識され、表象されるのであろうか。産業化し、資本を蓄積していく工業都市は苦しい労働空間以上のものになりえるのだろうか。植民地への覇権を強化していく十九世紀イギリスの帝都には、どのような闇を措定すべきなのだろう。リスぺクタブルな中流階級の文化から落ちこぼれながら、懸命にそれにしがみつこうとする人びとにとって、都市の風景はどう歪曲したものとして見えるのだろう。 いわゆる都市ルネッサンスを十八世紀末から経験したイギリスの都市は、十九世紀にはいると産業化とともに大きく変貌していく。鉄道敷設、道路拡張、都市住宅の開発と郊外化、そしてスラム化。都市インフラの整備と不動産市場の活況は、巨大な帝都ロンドンを構築し、近代化すると同時に、都市空間をカオス化し、その内奥に深い闇を抱え込んでいく。貧富の格差拡大とともに貧者の怒りと不満と絶望は高まりながらも、抑圧されたかたちでその暗い闇に飲みこまれていく。そこにはベンヤミンが標榜したフラヌール言説では透徹できない空間が沈潜し、またフーコーが提示する中央集権的な不可視の権力さえも飲みこんでしまうようなブラックホールが浮遊している。そこに押し込まれた意識と身体が都市のなかを彷徨うとき、都市はさかしまな相貌をさらけだす。放浪、漂流はロマン主義的なトポスであるというより、管理され、可視化され、浄化されていく近代都市の権力への抵抗でもあり、フランスのシチュアシオニストたちが試みたように、偶発性のなかでの現象学的空間・時間認識でもあり、さらにいえば、秩序立てられた時空間を倒錯させる反逆的かつ創造的な行為でもあろう。近代化の光輝く表層に覆われてしまった闇が逆説的に照らしだす都市の風景は、倒錯したものでありながら、不可視の時代精神を投影する鏡像であり、銀幕になる。 ロンドンの群衆のなかに孤立する乞食をとらえたウィリアム・ワーズワスの詩片からはじまり、ディケンズ、ギャスケル、サッカレー、ギッシングなどのヴィクトリア朝小説に描かれた犯罪のアジトから遊興施設、スラム街まで、さかしまな都市の言語表象を丁寧に考察し、闇を描くホイッスラーやドレの都市表象を眺めながら、最後はその延長線上に都市に居場所を確保しようとしながらカオスのなかで流され、沈んでいく下層中流階級の都市認識をE. M. フォースターが造形した『ハワーズ・エンド』のレナード・バスト、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』に登場するセプティマス・ウォーレン・スミスおよびミス・キルマンに追ってみたい。 広範囲の作品を扱うが、授業では抜粋部分(20ページほど)を中心に原文での精読を軸に議論する。テクストの読解から浮かびあがってくる風景のモダリティーを分析していく。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 駒場5号館 515教室 Komaba Bldg.5 Room 515
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
31M200-1040S
言語態分析演習IV
Seminar: Textual Analysis IV
大石 和欣
OISHI Kazuyoshi
S1S2 月曜3限
Mon 3rd
さかしまな都市のモダリティー ― ロマン主義からモダニズムまで

 都市を歩く人びとの意識は多様性に富んでいる。遊歩者(フラヌール)はもちろん、旅行者、通勤する人びと、買い物をする人びと、楽しげな家族連れや恋人たち、ほろ酔い加減のサラリーマン。それぞれがそれぞれの想いを抱えて、都市の空間を横切っていく。彼らの意識はそれぞれ異なる都市の風景を認識し、記憶し、時間の経過とともに、パリンプセストのように心が留めおく印象を次々に塗り替えていく。意識の流れの水面には、視覚から聴覚、嗅覚にいたるまでの感覚がとらえた景色が輝くように反射したかと思えば、いつのまにか粉々の断片となって水底に沈みこんでいく。時代に漂う歓喜と不安をともに抱え込みながら。そう、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』の主人公が、第一次世界大戦後のロンドンで、光と影の交錯する夏の一日を意識のなかにとりこんだように。  しかし、遊歩を禁じられた人びと、居場所を失った人びと、公衆の寄り集う空間から疎外された寄る辺なき人びと、愛することも、愛されることもない流民たちにとって、都市の空間はどう感受されているのだろうか。それは実存的な空間認識でもあろう。生から死へと向かう時間軸上で、目的地を見出せないまま漂う精神にとって、都市の空間はどのように認知されるものなのだろうか。この授業ではそんな疑問から出発して、社会的疎外下にある人びとのまなざしと身体が捉える都市の表象を、近代イギリスを中心とした文学のなかに辿っていく試みをしてみたい。疎外意識をもった彼らにとって、消費の空間、労働の空間、日常生活の空間としての都市は、文学という虚構のなかでどう認識され、表象されるのであろうか。産業化し、資本を蓄積していく工業都市は苦しい労働空間以上のものになりえるのだろうか。植民地への覇権を強化していく十九世紀イギリスの帝都には、どのような闇を措定すべきなのだろう。リスぺクタブルな中流階級の文化から落ちこぼれながら、懸命にそれにしがみつこうとする人びとにとって、都市の風景はどう歪曲したものとして見えるのだろう。 いわゆる都市ルネッサンスを十八世紀末から経験したイギリスの都市は、十九世紀にはいると産業化とともに大きく変貌していく。鉄道敷設、道路拡張、都市住宅の開発と郊外化、そしてスラム化。都市インフラの整備と不動産市場の活況は、巨大な帝都ロンドンを構築し、近代化すると同時に、都市空間をカオス化し、その内奥に深い闇を抱え込んでいく。貧富の格差拡大とともに貧者の怒りと不満と絶望は高まりながらも、抑圧されたかたちでその暗い闇に飲みこまれていく。そこにはベンヤミンが標榜したフラヌール言説では透徹できない空間が沈潜し、またフーコーが提示する中央集権的な不可視の権力さえも飲みこんでしまうようなブラックホールが浮遊している。そこに押し込まれた意識と身体が都市のなかを彷徨うとき、都市はさかしまな相貌をさらけだす。放浪、漂流はロマン主義的なトポスであるというより、管理され、可視化され、浄化されていく近代都市の権力への抵抗でもあり、フランスのシチュアシオニストたちが試みたように、偶発性のなかでの現象学的空間・時間認識でもあり、さらにいえば、秩序立てられた時空間を倒錯させる反逆的かつ創造的な行為でもあろう。近代化の光輝く表層に覆われてしまった闇が逆説的に照らしだす都市の風景は、倒錯したものでありながら、不可視の時代精神を投影する鏡像であり、銀幕になる。 ロンドンの群衆のなかに孤立する乞食をとらえたウィリアム・ワーズワスの詩片からはじまり、ディケンズ、ギャスケル、サッカレー、ギッシングなどのヴィクトリア朝小説に描かれた犯罪のアジトから遊興施設、スラム街まで、さかしまな都市の言語表象を丁寧に考察し、闇を描くホイッスラーやドレの都市表象を眺めながら、最後はその延長線上に都市に居場所を確保しようとしながらカオスのなかで流され、沈んでいく下層中流階級の都市認識をE. M. フォースターが造形した『ハワーズ・エンド』のレナード・バスト、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』に登場するセプティマス・ウォーレン・スミスおよびミス・キルマンに追ってみたい。 広範囲の作品を扱うが、授業では抜粋部分(20ページほど)を中心に原文での精読を軸に議論する。テクストの読解から浮かびあがってくる風景のモダリティーを分析していく。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 駒場5号館 515教室 Komaba Bldg.5 Room 515
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
31D340-3011A
博士論文準備演習I
Supervised Dissertation Research I
各教員
Various Instructors
A1A2 集中
Intensive 

博士論文の作成について指導する(博士課程1年で履修)

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
講義使用言語 Language:日本語 Japanese

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